青森県議会議長
田中 順造殿
青森県議会議員
中村 寿文
三上 隆雄
山田 知
渋谷 哲一
議員派遣結果報告書
下記の通り、議員派遣を終了しましたので、その結果を報告します
記
- 派遣目的
欧州の主要地におけるエネルギー、経済及び教育福祉事情調査
- 派遣場所
ストックホルム、カールスタッド、カルマール(以上スウェーデン)、
ロンドン(イギリス)
- 派遣期間(日程表添付)
平成21年11月8日から平成21年11月16日まで
- 派遣結果
別紙のとおり
[視察先等詳細]
11月10日 KALMAR OSKARSHAMN(自治体)
スウェーデンの高レベル放射性廃棄物の処分等について
11月11日 KARLSTAD UNIVERSITY
スウェーデンの産学官連携について
KARLSTAD KOMMUN
スウェーデンの福祉の現状について
11月12日 UPPSALA OSTHAMMAR(自治体)
スウェーデンの高レベル放射性廃棄物最終処分場と地域
11月13日 JETRO STOCKHOLM
スウェーデンの経済、エネルギー、福祉政策について
11月14日 THE BRITISH MUSIUM(文化庁主催 DOGU 特別展)
土偶展を通して日本の縄文文化を欧州に紹介
KALMAR OSKARSHAMN 自治体
スウェーデンの高レベル放射性廃棄物の処分等について
オスカーシャムの全景
スウェーデンでは、使用済み燃料を再処理する日本とは違い、直接処分の方法を選択しております。もし、後世の世代が、将来、再処理を望むなら、最終処分した使用済み燃料を取り出して、再処理が可能なようにもされております。
国内の電力は、原子力と水力によってほぼ半分ずつ賄われており、国内4ヶ所で10基稼働中の原子炉を抱える発電事業者4社は、最終処分に関する研究開発、処分場の建設、操業を行う実施主体として、スウェーデン核燃料廃棄物管理会社(SKB社)を設立しております。
スウェーデンでは、1992年から実際の処分施設建設を前提とした地区選定が開始。まず、全国を対象として総合立地調査が行われ、自ら手を上げた8自治体で適正調査の結果に基づき、SKBは、オスカーシャム、エストハンマル、そして、ティーエルプの3自治体でサイト調査を行うことを2000年に決定いたしました。そのうち、自治体議会がサイト調査実施の受け入れを決議したオスカーシャム及びエストハンマルの両自治体について、2002年より6年間、サイト調査が実施されました。
各発電所で発生した使用済み燃料は、以下で示した様に、現在稼動中のCLABと呼ばれる集中中間貯蔵施設で30~40年間冷却貯蔵し、その後、外側銅製、内側鋳鉄製の2重構造のキャニスタに封入し、地下500mの結晶質岩の中に建設される処分場に地層処分されます。
ここ、オスカーシャムには、集中中間貯蔵施設とキャニスタの溶接方法など、封入関連技術を研究開発しているキャニスタ研究所、実際の地下500mの環境で、実規模の様々な処分技術に関する試験を行う、エスポ岩盤研究所があり、SKB社とともに、この地域は、歩んでおります。
地下500m
エスポ岩盤研究所の最下層に、46mの横断幕が飾ってありました。
地球の46億年を46mで表わしていました。猿人が出てきたのは約300万年前で、この幕では、約3cm。10万年は、1㎜。この場所は、岩盤の中を掘っているので、18億年間変わっていない。
地上が、どんな天変地異が起こっても、地下500mのところは、全く変化が無かったのです。
そこに、スウェーデンの高レベル放射性廃棄物を10万年間にわたって、安全に管理するのです。
私たちは、自身を持ってこの研究をしており、誇りに思っていると、カールソン広報担当が語ってくれました。
どの施設も、最終処分場の稼動に向けてあらゆる疑問を解決し、10万年といわれる年月に耐えられるものを築き上げるための研究開発を、世界の国々と協力しながら、今なお続けております。
UPPSALA OSTHAMMAR(自治体)
スウェーデンの高レベル放射性廃棄物最終処分場と地域自治
スウェーデンの首都、ストックホルムから北へ約120㎞に、エストハンマル自治体はあります。かつて木材と鉄で栄えた街で、今なお当時の面影が残る、緑豊かな地域です。
本年6月3日、国民と世界に向けて、高レベル放射性廃棄物処分場に、エストハンマル自治体のフォルスマルクを選定したことを発表しました。14年後の操業を目指しております。
この会見で、最前線で対話を続けてきたSKB社のテゲルストロム社長は、「ここに来るまでに27年間の道のりがあった。最後まで候補地に残ったオスカーシャムもエストハンマルも、原子力政策を続けていくためには、車の両輪である。SKBは、両方の地元の発展を全力で支えていく」と力強く語っております。
