20130306一般質問

民主党会派の渋谷哲一です。通告に従い質問いたします。

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経済大国と呼ばれた日本は、今、岐路に立たされております。
国民と共に新しい国づくりを進めるのか。
それとも、これまでと同じ過ちを繰り返し、問題を先送りするのか。
日本の政治が国際社会から試されております。
発想を変え、覚悟をもって日本再建に取り組んでいかなくてはなりません。
そのためには、3つの取り組みが必要です。

一、国家ビジョンを国民に示し、政治と国民が同じ思いで進んでいくこと
一、財政再建
一、成長産業の育成 
であると、私は、考えます

約1000兆円にも上る国の借金と、いまだに毎年、約34兆円にもなる財政赤字のため、借金を増やし続けている政府。
世界に誇る年金や医療制度など、いわゆる社会保障制度も、このままでは、とうてい次の世代に引き継ぐことは難しい状況になってきております。
更に、国民の最後のセーフティーネットであるはずの生活保護制度も、近年「働ける世代」の受給急増で、制度そのものの存続が危ぶまれてきております。
このまま我が国の将来像を明確に示さないまま、国民への不人気政策に手をつけられず、問題を先送りし、対処療法を繰り返していては、やがて国力は失われ、私たち国民が、現在、享受している生活を維持することすらできない未来が、すぐそこまでやってきております。

私は、昨年、民主党の前原前政調会長と話をする機会があり、「党としてどのように約1000兆円にも上る国の借金を解消するつもりなのか」と質問をしましたが、明確な返答はありませんでした。
政治は、我が国が抱えている問題を、国民に提起し、その解決のための道筋を明示し、実行していく責任があります。
残念ながら、民主党政権は、この責任を果たすことなく国民の信を失い、政権交代となりました。
しかし、同じ問題が、今、自民党に突き付けられております。

阿部総理は、所信表明において、2020年にプライマリーバランスを黒字化するとしていましたが、そのための明確な道筋を示さず、このままでは、毎年数十兆円単位で国の借金が膨らみ続けていきます。
かつてのように公共事業を景気対策として、本当に財政再建ができるのでしょうか。
財政再建の柱の一つである消費増税は、野田前総理が一身に引き受け、ボロボロになりながら退陣いたしました。

せっかく緒に就いた財政改革を、次の世代に先送りすることなく、原因者である自民党が現政権でやり遂げることを切に願っております。

現在、ユーロ各国とアメリカで財政問題が顕著化し、世界経済を揺るがす問題となっております。
イタリアの総選挙では、財政再建路線に対する国民の強い不満から、緊縮財政政権が上院で過半数を維持することができず、落ち着いていたと思われていたギリシャに端を発した、財政、金融危機が再燃しようとしています。昨年、欧州中央銀行による国債の無制限購入といった思い切った政策で、この問題は鎮静化していましたが、結局、根本解決がなされていないため、問題先送りに過ぎず、いつまでも不安定な状況が続いております。

それぞれの国の国民と政治に意識のずれがあり、問題解決を遅らせています。
アメリカでも与野党が包括的な財政再建で折り合えず、約112兆円の歳出を10年間で強制的に削減することとなり、雇用や国防、交通など、幅広い分野での影響が心配されており、まさに先進各国は、痛みを伴った大手術を迫られております。
小手先の改革では、どの国も問題を解決できません。
そして、日本は、それらの国々を遥かに超える財政問題を抱えているのです。
円高の現在でも、日本は、世界各国に日本の製品を売り、稼いだお金を、燃料調達のために中東諸国に投入するという状況が続いております。
財政問題をこのままにして、さらに借金が膨らみ、国民の総資産を超える状況となった時、日本は、国際社会から信用を失い、円安に歯止めがかからないといった日が、刻一刻と近づいているのではないでしょうか。
私たちは、EU発の財政、金融危機とアメリカ発の財政緊縮危機に備えなくてはなりません。
そして、何よりも、「日本発の財政危機」を起こさないため、政治と国民の意識改革が必要です。
さて、私たちの青森県はどうでしょうか。
県民にとってのより良い青森県を創るため、私たち政治と行政の取り組みは十分といえるのでしょうか。
三村知事は、これまで「暮らしやすさではどこにも負けない地域づくり、すなわち生活創造社会の実現を目指して歩んできた」と訴えております。
しかし、全国最下位の平均寿命をはじめ、所得、有効求人倍率、自殺率など、一向に県民の生活が改善されているという実感がわかないばかりか、むしろ閉塞感さえ漂っているのではないでしょうか。
それを端的に表しているのが青森県の人口減少です。
今なお、毎年1万人以上の人口減少が続いております。
その一方で、財政再建は、県職員と共に地道に進められ、青森県の財政調整4基金をマイナスにすることなく、プライマリーバランスを赤字にしない取り組みが現在も続けられております。

その中で、青森県の成長産業をどのように育てていくのかが大きな課題であり、今回、私は、青森県の強みである、エネルギーと農林水産業、そしてマンパワーを必要とする高齢者福祉分野での成長戦略を中心に、お伺いいたします。

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まず始めに、エネルギー関連の質問です。
我が国は、これから、この国のエネルギーをどのように供給していくかという難問を抱えております。日本のエネルギーの自立をどのように築いていくのかという問題への答えを見出していかなくてはなりません。

