民主党会派の渋谷哲一です。
民主党会派として、今定例会に提出いたしました発議第3号から第5号まで、一括して提案理由を説明させていただきます。
先ず、発議第4号、集団的自衛権の行使を解禁する安全保障関連法令の廃止を求める意見書についてです。
戦後70年という節目に成立した安保関連法は、自衛隊法や武力攻撃事態法など改正10法案を束ねた「平和法制整備法」と、他国軍の後方支援を随時可能にする新しい法律である「国際平和支援法」の二つからなります。どちらもタイトルに「平和」を冠しておりますが、その内容は、武力の行使を可能にする「戦争法」と国民から呼ばれております。
日本国憲法 第2章 戦争の放棄 第9条では、次のように記されております。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は、武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」
「武力の行使は放棄する」、「国の交戦権は認めない」と、はっきり宣言されており、今回の法案が憲法に違反しているのは明らかです。
それにもかかわらず、安倍総理は、国民の過半数を超える反対の声を一切聞き入れず、多くの憲法学者が違憲だと断じても取り合わず、国会での答弁を二転三転させ、本人も認めているように国民の理解も得られないまま、数の力で強行採決を行い、まるで何かにとりつかれたように、この法案を成立させました。
私たちは、先の大戦で多くの犠牲者を出しました。沖縄で追い詰められ犠牲となった住民たち、広島、長崎で一瞬にして犠牲となった数十万の人々。更に、あまたの兵士が戦地に赴いて亡くなりました。
その一方で、私たちが決して忘れてはならないのは、先の大戦で、同じように数えきれないくらいの人命を、日本人が奪ったという事実です。
どの戦争にも勝者はなく、一旦、戦争が始まれば、誰にも止めることはできません。
そして、なによりも、武力による抑止力の行きつく先は、核による抑止力であるということです。
国民は、このような武力による抑止力は、決して望んでいません。
我が国は、対話と協力により、貧困を世界から無くし、信頼の絆を広めていくべきです。国民の英知と「武力による戦いは行わないという勇気」を信じ、今回成立した安全保障関連法の廃止を強く求めます。
次に、発議第3号、労働者保護ルール改悪反対を求める意見書です。
民主党は、かつて、「国民の生活が第一」を掲げ、国民の負託を受けました。その間、働く方々の生活を少しでも改善し、その家族全員の生活を豊かにし、地域全体を活性化させる好循環を目指し、様々な課題に取り組みました。
その根底にあるのは、企業が、いくら潤っても、その利益が労働者に還元されなければ結果的には地域全体の豊かさにつながってはいかない、という理念です。
1985年に制定された労働者派遣法は、職業安定法により労働者供給として禁止されていた派遣を、一定の専門業務に限定して解禁したものでした。
派遣が認められた専門業務をこなす技能は、外部から調達する必要があるもので、派遣が利用されても正社員の雇用が奪われるという常用代替の心配がなかったものです。
今回、政府が成立させた「労働者派遣法改正法」は、大企業の側に立った、時代に逆行した法改正と言わざるを得ません。ましてや、ヨーロッパで行われている、正社員と派遣社員の均等待遇の原則が盛り込まれておらず、格差を助長する内容となっております。
更に、この法案を皮切りに、会社がお金を払えば不当解雇も認められる「解雇の金銭解決制度」の導入や、「高度プロフェッショナル制度」と「裁量労働制」の適用拡大など、いわゆる「残業代ゼロ法案」による残業代の出ない長時間労働を助長する法案の導入、そして解雇しやすい正社員を増やす「限定正社員」の導入など、次々と労働者を守るためのルールが改悪されようとしております。
我が国の礎となっている労働者を守るのが、本来、政府の役割ではないでしょうか。私たちが守るべきは、国民の大多数を占める労働者とその家族です。
青森県議会も県民の生活を守るため、政府に対して強く訴えるべきです。
最後に、発議第5号、年金積立金の専ら被保険者(経営者、労働者など)の利益のための安全かつ確実な運用に関する意見書です。
現在、国民の老後を支える130兆円の公的年金資金を運用しているのが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。
平成27年6月末において、この130兆円は、国内債券に約38%、国内株式に約23%、外国債券に約13%、そして、外国株式に約22%投資されております。
国内外の株式への投資が約45%となっており、更に、基本ポートフォリオでは、最大約67%まで許容されております。
問題は、このポートフォリオが、平成25年6月に政府がGPIFに対してリスク性資産割合を高める方向での年金積立金の運用見直しを求めた「日本再興戦略」の影響を受けているということです。
思い出してください。2008年のリーマンショックでは、9兆円以上の損失を出しました。
国内外の株式はリスクが高く、運用の依存度を高めるのは不適切と考えます。
最大で、年金積立金の約70%が、株式への投資となる可能性のある現在の運用ルールは、変えなければなりません。
世界は、混とんとしております。未だに各地で紛争が絶えず、ヨーロッパに難民が押し寄せております。ギリシャやスペイン、イタリアの厳しい財政状況は変わっておりません。
日本も1000兆円以上の借金を抱えており、立て直しの目途さえ立てることが出来ていない状況です。中国発のバブル崩壊も懸念されております。
国民の老後の支えである年金は、政治や景気に左右されることなく、安全で確実性の高い運用が行われるべきです。
年金運用の見直しを強く求め、提案理由説明といたします。