これまで、一貫して守られてきたルールは、自治体議会の賛同が得られない所からは、すぐに撤退するということであります。
来年末までに、国に対して、許可申請を行う予定でありますが、この申請の段階で住民の最終的な賛同が得られなければ、この地域からも撤退するそうであります。
安全に対する弛まぬ努力とともに、サイトマネジャーのアルボール氏が誇りにしているのは、ここまでの道のりで地域の家庭を一軒一軒尋ね、住民一人ひとりと直に対話を続けてきたことであり、常に、地元住民の疑問、不安に答えてきたことです。
彼らは、3つのことを心がけてきました。
- 常に提案し、たたき台を作り、それに対する意見をもらう
- 常に疑問を持っている人がいることを忘れずに準備する
- 多くの人を対象に話すのではなく、少人数で話し合う
これらの精神が、住民との信頼関係を築き、今日の結果に繋がったのだと考えております。
SKB社の調査を受け入れたいずれの自治体も、主体的な意思決定を行うために、地元社会における影響を様々な角度から検討する住民参加型の組織を設け、SKBから調査状況の報告を受け、住民間における情報伝達や協議が行われております。この活動は、環境影響評価で義務づけられている協議に向けて、自治体が決定する際の重要な場となっております。
このような自治体組織と、SKB社間の協議から、オスカーシャムとエストハンマルの自治体開発に関する協力協定が本年4月に合意されております。
オスカーシャムでは、引き続き、使用済み燃料が中間貯蔵され、それらをキャニスタに封入する施設が新たに建設され、エストハンマルには、最終処分場が建設され、処分事業はこれら一連の施設から成り立っております。
SKB社は、これらの施設を長きに渡って操業するため、地元の社会経済的な側面を重視し、2025年までに、総額20億クローネ(約260億円)規模の経済効果を生み出す事業を実施する予定で、その割合は、処分場建設地のエストハンマルが30%、オスカーシャムが70%です。
驚いたことに、最終処分場に選ばれなかったオスカーシャムのほうが、より多くの事業が実施されるのです。
もし、条件が整えば、最終処分場に賛成ですか、それとも、反対ですか。
という上記の質問に、平均、約79%の住民が賛成と答えた。(2009年)
スウェーデンでの取り組みは、日本の最終処分場選定にも、参考になる部分が多々あります。
世界の国々は、今、総力をあげて地球温暖化を防止する取組みを行っていかなければなりません。その中で、原子力は、現状では必要不可欠なエネルギー源であり、最終処分場なくしては、進めることはできないものであります。勿論、安全第一、そして、少しでも、国民の理解を深め、処分場候補地が選定されることを願うものであります。そのため、エネルギー先進地の青森県として何ができるのかを、私たちも、しっかり考えていかなくてはならないのではないでしょうか。
THE PACKAGING ARENA
スウェーデンの産学官連携について
スウェーデでは、国がリーダーシップをとり、国際競争力と地域経済の活性化に先頭に立って取り組んでおり、まず、日本との違いを感じました。
現在、ヴェルムランド県には、10000社を超える外資系企業があり、スカンジナビアでもっとも投資環境が良い地域であるといわれております。これも、国と地域の連携の賜物です。
このような環境にありながら、県都であるカールスタッド市は、つい最近まで、林業や製紙産業を主産業とする人口5万人ほどの、人口減少の続いているまちでした。
この状況を変えたのが、カールスタッド大学とヴェルムランド県を中心とする自治体、そして国際企業を含む産業界の連携、いわゆる産学官の協力であり、その中でも、カールスタッド大学は、重要な役割を担っています。
地域にある産業界と行政、大学の実践的な連携を中心に、人財の育成を進め、産業の高度化をはかり、デザインやパッケージ等の、より高度な産業へと転換させていきました。
結果として、地域の経済を活性化させ、人々を、カールスタッド市に、引き寄せているのです。
実践を重視する大学と、積極的に大学を利用する経済界、そしてそれをコーディネートする行政。地域にある人材をレベルアップさせ、更に、他の地域からの人材を引き寄せ、受け入れる社会が形成されています。
現在、カールスタッド市では、人口8万人を超え、そのうち、1万人が学生です。
これらの連携の象徴が、カールスタッド市で作られたThe Packaging Arenaというビジネスモデルです。