このまま他国からのエネルギー資源の供給に100%依存し続けるのか。
それとも、エネルギー供給を減らし、国民に自給自足の生活をお願いするのか。
または、新たなライフスタイルを提供するのか。
多くの選択肢が横たわっており、最終的に選ぶのは国民、県民でなくてはなりません。

青森県は、これまで日本のエネルギーを支えるという気概を持って、下北半島を中心に、エネルギー供給の拠点を築いてまいりました。今後も、その役割を担っていく責務があると思います。

現在、次世代のエネルギー拠点としての取り組みが着々と続けられております。国際核融合炉(ITER)であります。
地上に人口の太陽を創るといわれるITERは、未来のエネルギーとして、欧米をはじめとする先進各国の協力の下、フランスのカダラッシュに実験炉が建設され、それをバックアップするための「幅広いアプローチ活動」が本県の六ケ所村に設置され、着々と成果を上げてきております。
ITERの「安定した長期間運転」を可能にする技術確立が目的です。

昨年10月、私たち一行は、フランス南部の港町マルセイユから車で約1時間の場所にあるITER本部に到着しました。ちょうど本部の事務棟が完成し、間借りしていた事務所からの引っ越しの最中で、ITER機構の最高責任者である、本島理事長に出迎えられました。以下は、本島理事長の説明です。

3.11の福島原発事故やヨーロッパの経済危機を乗り越え、欧州議会は、€13億の追加予算の配分に合意してくれ、昨年4月トカマク耐震ピットに、1本あたり2000tの荷重を支える439本の免震パッドが設置され、実験炉建設の基盤が完成しました。

福島の原発事故後、ストレステストが行われ、最大の事故に対するセーフティーマージンが見直され、様々な改良が加えられることとなりました。
カテゴリー4の事故は、安全を確保したうえで、施設の再使用が可能と設定されており、これに呼応するため実験炉の耐震性を50%アップしました。
カテゴリー5では、装置が壊れることを想定して、床厚を1.5mとし、M7の直下型地震にも耐えられるコンクリートの強体に変えることとしました。

また、フランスの原子力安全局の総裁が検査に来て、虫眼鏡で見ないとわからないよう小さなクラックを指摘され、修正。
さらに免震構造の基準をアップしたため、20億円の追加予算が必要となりました。

カダラッシュでは、3000人が建設に従事し、建設終了後は、地元で働けるよう支援もしているそうです
2011年度には、土木工事の92%、機械分野では、28%の進捗率。
予算不足のため建設が延期されている分、建設費が上昇。
更に、改良のためのコスト増に悩まされております。

ITERで得られた実験成果は、関係各国がそれぞれ活かしていくこととなります。
そのためにも、人材育成が重要です。
467億円もの資金が地元カダラッシュの県や市に投入され、道路の改修が進められ、国際学校の整備が行われました。現在、ITER職員の子供たちが約240名通っており、地元の子供たちと一緒に勉強しているそうです。
また、今回の福島の事故でも、東京電力の技術者がどのような教育を受けてきたのかを検証すべきだと訴えておりました

ITERには、3つの利点があります。
1. ウランは使用しない
2. 燃料供給を停止すると核融合反応は瞬時に止まる
3. 三重水素は不拡散物質ではない

ITER計画が成功すれば、次は、発電に向けた商業炉開発です。
これは、勿論、関係各国が、それぞれ独自に取り組むことになります。
ITERの部品は、各国で研究し、発注し、物納させるため、各国に技術と知的所有権が残り、それを商業炉に活かすこととなります。
特に、中国は、必死です。大学に学部を作り、人材育成し、将来に備えています。人材育成のためには、時間とコストがかかるのです。しかし、最後は、人材が成否のカギを握っているのは、間違いありません。
日本の未来のエネルギーを支える核融合炉。ITERが成功したのちには、各国での商業炉のための原型炉建設が始まります。そして、日本では、青森県六ケ所村がその第一の候補地となるのではないでしょうか。是非、未来のために、日本政府と、青森県が協力して、この事業を積極的に推進してくださることを切に願います。
ITERは、2020年11月の初プラズマを目指しています。
以上がITER機構、本島理事長の説明でした。

そこで、ITER計画及び幅広いアプローチ(BA)活動についてお伺いいたします。
(1) 核融合原型炉の誘致に向け、県は、どのように今後取り組んでいくのかお伺いいたします。
また、ITER計画には、幅広い人材が必要です。そのために、必要とされた技術者の子供のための国際学級が現在、休止状態と聞いております。人材を広く集めるためには、環境整備も大事な柱の一つです。
(2) BA国際学級のこれまでの状況と、今後の体制についてお伺いいたします。

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次に、クラウドあおもり戦略についてお伺いいたします。

成長産業を育成するとき、IT技術の利活用抜きには語れない時代となりました。
例え、それが農林水産業であれ、エネルギー分野であれ、IT技術を駆使し、膨大なデータを基にした戦略とシステムが必要です。また、それらを扱う人材は何よりも重要です。

そこで、

(1)クラウドあおもり戦略の主な内容とこれに沿った取り組みについてお伺いいたします。
(2)県や県内市町村の行政運営におけるクラウド利用の検討状況についてお伺いいたします。
(3)先の、大震災時の経験から、災害等の緊急時には、情報技術の利活用が有効であると考えますが、県の取り組みをお伺いいたします。
(4)また、県は、成長産業として、グーグルを始めとするデータセンターの誘致に取り組んでおりましたが、誘致促進に向けた、これまでの状況をお知らせください。
(5)風力発電などの再生可能エネルギーを活用したコンテナ型データセンター実証調査の内容について伺います。
(6)最後に、今後どのようにデータセンターを誘致していくのかをお伺いいたします。

