3月23日、議会最終日、一部反対討論

民主党会派の渋谷哲一です。
議案題3号「権利の放棄の件」及び、同議案に関連する予算が盛り込まれている議案第1号平成28年度青森県一般会計予算案に反対いたします。
それ以外の議案には、全て賛成いたします。

三村知事は就任以来、行財政改革に取り組んで来られ、その成果は、多くの県民が認めるところではないでしょうか。
知事就任時の厳しい財政状況、国の三位一体改革による地方交付税の減額など、県政の最重要課題に逃げることなく取り組んできたことは、評価すべきところです。
そうした取り組みの中で求めてきた県民負担についても、知事がいう「青森県をつぶさない」という言葉を信じ、県民も支持してきたのではないでしょうか。
私たち、民主党会派も、そうした知事の姿勢、政策に関しては、あくまでも県民目線に立ち、是々非々の立場で、各議会に於いて、賛成してきたところです。
しかしながら、今回提案のあった「債権放棄の件」については、あまりにも県民目線からかけ離れており、以下、主に三つの理由から反対いたします。

1つ目は、「三村知事が5年前に県議会と県民へ誓った約束を破ろうとしている」ということです。
5年前、「クリスタルバレイ構想」の中核を担っていたエーアイエスが破綻した時、私たち民主党会派は、追加投資を含む、総額29億円にも上る県費投入に対して、多額の県民負担につながる恐れのあることから反対いたしました。
貸工場事業継続の失敗を認めることもなく、知事は、29億円を20年以内に回収するという事を県議会に約束して追加投資を行い、なし崩し的に事業継続を決定しました。
知事は、議会、そして県民に対して嘘をついたことになります。
このまま、この議案を可決することは、県議会の存在意義を問われることになります。
今回、県は、メリットとデメリットなどを総合的に勘案して、売却を決定したとしていますが、メリットに関しては、具体的な数字を出していますが、デメリットについては、懸念ばかりを示してはっきりさせていないし、経済効果についてもどのように担保するのかも疑問であります。
県は、10年間の売却禁止条項を契約に、盛り込むとしておりますが、企業が事業不振に陥り、撤退してしまえば、何の意味もありません。事実、誘致企業の約15%が業績不振などを理由に撤退しております。

その一方で、ANOVAは、2期連続で黒字を維持しております。これまでのリース料減額分約2億円を含めて、これから回収しようという時期に、突然の売却提案です。これまで5年に渡る議論や取り組みが、将来に不安があるし、売却すれば大きな経済効果が得られるといった極めて曖昧な提案で議論自体が進められていることに対して極めて疑問を持つものであります。
知事は、ANOVAの経営は順調であり、20年以内に必ず貸付金を回収すると、これまで、議会と県民に説明してきました。県民との約束を守るべきです。

問題の2つ目は、特定企業に対して過剰に税金を投入しようとしていることです。
ANOVAに対しては、リース料を減額し、本来のリース料に比べて約2億円も少ないものとなっております。今回の売却により約19億円の債権放棄をし、更に、翔栄が誘致企業と認定されれば投資額の10%に当たる2~3億円の支援を行うことになります。
これらを合計すると約24億円もの県民負担となり、これでほんとうに追加投資分を回収しているといえるのでしょうか。
今回の議案について、多くの県民から意見が寄せられました。
21財団より設備資金を借りている県内の中小企業の方から、「私たちは、厳しい経営の中、コツコツと毎月返済しています。なぜ、特定の企業だけが優遇されるのでしょうか。」といった問いかけを受けました。
また、ある県民からは、
「19億2千万の債権放棄よりも、はるかに少ない経費で、青森空港有料道路を無料化することにより、もっと多くの県民全体のメリット、利便性を得られるのではないか。」との訴えを受けました。

県内には、地域の経済を支える多くの中小企業がありますが、それらの企業の経営状況は、決して良いとは言えません。県が支援すべきは、県内経済を支えるそれらの中小企業であり、多くの優遇措置をしている大企業、優良企業ではないと思います。
また、本来、県民の税金は、多くの県民が享受できるものにこそ投入されるべきです。

3つ目の問題点は、県の債権回収努力が見えてこない、ということです。
県は、答弁で今回の事案をチャンスと答えていましたが、県民に巨額な負担を求めるのにチャンスとはどういうことでしょうか。これこそ県と県民の意識に大きな隔たりがある表れではないでしょうか。
議会に対しては、貸工場の運営は順調だと答弁し続けていましたが、その一方で、実際は今後の運営に対して常に不安を抱えており、早く売却してしまいたいといった認識があるからこそ、債権回収の努力も見えないまま、売り急いでいるというのが実態ではないでしょうか。

民主党会派として、売却自体に反対するのではありません。
県による債権回収努力が見えないまま、安易に、多額の県民負担をもとめることに対して反対いたします。

今回の債権放棄は、少なくとも三村知事の責任であり、県議会もその責任を共有するものです。
まずは、県議会議員が議員報酬の削減をし、知事も自らの報酬を削減して、県民負担を少しでも減らす努力を示すべきではないでしょうか。

誰も責任をとらず、言葉だけの謝罪では、県民は納得しません。
自らの身を切る取り組みを県民は求めております。

以上の問題点を指摘し、一部反対討論といたします。

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