これは、パッケージング関連組織からなるネットワークであり、「伝統的な森林産業を基盤とした地域から、魅力的なパッケージング・ソリューションの開発と生産のための世界で最もダイナミックな地域へとヴェルムランドのイメージを変えること」を目標としております。
実社会で、利害関係者がそれぞれの強みを持って顧客の問題を解決する、問題解決型・ネットワーク的な関係の構築を目指しており、とくに、大学が強力なリーダーシップを発揮しており、地域のコーディネーターとなるべく活動しております。
勿論、これらは、行政の積極的な役割と企業の信頼、連携による取組みが必要不可欠であります。
このような背景を下に、昨年10月、スウェーデンのヴェルムランド県のエリックソン知事と、三村知事参加の下、弘前大学・カールスタッド大学合同国際フォーラムが開催され、両大学の研究交流協定締結が成されました。
青森県を代表するりんごのパッケージのコンテストも開催され、スウェーデンから様々な作品の応募があり、産学官連携のパワーを実感できました。
今回、私どもは、スウェーデン大使館の協力の下、カールスタッド大学副学長の ゲルド氏、カールスタッド行政委員のストゥーレ氏、そして、商工会議所会頭のジャグダー氏より、それぞれの立場からの産学官連携の取組みと展望を聞く事ができました。
ヴェルムランド県は、産学官の連携により、地域の得意分野でのビジネスモデルを築き上げました。
是非とも、青森県でも、本県の得意分野、特に、農林水産業やエネルギーの分野で、産学官連携のビジネスモデルを作り、世界に発信できることを目指していくことによって、本県の底力を押し上げていく事ができるのではないでしょうか。
青森モデルを作り上げていく事が必要ではないでしょうか。
商工会議所会頭との会談では、両大学の協定を契機に、青森県とのビジネスの連携を深めるため、来年にも訪問団を送りたいとの知事への申し出がありました。
ヴェルムランドモデルを吸収し、青森県モデルの創造のためにも、青森県の取組みが必要です。
そのためには、実社会での産官学連携による具体的な成功例の積み重ねが必要であり、青森県が推進役として、積極的に関わっていく事が求められています。
THE BRITISH MUSIUM(文化庁主催 DOGU 特別展)
土偶展を通して日本の縄文文化を欧州に紹介
今年9月10日より11月22日まで、イギリスの大英博物館において、文化庁による「土偶の力」と題した特別展が開催されました。日本全国の国宝3点を含む重要文化財23点を中心に土偶が集められ、青森県からも三内丸山遺跡の大型板状土偶や、亀ヶ岡遺跡の遮光器土偶、そして、風張1遺跡の合掌土偶などが出展されておりました。特に、特別展の入り口には、国宝に指定された「合掌土偶」が展示されており、青森県の縄文文化に対する評価の高さに感激いたしました。
担当者の文化庁文化財部美術学芸課の石橋専門官は、会場の表題は、様々な議論がありましたが、英語で「DOGU」とそのまま表記しましたと、うれしそうに語っておりました。日本の土偶を、そのまま世界に伝えたいとの思いからです。
世界各国から大英博物館を訪れる人々の内、一日1000人くらいが、土偶の特別展に訪れ、日本の縄文文化を代表する土偶を鑑賞したそうであります。
今後、12月15日から来年2月21日まで、東京国立博物館で、帰国記念展が開催されます。
本格的に、土偶を日本の縄文文化の象徴として、世界に発信する取り組みを実感しました。
本年、平泉町の世界遺産登録が見送られ、遺産登録の難しさがクローズアップされました。地球規模で遺産登録が増えすぎ、既存の資産に目が行き届かなくなってきていることもあり、新規登録を抑制しているということであります。
更に、「世界から普遍的価値が、認められなければならない」という基本条件が、特に強調されるようになりました。
このような環境下、本県を中心とした4道県で推進している縄文遺跡群が世界遺産登録されるためには、取組みの方向性を今一度再確認する必要があるのではないでしょうか。
いかに、世界に、土偶、そして、縄文文化を認めてもらう事ができるのか。
こらから、世界基準の価値観の定義づけが求められております。
JETROストックホルム
JETROストックホルムの上岡美保子所長と篠崎美佐プロジェクトマネージャーが私ども一行を出迎えてくれました。
スウェーデン国内の経済、エネルギーや福祉全般にわたってのレクチャーのあと、ランチミーティングで意見交換を行い、青森県とスウェーデンの将来のビジネス交流を探ってみました。