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次に、高齢者福祉政策についてお伺いいたします。

私は、高齢者福祉政策こそが、知事が訴え続けている「暮らしやすさではどこにも負けない地域づくり」の要となるのではないかと思います。老後を心配することなく、この地域で安心して暮らしていける社会の創造こそ、県民の求めているものではないでしょうか。
スウェーデンでは、国と地域の自治体が協力して高齢者に手厚いケアを保障しているため、個々人で特別にお金や財産を残さなくても老後を安心して過ごすことができます。そのため、収入は、消費に回されます。
本県も他地域より手厚い施策を展開し、老後の心配の無い地域へと変えていくことにより、本県の成長産業となり、経済への波及も大きくなると思われます。個々の負担、行政の負担も大きくなりますが、「選択と集中」による本県独自の成長戦略となるのではないでしょうか。
そこで質問いたします。

(1)高齢者が安心して生きられる社会を創造するため、高齢者福祉政策をどのように展開していくのか、県の基本的な考え方をお伺いいたします。
(2)国では、在宅介護をより重視していると見受けられる一方、県内では施設での介護を必要とする高齢者も多いと思いますが、県の考えをお伺いいたします。

また、近年、介護保険施設等が防災対策の不備のため、火災によって入所者が亡くなるという事故が相次いでおります。
高齢者が安心して暮らせるはずの施設が、本来の役割を果たしていないということは、人命にかかわる重要な問題です。法律や条例を超えて、安全、安心を守ってこその福祉ではないでしょうか。
そこで介護保険関連施設における防災対策についてお伺いいたします。
(1) スプリンクラーの設置義務がある介護保険関連施設にはどのようなものがあり、このうち面積が基準に満たないことにより設置義務がない施設は何か所あるのかお伺いいたします。

(2) 既存施設にスプリンクラーを整備する際の補助制度はどのようになっているのでしょうか。

(3)各施設における人員配置基準の遵守の状況について、行政による指導監督はどのように行われているのかお伺いいたします。

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次に学校給食での地産地消についてお伺いいたします。

学校給食の地産地消の推進は、本県の一次産業に大きく貢献することとなります。
本県の農業を取り巻く環境は非常に厳しく、後継者も育っていないのが実情であります。
攻めの農林水産業では、「六次産業化」を推進しており、食品の付加価値を高め、安定して市場に送るという取り組みが進められております。特に、1次加工、2次加工の普及が課題です。
昨日、七戸町と新郷村が、2013年度から、子育て支援と定住促進のため、小中学校の給食費を無料化する関連経費を盛り込んだ当初予算を提出したという報道がありました。それぞれ、5452万円と1026万円です。市町村では、子供たちへの食育の関心が高く、今後も各地で様々な取り組みが行われるものと思われます。
学校給食は、短時間で調理できる加工品を、季節に関係なく大量に必要とします。本県が学校給食等で地産地消を進めていくことによって、1次、2次産業従事者に安定した収入を提供することができます。
青森県と市町村との連携によって、子供と食育、そして地産地消といった大きな流れを作ってくださいますようお願いいたします。
県の支援とサポートが必要です。

そこで

(1) 学校給食での県産食材の使用状況についてお伺いいたします。

(2) また、学校給食での県産食材利用促進に向けたこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

(3)学校給食での一層の県産食材利用拡大に向け、県は、今後、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

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次に、県産品の輸出促進についてお伺いいたします。

本県の1次産業を育成していくためには、加工技術の向上によって加工品の品質を高め、ブランド化する取り組みが必要です。
ベルギーの首都ブリュッセルで、日本食材を販売している「田川」という店を訪れた時、店のレジに青森県産の熟成黒にんにくが、一玉 €14で売られておりました。
一玉1700円という金額に驚き、思わず、どんな人が買うのかと聞いたところ、ベルギー人とベルギーに住む日本人が半々の割合で購入し、主に健康食品として、そのまま食べるとの事でした。爆発的には売れないが、結構売れているそーです。
ただ、残念だったのは、青森県産の黒にんにくを販売していたのは、和歌山県の企業でした。
ヨーロッパでは、近年、健康に良いといわれる日本食ブームで、日本食材や日本酒が販売されております。ところが、中国や韓国の低価格で品質の悪い日本食もどきが出回っており、特に、日本酒は、温度管理もされていない低品質のものが売られており、メイドインジャパンの評価を著しく傷つけております。この状況が続けば、日本食材の悪いイメージが定着してしまいます。ベルギーは、ヨーロッパへの物流の入り口でもあり、ここから日本食の評判が広められていきます。
品質の良い、付加価値を高めた県産加工品をヨーロッパの主要都市にある日本食材店への販路を開拓すべきです。そして、そこから各地のレストランへ広め、ヨーロッパでブランド化されれば、国内での販路も大きく広がっていくのではないでしょうか。

そこで質問いたします。

(1) まずは、食品加工の強化が重要と考えますが、県はどのように取り組んできたのかお伺いいたします。

(2)次に、欧米などの地域に輸出しようとする県内企業を積極的に支援すべきと考えるが、県の取り組みについてお伺いいたします。

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最後に、県体育協会への支援体制についてお伺いいたします。

