民進党会派の渋谷哲一です。
発議第2号、日米地位協定の見直しを求める意見書について提案理由の説明を行います。
本年、5月、沖縄県うるま市で、20歳の女性会社員が遺体で見つかり、元米海兵隊隊員の軍属が殺人と強姦致死の疑いで逮捕されました。
このような事件は、後を絶たず、そのたびに、日米地位協定の見直しと再発防止策、綱紀粛正が求め続けられてきましたが、現在に至るまで問題の根本的解決には至っていません。
被害女性の両親は、娘の死を受け入れられないまま、「絶対に許せない」と仏壇にご飯や水を供えて手を合わせ、娘を思って涙を流す日々を送っているとの報道に、やるせない気持ちでいっぱいになります。
青森県も米軍基地を抱えており、同じような凶悪犯罪が起こった場合に県民の安全安心をどのように守っていくのか、を考えたとき、県議会としても、沖縄県民の心に思いをはせ、私たちが、今、出来ることをすべきと考え、発議第2号として提案いたしました。
さて、去る6月3日、渉外関係主要都道県知事連絡協議会(略称:渉外知事会)による、「沖縄県における米軍属による事件に関する緊急要請が、外務省、防衛省及び在日米国大使館に対して行われました。この渉外知事会は、在日米軍基地を抱える14都道県で構成されており、国内での基地問題に対して協議し、問題解決を目指す目的で、毎年、要請活動を行っております。
三村知事は、現在、副会長を務めており、県として今回の緊急要請にも参加しておりますので、その内容を紹介いたします。
本年5月、沖縄県において、女性の遺体が発見され、米軍属の男性が逮捕されるという、悪質かつ残虐な事件が明らかになりました。
突然、このような形で若く尊い命を奪われた被害者やご遺族の無念は計り知れません。
こうした凶悪な事件の発生は、基地と隣り合わせに暮らさざるを得ない住民の、安全で安心な生活を根底から脅かすものであり、断じて許すことはできません。
当協議会では、これまでも事件が発生するたび、米軍構成員等の規律の厳正な保持、教育訓練の徹底など、適切な措置を講ずるよう、繰り返し強く求めてきました。
それにも関わらず、再び、凶悪な事件が発生したことは、米軍に対する国民の信頼を大きく損なうものです。
現在、被疑者の身柄は日本側が拘禁しており、直接的には、日米地位協定上の刑事裁判権の問題は発生しないと考えられますが、こうした事件をなくし、基地問題を抜本的に解決するためには、日米地位協定の改定は避けて通れないものと考えます。
日米両国政府におかれては、このような凶悪な事件が二度と繰り返されることの無いよう次の対策を講ずることを強く要請します。
1)これまでの再発防止策では事件の発生を防止できなかったことに鑑み、改めて米軍構成員のみならず軍属に対しても、実効性のある、徹底かつ具体的な再発防止策を早急に策定し、確実に実行に移す子と。
2)基地問題の根底にある日米地位協定の改定に、速やかに着手すること。
3)大きな基地負担を担っている沖縄県をはじめとする、米軍基地所在自治体の負担軽減を図ること。
以上が、緊急要請の内容です。
日米地位協定は、昭和35年に締結されて以来、50年以上もの間、改定されていません。
渉外知事会では、これまでも基地を巡る様々な問題を解決するため、国内環境法令の適用、裁判権の見直し、日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者が参加する地域特別委員会を設置することなど、日米地位協定に係わる提案を行い、繰り返し改定を求めてきましたが、政府においては、基地に関する問題が発生する都度、運用改善で対応してきているだけです。
もちろん、運用改善で対応できるものは積極的に取り組むべきと考えますが、米軍基地に起因する環境問題、事件・事故などを抜本的に解決するためには、日米地位協定の改定は避けて通れないものと考えています。
沖縄県民のやり場のない怒りと青森県民の不安を考えたとき、三村知事を含めた渉外知事会の切実な思いを受けとめ、車の両輪に例えられる県議会の役割があると考えます。
よって、三村知事と共に日米地位協定の改定を速やかに実現させるため、青森県議会も、日米両政府に対して、地方からの声を届けるべきと考えます。
5月末に、自民党沖縄県連は、協定の一定の見直しが必要とみて、党本部に改定を要請したとの報道がありました。この問題は、政党に関係なく、国民の一致した願いでもあります。議員各位のご協力を賜りますよう心からお願い申し上げ、提案理由説明とさせていただきます。