塩崎氏は、スウェーデンを含む、北欧3国との交易のポテンシャルが高いことを強く指摘。特に、国民性と文化に類似点があり、ビジネス交流を拡大すべきと訴えていました。
かつて日本が高度成長期に経験した、大量消費による需要はもちろん期待はできないが、良い品物を、適正な価格で評価してくれるので、生産者としては、やりがいがあるのではないか。輸送に、コストがかかるので、やはり、付加価値のつけたものでなくてはならないとの提言でした。
まじめな国民性も日本と類似し、国が個人の将来を補償しているので、生活の質を高める傾向がある。
ビジネスも信頼関係を築いてからの連携が重要。
国民は、約925万人で、首都ストックホルムには、約80万人。
面積は、日本の約1.2倍。
言語は、スウェーデン語。
多くの国民は、英語を話しますが、街中では、なかなか英語での表記された案内を見ることはできませんでした。
立憲君主制で、元首は、カール・グスタフ16世。国会は、一院制です。
2009年1月22日、第3次経済対策として、中小企業の資金繰り支援策を発表。
2009年9月11日、政府は、これまで無料としてきた外国人留学生の国立大学事業量を2011年秋学期以降、有料化すると発表。学費は、それぞれの大学が独自に定める。なお、有料化の対象は、欧州経済領域(EEA)域外国からの留学生に限られ、EEA域内からの留学生は無料のまま据え置かれる。
2009年9月21日、政府は、10年度予算を発表した。2010年秋の総選挙を控え、リセッションからの脱却を主眼に320億クローナに上る積極的な雇用確保策を盛り込んでいる。2004年以来の赤字予算案。
2009年7月2日、スウェーデン王立銀行(中央銀行)は、7月8日から政策金利を0.25ポイント引き下げ、史上最低の0.25%にすると発表。景気刺激のため、相次いで引き下げを実施し、08年10月以来、5回目。
2009年9月21日、2009年の実質GDP成長率がマイナス5.2%、2010年が0.6%と発表。いずれも4月の予測値を大きく下方修正。
スウェーデンの環境政策
・ スウェーデンは、世界でも非常に早い時期(1991)に二酸化炭素税を導入し、二酸化炭素排出量現象に成功した数少ない国のうちの一つです。1990年から2006年までに9%近く減少。主として、暖房の分野で、バイオマス燃料による地域暖房への変換に成功したことによるものです。同じ寒冷地の青森県として参考にすべき点である。
・ 具体的には、環境税、ストックホルム通行税(2007年より本格導入)、エコカーの優遇、緑の認証電気制度(2003年5月より)
・ 環境技術輸出には積極的で、2006年の環境技術分野企業の売り上げは約970億クローナで、輸出額は250億クローナ以上。政府は、環境技術輸出のため、2007年から2010年までの3年間に渡り、5億3000万クローナの特別予算を配賦。インド、中国などにPRのための大きなデレゲーションが派遣されている。
・ 1992年のリオ会議後、政府はスウェーデン国内の各市(コミューン)に「アジェンダ21」(21世紀に向けての環境問題への取り組みプログラム)制定を義務付けた。各市は、専門職員を置き、それぞれの環境問題への取り組みプログラムを作って実行した。
・ スウェーデン南西部の都市、ヴェクショー市は、1996年「化石燃料ゼロ」宣言を行った。同市は、1970年代から、市営のエネルギー会社が市内の地域暖房のためにバイオ燃料(チップなど)の使用を開始。
・ 緑の認証電気制度は、2003年より消費者に一定の割合で再生可能エネルギーからの電気の購入を義務づけた。
・ エコカー優遇では、購入時のペイバック(1万クローナ、2009年6月末まで)。駐車料金無料の自治体多し。2012年7月末までストックホルム市通行税の免除。
・ 風力発電。政府は2020年までに再生可能エネルギーからの発電量を30TWhに増加させる目標を設定。その主要部分は、風力発電で、風力発電促進のための予算は、2009年、1億2000万クローナ。2008年にはスウェーデンには1100の風力発電所があり、その電気生産総量は、前年比38%増の27TWh。
・ バイオ自動車燃料タンクの設置義務。政府は、2006年、全国のガソリンスタンドにバイオ自動車用燃料タンクの設置を義務付け、現在ではほとんど全てのガソリンスタンドが設備を持っている。
・ ストックホルム市通行税。2007年8月より正式導入。ストックホルムへ出入りする車のナンバープレートを自動登録。自動課金。時間帯によって額が異なる。