青森県を成長へと導くための要は、人材育成ではないでしょうか。
先ほど提言した、青森県の成長戦略を推進していくためには、それを支える多才な人材が必要です。
本県の子供たちの教育がその中心となります。
知識だけではなく、様々な経験を通して、たくましい子供たちを育てていく事が、本県の力となるのではないでしょうか。
スポーツは子供たちに、多くのことを学ばせてくれます。
努力や忍耐、チームワークなど、子供たちの力となります。

青森県体育協会は、本県のスポーツ振興の要であり、子供たちが純粋にスポーツを通して様々な経験を積み重ねていくための大切なサポート役でもあります。

そこで質問いたします。

(1) 平成23年度から平成25年度まで県体育協会の運営に対する補助金の額についてお伺いいたします。

(2) また、県体育協会に対する県職員派遣の理由と派遣状況についてお伺いいたします。

(3) 県体育協会に対する職員派遣の今後についてお伺いいたします。

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再質問

不適切な経理が明らかになり、平成17年から組織再生への取り組み支援のため県職員を派遣、当初は、3名で、現在1名とのことでした。
(1) まずは、組織再生は、終了したのか、未だ続いているのかお伺いいたします。

科学技術センター管理運営委託とスポーツの一層の推進のため継続して派遣しているとのことでしたが、県からの補助金も出ており、プロパーの職員もおり、県から職員を引き続き派遣する必要を感じません。
県職員数は、かつて、6000名以上でした。それが県の行財政改革により、今や、4000人以下となっております。2000名以上の県職員が削減されました。
各位の不断の努力の結果だと思います。
ところが、その一方で、未だに、県体協に職員を送り続けるのは、何か特別な理由があるのでしょうか。県体協の会長兼理事長が、三村知事の「元女房」だから未だにこのような待遇が続いているのでしょうか。

(2) 事件を契機に派遣するようになった県職員です。もう8年も経過しています。どのような状況になったら派遣をやめるのでしょうか。具体的な目標があるのでしょうか。県の見解をお伺いいたします。

ロンドン五輪のサッカー男子3位決定戦で日本に勝った後、竹島の領有を主張するメッセージを掲げた韓国選手に、IOCは、同選手の行動が、会場などでの政治的な宣伝活動を禁じた五輪憲章に抵触する可能性があるとしてメダル授与を保留していました。
私は、スポーツは、政治と、切り離すべきと考えます。そして、その県のスポーツ振興の中心となる、青森県体育協会は、厳格にそうあるべきではないでしょうか。
ところが、その先頭に立つべき、県体協の会長兼理事長が、先般、自ら特定の政党の支援を受けて、市長選へ立候補表明いたしました。
そして、それに呼応するように三村知事が2月28日の定例記者会見で、熱烈なエールを送っておりました。
マスコミ報道によりますと、三村知事は、「元女房」と繰り返し表現するなど親密さを強調。事務所開きに行って、頑張れとすることは一緒に仕事をしてきた女房に対する思いとして、許されてもいいのでは」と述べ事務所開きに出席する意向を示した。とありました。
現状のままでは、青森県体育協会の組織再生は完結していないのではないでしょうか。スポーツと政治を完全に切り離し、政治色のない体制が構築できた段階で県体協の組織再生は完結するのではないでしょうか。

人情として三村知事の気持ちは、痛いほどわかります。元女房であればなおさらです。しかし、知事は公人です。時には、冷徹な決断も必要です。

(3) 青森県からは、公金と職員が県体協へ投入されております。その県体協の会長が、市長選に立候補したことについてどのように知事は考えているのかお伺いいたします。
(4) また、スポーツと政治を切り離し、青森県体育協会の体制を強化すべきと考えます。あわせて、三村知事の見解をお伺いいたします

以上です

平成25年2月 第273回定例会

3月6日(水)(一般質問4日目)に行われる一般質問の通告内容です。

平成25年2月 第273回定例会一般質問通告内容
1 ITER計画及び幅広いアプローチ(BA)活動について
2 「クラウドあおもり戦略」の取組について
(1) 戦略の内容及び行政におけるITの利活用について
(2) データセンターの誘致について
3 高齢者福祉施策について
(1) 県の高齢者福祉施策に対する見解について
(2) 介護保険関連施設における防災対策について
4 学校給食での地産地消について
5 県産加工食品の輸出促進について
6 県体育協会への支援体制について

3番目の質問者ですので、午後2時頃になると思います。
是非、県議会へお越しください。

【議会の傍聴】に関しての県議会のホームページ
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/gikai/bocho.html

九州・山口の近代化産業遺産群【軍艦島】

軍艦島とは、通称であり、正式には、端島(はしま)というのが正式名称です。
日本の近代化を象徴する数々の遺産群が九州北部地域にあり、その中の重要な構成資産の一つが軍艦島です。
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2009年1月5日、世界遺産暫定リストに掲載された「九州・山口の近代化産業遺産群」の構成資産の一つとなり、炭鉱閉山後の永い眠りから目覚め、現在では、多くの観光客が日々見学に訪れる、長崎でも有数の観光地となっております。