・ 廃棄物処理。ENVACは、1960年代に病院の掃除を容易にするために各階の柱を通してバキュウームで吸い込むシステムを開発した。その後、その技術は、都市のある一部の地区の地下にパイプを配置し、その地区にある建物全部の廃棄物をそのパイプを通してバキュウーム吸引をし、一箇所に集めて処理するという大型プラントに発展している。廃棄物収集車がその地区内を回って廃棄物を回収する必要が無いことは、大気汚染を減らすばかりでなく、交通や犯罪の観点から地区全体の安全性の向上にも繋がる。
・ パッシブハウス。西スウェーデンを中心に、「無暖房住宅」(パッシブハウス)が増えている。これは、壁・床・天上の厚みを増やし、断熱材を入れることによって屋内を基本的に暖房無しにするというものである。必要な生活用温水は屋上にソーラーパネルを設置することによって賄う。寒冷地であるスウェーデンでは暖房にかかるコストが非常に大きいので、パッシブハウスの注目は高い。パッシブハウス建設に最も熱心スウェーデン西部アーリングソース市に、パッシブハウスセンターがあり、これまで30のプロジェクトがあり、1戸建から300世帯の集合住宅まで様々な規模のパッシブハウスが建設されている。
スウェーデンのエネルギー政策
・ 1979年のハリスバーグ原発事故の後、スウェーデンでは原発廃止論議が盛んになり、1980年の国民投票で「原発の新設をやめる。国民生活を送るために必要な伝記が供給され続けることを条件に現存する12基の原発を順次廃止する」路線を選択。国会はそれを受けて2010年までに原発を廃止することを決定。しかし、再生可能エネルギーによる発電が思うように進まないことから現在までに2基のみが廃止されただけである。
・ スウェーデンの電気需要のほとんどは原発と水力発電でほぼ半分ずつ賄われている。
・ 第一次オイルショックでは、原子力へ方向転換し、第二次では、再生可能エネルギーへ向かった。スウェーデンは、化石燃料依存ゼロを目指している。
日本企業のビジネスチャンスは、以下4つの分野であるのではないか。
- 風力発電
・ 風力発電はこれまでに何度か国の補助金が支給されたが、財政難や発電量が伸びないことを理由に数年後にその制度がその都度廃止された経緯から、一時は、スウェーデンから関連企業がほとんど消滅してしまった。この背景には隣国デンマークが大々的に風力発電に力を入れ、有力企業がそちらに育ったということもある。
- 太陽エネルギー関係
・ スウェーデンは非常に軽度が高い関係から半年間は太陽光が少ないため、太陽熱発電は経済的効果が薄いが、太陽熱暖房は装置が安く上がれば非常に有効な暖房手段となりえる。
- ヒートポンプ
・ スウェーデンではヒートポンプは、元来は地中熱と地上熱の交換するものととらえられており、日本企業の強みである空調ヒートポンプはあまり見かけられなかった。
- エコロジカル(オーガニック)食品
・ エコロジカルナ食品を求める声が強いにもかかわらず、慢性的なエコ食品不足の状態が続いている。価格が高くても購入したい消費者数は増えているので、例えば、高品質なオーガニックな飲料等は十分チャンスがあるものと思われる。
最後に、メンバーからの所感を寄せ書きします。
◎先ず、緯度が高いことによる11月という初冬の時期でもあり寒さを体感する。
◎気温が低い割に、北欧の樹木が旺盛な伸びと密植の繁茂ではないが樹木の倒木を見られない。それは日本のように台風(強風)がないということと、土壌が肥沃であることの証明である。それが木工産業を盛んにさせたことを実感できる。
◎環境立国といわれる如く、乱開発が見られず自然を大切にし、自然と共生の状況を感じる。
◎何十キロも平坦な道路を走ることができ、北欧の大地を感じる。
◎農村部に入ると家屋が点在し、隣家が遠く馬車と車社会の歴史を感じる。
◎国民の暮しはおおらかで、身長も大きい。
◎社会生活と国の在り方は、高負担、高福祉つまり国民の税の負担は50~54%
しかし、老後、医療、教育、子育てすべて国、公が負担している。
将来も今も心配が不要である。ただ国として市、県の心配なのは、国民のやる気、イノベーションが欠けること。
◎そのため、個人個人の意識を高めるため教育に力を注いでいる。
◎大学進学と技術と科学の高度な育英制度の充実によって、人づくりと国づくりの理念が徹底されている。
◎外国留学生も同じ条件で教育を受けており、それが将来の人材交流となっており、経済貿易に大きな貢献を果たしている。
◎国民一人当たりのGDPは、世界の上位(8位)である。(ちなみに日本は23位)
◎税金は国民の第二の貯金であり、自分の将来を保障するものである。
真に福祉国家の理念であり友愛の理念であることを確信した。