荒廃した炭鉱が、今や、日本の産業化、近代化を支えた歴史を物語、過去を振り返るための、貴重な存在となっております。
特に荒れ果てた住居跡、採掘の現場や子供たちが通った学校跡が生々しくあり、人類のこれまでの「歩み」さえ考えさせられるものでした。
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軍艦島は、長崎港より船で約40分の小さな海底炭鉱の島でした。草木のない、水成岩の瀬にすぎなかった島を、1890年から三菱の経営によって、製鉄所向けの製鉄用原料炭を供給し、掘り出した土砂によって島の周辺を埋め立てながら、荒波から島を守るための護岸堤防の拡張を繰り返し、現在の島の形状にしていったのです。

1916年、日本初の高層鉄筋アパートが建てられてから、次々と高層建築が林立し、海の要塞の感を呈するようになり、軍艦「土佐」に似ていることから軍艦島と呼ばれるようになりました。
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最盛期には、約5300人もの人々が住み、東京の9倍の人口密度の中、島には、小中学校、神社、病院、商店、映画館やパチンコ等の娯楽施設がそろえられていきました。

ところが、昭和30年代後半から、エネルギー革命により、石炭の需要が減少し、1974年1月15日に閉山し、無人島となりました。
それ以来、島は放置され荒廃していきます。

そして現在、九州・山口の近代化産業遺産群の世界遺産登録という新たな目標に向かって整備されています。
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島に上陸すると、見学できるのは、護岸堤防沿いに歩いて行ける3か所のみでした。高層鉄筋アパート群を始め多くの建築物は倒壊の危険性があるため立ち入り禁止となっています。そのため、それらの建物から離れた場所から安全を確保しながらの見学、説明となります。
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ガイドによる島の歴史を聞きながら、当時の喧騒を想像します。世界遺産への登録はもちろんですが、日本の近代化の証として、長崎の歴史と繁栄の時代を映す役割を担い、今後の更なる取り組みが求められます。
このままでは、遠からず高層アパート群は倒壊し、いずれ、瓦礫の山となります。この島の現在の姿を、このまま残していくための取り組みが必要不可欠であり、行政の早急な取り組みが必要です。
是非、この日本の遺産を、このままの姿で次の世代に残していくべきではないでしょうか。
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浮体式洋上風力発電実証事業

環境省が進めている世界初の浮体式洋上風力発電の実証実験が、長崎県、五島列島の椛島沖で行われています。
実験場所は、まず、長崎港から福江島に、ジェットフォイルで約1時間半、更に、福江港から、海上タクシーをチャーターし、約30分で到着します。

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戸田建設の担当者が福江港から一緒に乗船して説明してくれました。

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椛島の沿岸から約1㎞沖合に浮体式洋上風力発電所は位置しています。沿岸から近く、約100mの水深がある場所は、なかなかありません。
沿岸から近いということは、高価な海底ケーブルをなるべく使わなくても済むということであり、コスト削減の重要な条件です。
風力発電は、いかにコストを安く抑え安定して発電させるということが重要なのです。
この事業に使われている風車は、沖縄県伊是名島で10年使われていた中古品です。
下部浮体部はコンクリート製で、低コストで風車の重心を下げるとともに、水圧でコンクリートが圧迫されて安定します。コンクリートは、地元建設会社に発注可能で、運搬コストも安くなります。

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安定した出力を維持するため、最大100kwの出力がありながら、40kwに抑えられて一定出力としております。

ちなみに、風車の胴体部の黄色は、国際法上定められているそうです。

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事業の収支をプラスにするためにも、風車は20年間安定して稼働することが重要です。特に、台風による破損がないような強度や仕組みが必要です。

今年発生した台風17号は、100年に一度、そして台風16号は、これまでで最大規模のものでした。波は、14秒間、20mにも達しましたが、風車に損傷はありませんでした。
ところが、陸上にある変電所が海水を浴びて1か月間停止してしまいました。

今後は、来年夏に稼働を目指している2000kw級の実証機に、今回の台風から得た知見を導入し、設計を変更し、安定性を向上させるそうです。
このためのコスト増は10%程度にとどまるようです。

「いかに早く減価償却できるのか、そして、減価償却後、何年間の稼働が可能なのか」が風力発電の成否のカギとなります。

長崎EV&ITSプロジェクト

平成24年11月15日、長崎港からジェットフォイルで約1時間半、福江港に到着し、早速レンタカーを借りました。
EV(電気自動車)のI-MIEVです。

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「五島市EV、ITS実配備促進協議会」によって、島には、レンタカー、NPOやタクシー会社に対して、I-MIEVが71台、PHVが2台、そしてリーフが9台の計82台が低料金でリースされております。

この事業は、国から選定され「長崎県EV、PHVタウン構想」として、世界遺産候補を有する五島地域において、EV等とITS(高度道路交通システム)を連動させた未来型のドライブ観光システムを構築することを目的としています。

五島市の中心は、福江島。一周約100㎞の小さな島です。子供たちが、高校や大学進学のために島外へ出てしまい、若者がいなくなるため、人口がどんどん減少しているのです。

農業と漁業で生計を立てており、近年、コールセンターを誘致し、2か所で約100名の雇用を生み出しました。

今後は、マグロの養殖基地として、また、椿油が特産品となっており、資生堂のシャンプーに使われてから需要も増えたため、新たな産業としての期待が高まっております。

島のガソリンは輸送費が嵩むため、他地域よりリッター当たり25円~30円高く、電気も海底ケーブルで長崎から送電されています。

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プロジェクトは、雪の降らない島内では、将来に向けた希望の光となるのではないでしょうか。県境に優しいEVで島内の教会や景勝地を巡り、自然を満喫しながらエコの島としてCO2フリーの街を構築し、未来型の地域づくりを行い、他との差別化をしていく事によって新たな価値が生み出されるのではないでしょうか。

EVを始めて運転しました。
静かで力強く、何よりも、環境に優しいということが、旅を充実させてくれます。青い空、青い海を感じながら、道の奥にある堂崎教会に到着しました。これまで育まれてきた歴史に思いを馳せました。

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このような環境を青森県でも構築できたら素晴らしいのではないかと思いながら、同時に雪深い冬の青森市を考えていました。

EV用の急速充電器は、7か所15基、約20㎞間隔で設置されています。
普通充電器は、11か所17基で、主に、夜間充電(7時間)のために、宿泊所や飲食店に設置されています。

ITSは、3か所、3基整備し、未来型の観光を目指しています。
まだまだ、EV等は、島民や観光客から充分に認知されていないため、利用者が少ない状況ですが、今後、イベントやPRを通じて、より多くの方々にEVの利点を理解してもらう必要があります。まずは、EVを使ってもらい、知ってもらい、好きになってもらう、ということが第一歩ではないでしょうか。

島全体が、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーによる電力供給と化石燃料を使わない島内の交通システム構築により、CO2ゼロの街を目指していくべきと感じました。差別化となるのではないでしょうか。

長崎の教会群とキリスト教関連遺産

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録に向けた取り組みを調査してきました。

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国の文化審議会からの課題を踏まえ、次の3点を重点項目として取り組んでいます。

①    顕著な普遍的価値の証明

・コンセプトの明確化

・構成資産の充実と精査

・類似の世界遺産との比較研究

②    国内における万全の保護措置

・文化財の国指定、国選定への昇格、新規指定

・文化財の保存管理計画等の策定

・文化財の緩衝地帯(バッファゾーン)の設定

③    登録前からの適切な公開、活用の検討

特に、普遍的価値の証明は最重要であり、先に登録された平泉は、良い先例となっているのではないでしょうか。

長崎県では、キリスト教の伝播と浸透のプロセスを世界遺産としての価値づけの中心としています。

Ⅰ、Ⅱ期は、キリストの伝来と繁栄

Ⅲ期は、キリスト教の弾圧と禁教下のキリシタン信仰と「かくれキリシタン」

Ⅳ期は、250年もの長期にわたる潜伏からの「奇跡の復活」(大浦天主堂における信徒発見)と信徒発見後の教会堂の建設

以上のⅣ期に分け、数ある資産から13に絞って構成資産としました。

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20130206-8 20130206-9 20130206-10 20130206-11 20130206-12

これらの絞り込みも、世界遺産登録に向けた重要なプロセスであり、地域間の調整が難しい中で行われました。県民の理解が最も不可欠なプロセスでした。

年々、世界遺産登録のハードルが高くなっている現状では、長崎県の取り組みは、青森県の参考となるのではないでしょうか。

日本初の「かくれキリシタン」という日本語が世界標準となることを切に願っております。

平成23年2月23日、長崎県議会は、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」 の世界文化遺産への登録実現に関する決議を採択いたしました。高いハードルをクリアするためには、県当局を始め、県民一丸となった取り組みが必要です。

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「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界文化遺産への登録実現に関する決議

 

世界文化遺産は、顕著な普遍的価値を有する文化遺産を人類全体の「たからもの」として、損傷、破壊等の脅威から保護、保存するために、「世界遺産条約」に基づき選定登録されるものである。

世界文化遺産は、条約国がそれぞれの国の世界遺産登録候補をユネスコの世界遺産暫定一覧表に登載し、専門家の調査やユネスコ世界遺産委員会での審査を経て、登録される。

現在日本においては、11件の世界文化遺産が登録されており、また文化遺産の暫定一覧表には13件が登載されている。

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は、世界史に類を見ない250年に及ぶ長期の潜伏を経て復活した我が国のキリスト教布教とその受容の歩みを示し、また、和洋の建築技術の融合、優秀な自然環境と一体となった文化的景観など優れた価値を持つことから顕著な普遍的価値があり、世界遺産として登録されるにふさわしい文化遺産であると考える。

「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が持つ文化的価値が世界に認められることは、長崎県の誇りとなるものである。また、この世界文化遺産への登録により、県民において、貴重な文化遺産を大切に守り伝えていこうという、より一層の意識の高まりが期待できる。

さらに、構成資産候補は、五島列島をはじめ県内に広く分布しており、これら構成資産候補を活かした地域づくりによって交流人口の拡大などの地域活性化が期待できる。

よって、国、県当局におかれては、平成26年のユネスコ世界遺産委員会での審査・登録を目指し、構成資産候補の国文化財への指定・選定や所有者・地元住民と協働してつくりあげる各種計画の策定など必要な作業を着実に進め、地域の実情を的確に把握したうえで必要な支援策に積極的に取り組むよう強く要望するとともに、本県議会としても、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が世界文化遺産へ推薦、登録されるよう、県当局をはじめ県民と一体となって全力を尽くすものである。

 

以上、決議する。

平成23年2月23日                           長 崎 県 議 会

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地元銀行による世界遺産登録応援定期(+0.1%の金利)によって県民意識の醸成応援や、しおり、カレンダーの配布等、様々な取り組みが官民によって進められています。

私たちは、構成資産の中心でもある、大浦天主堂を訪れました。

幕府が開国して欧米5か国との修好条約が結ばれ、長崎港に外国人居留地が形成され、日本最古の教会堂が建設されました。これが大浦天主堂です。ローマ教皇により1862年に聖人に列せられた西坂の26人の殉教者に献じられました。1865年3月、浦上地区の潜伏キリシタンが聖堂を訪れ、プティジャン神父に信仰を告白した出来事は、「信徒発見」と呼ばれ、弾圧の中、250年も潜伏しながらキリストの教えを継承してきた日本人がいることは、驚きと感動をもって当時のヨーロッパに伝えられ、世界宗教史上の奇跡とされています。

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信仰の自由を得た各地の信徒は、この後、潜伏してきたそれぞれの集落に教会堂を建設していったのです。

福江島にある堂崎天主堂は、道の奥に、ひっそりと穏やかに佇んでいました。

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ITER(核融合実験炉) ~未来のエネルギーへの道~

フランス南部の港町マルセイユから車で約1時間、高速道路を降りたら、既にITER本部のあるカダラッシュに到着しました。緑豊かな田舎の中にポツンと事務棟が佇んでおり、人類の未来を担うエネルギーを開発中とは想像もつかない場所でした。

私たち一行は、ちょうどITER本部の事務棟が完成し、間借りしていた事務所からの引っ越しの最中訪れることとなりました。まだ、エレベーターや窓、壁、トイレとあちこちに整備中の場所があり、これからここで本格的に人類の未来を切り開いていく取り組みが行われると思うと、その創世記の現場に立ち会っているような思いでした。

10月17日午前10時、私たち一行は、ITER機構の最高責任者である、本島理事長に出迎えられました。

まずは、ITER計画の基本的な説明をいたします。
○ITERとは何?
・トカマク方式の核融合実験炉
・強い磁場により1億度のプラズマを発生させ核融合反応を起こす
・入力したエネルギーの10倍のエネルギーを生み出す
・核融合商業炉を作るための実験炉
・燃料となる重水素と三重水素は、海中に無尽蔵

核融合を起こすためには、1億度のプラズマを発生させ、それを閉じ込め、継続させなくてはならない。それが可能かどうかを実験する実験炉なのです。

2005年6月28日、ITERに参加している国々は、全会一致で、ITERを南フランスのカダラッシュへの建設に合意
2006年11月21日、パリでITER協定を署名
2007年10月24日、ITER機構発足
2010年7月28日から実験炉の建設が始まりました

実験炉はフランスに建設されますが、それと並行して、日本の青森県、六ヶ所村に実験炉建設をサポートする拠点が置かれています。
それが、「幅広いアプローチ(BA)活動」と呼ばれるものです。

○では、幅広いアプローチ(BA)活動とは?
・ITER計画を補完、支援しながら、将来建設される核融合商業炉の原型炉に必要な技術基盤を確立するための先進的研究開発を行う

・国際核融合エネルギー研究センター事業は、原型炉の概念設計、研究開発、ITERなどの実験の遠隔操作やシミュレーション研究を行う。そのためにITER専用のスーパーコンピューターが、2012年1月から運用開始

・国際核融合材料照射施設の工学実証及び工学設計活動は、原型炉に必要な高強度材料の開発を行う施設の設計、建設への取り組みを行い、材料の照射実験を行うための原型炉加速器は2016年に完成予定

・サテライト・トカマク計画は、日本の臨界プラズマ試験装置JT-60を超伝導化(JT-60SA)し、ITERでの実験を補完する実験を実施し、原型炉に求められる安全性、信頼性、経済性のデータを獲得する。JT-60SAの運転開始は2019年の予定

本島理事長は、ITER機構の現状と現場の説明をしてくれました。

2007年理事会で、コストやスケジュールといったベースラインが承認されました。

3.11やヨーロッパの経済危機を乗り越え、欧州議会は、€13億の追加予算の配分に合意してくれ、今年4月トカマク耐震ピットに、439本の免震パッドが設置され、実験炉建設の基盤が完成しました。1本あたり2000tの荷重を支えるそうです。

3.11後、ストレステストが行われ、最大の事故に対するセーフティーマージンが見直され、様々な改良が加えられることとなります。
カテゴリー4の事故は、安全を確保したうえで、施設の再使用が可能と設定されており、これに対して耐性を50%アップしました。
カテゴリー5では、装置が壊れることを想定して、床厚を1.5mとし、M7の直下型地震にも耐えられるコンクリートの強体に変えることとしました。
また、ASNの総裁が、検査に来て、虫眼鏡で見ないとわからないような小さなクラックを指摘され、修正。されに免震構造の基準をアップし、20億円の追加予算が必要となりました。

ここカダラッシュでは、3000人が建設に従事し、建設終了後は、地元で働けるよう支援もしているそうです。

2011年には、土木工事の92%、機械分野では、28%の進捗率。
建設が延期されている分、資材費が上昇、さらに、改良のためのコスト増に悩まされています。

ITERで得られた成果は、各国で活かされます。
そして、そのためにも、人材育成が重要です。エネルギー問題は、5年先を見ているようではいけません。467億円もの資金が地元カダラッシュの県や市に投入され、道路の改修が進められ、国際学校の整備が行われました。現在、ITER職員の子供たちが約240名通っており、残りは、地元の子供たちです。
今回の福島の事故でも、東京電力の技術者がどのような教育を受けてきたのかを検証すべきだと訴えておりました。

ITERには、3つの利点があります。
1. ウランは使用しない
2. 燃料供給を停止すると核融合反応は瞬時に止まる
3. 三重水素は不拡散物質ではない
ITER計画が成功すれば、次は、発電に向けた商業炉開発です。
これは、勿論、各国で取り組むことになります。
ITERの部品は、各国で研究し、発注し、物納させるため、各国に技術と知的所有権が残り、それを商業炉に生かすこととなります。
特に、中国は、必死です。大学に学部を作り、人材育成し、将来に備えています。人材育成のためには、時間とコストがかかるのです。しかし、最後は、人材が成否のカギを握っているのは、間違いありません。
日本の未来のエネルギーを支える核融合炉。ITERが成功したのちには、各国での商業炉のための原型炉建設が始まります。そして、日本では、青森県六ケ所村がその第一の候補地となるのではないでしょうか。是非、未来のために、日本政府と、青森県が共に協力して、この事業を積極的に推進してくださることを切に願います。

2020年11月の初プラズマを目指します!

フラマンヴィル原子力発電所 EPR(第Ⅲ世代欧州加圧水型原子炉)

10月15日午後3時、フラマンヴィル原子力発電所に到着しました。湾の対岸には、ラアーグの再処理工場が白く薄らと見えていました。

福島の事故以来、わが国では、原子力政策の在り方が抜本的に見直されようとしております。より安全で、より経済的。この二つの相反するとみられる課題をどのように克服するのか。日本の取り組みが試されています。

まず、フラマンヴィル原子力発電所について説明いたします。

現在、130万kwの2基の原子力発電所が稼働中です。1985年と1986年に運転開始しました。4基建設可能で、残りの2サイトの一つにEPRを建設中です。運転開始は、現時点で、2016年を目指しております。
フランス電力(EDF)が運営し、692名が社員、約200名が協力会社の社員です。
フランスでは、19サイトに58基の原子炉があり、そのうち5サイトが海沿いにあります。(残りは川沿い)
増設可能なサイトはほとんどありませんが、ここフラマンヴィルは、空きスペースが2基分あり、そのうちの一つに(3号機)建設中です。後、1基、増設可能です。ここでの建設は、新たな土地を探す必要がない分、比較的短期間で建設可能です。
EPRは、2007年2月に工事が開始されました。
165万kwの世界一の発電所となります。
2005年当初、建設費は、€33億と見積もられていましたが、現時点では、€60億(6000億円)となる見込みです。
このEPRは、今後始まる、古い原発の建て替え時のモデルとなるため、既存の原子炉廃炉の前に稼働している必要があります。そのために、急ピッチで建設されていますが、安全性は、最優先課題であり、コストアップの要因のひとつとなっております。

(このまま、原子炉をリプレイスしなかった時の現時点での年間発電量予測)

フランスにある原子炉は、1977年から稼働し始め、20年間で35基の原子力発電所を建設しました。それらは、既に稼働から、40~50年経過しており、建て替えの時期を迎えている原子炉が大量にあります。
フランスの原子炉はすべて加圧水型です。

これら、58基のこれまでの知見が全て、EPRに反映されます。安全性、環境問題、技術の分野において改善が施されております。

EPRは、フランスとドイツで共同開発しました。フランスでは、2003年、エネルギー政策法の制定に向けた全国規模のエネルギー公開討論が5つの都市で7回にわたって開催され、2005年にエネルギー政策法で、国内初のEPRを建設されることが明記されました。

その後、EPR建設に関する全国規模の公開討論会を開催、その結果を踏まえ、フランス電力がフラマンヴィル原子力発電3号機として建設を正式決定。公衆意見調査が行われ、2007年、原子力安全機関(ASN)が設置許可について肯定的な見解を表明、同年4月11日付で設置許可政令が発給されました。
特筆すべきは、炉心溶融防止システムや、炉心溶融が発生した場合の影響を軽減する技術等が採用され、高い安全性が確保されているということです。

フランスの原子炉は、安全性の確保に、これまで力を注いできました。
アメリカ、スリーマイル島の事故後には、冷却できずに炉心溶融が起こった時のため、コリウムの受け皿を設置。9.11(同時多発テロ)後には、飛行機の衝突に耐えられるように改良され、昨年の福島の事故後にも、フィヨン首相の要請により、ASNが実施している補完的安全評価(ECS)では、フラマンヴィル3号機も対象となり、新たな対策が施されました。

① ディーゼル発電機4基
② 緊急用ディーゼル発電機2基
③ 16.5mの堤防(再計算)(敷地は12m)
④ 耐震性の見直し(元々、EPRは、要求が高かったので見直しは無し)
⑤ 冷却用の大きな淡水層を高台に設置(60m)

更に、これらの非常用ディーゼル発電機が稼働しないときのために、即応部隊が、2時間以内に非常用電源をヘリコプターで運ぶ仕組みになっています。

最後に、経済効果について説明がありました。
フラマンヴィル原子力発電所3号機の建設にあたっては、資材や建設のため。150以上の契約が成され、3000人以上が建設工事に従事し、50%は、地元雇用。工事は2007年から開始しましたが、雇用は、2005年からで、工事前2年間は、研修に充てられました。

今後も、必要であれば様々な改良が随時加えられ2016年の運転開始を目指します。