下北半島 原子燃料リサイクル

青森県は、下北半島を中心に、原子燃料サイクル事業を推進しております。
下北半島の原子燃料サイクル事業の現状を視察してきました。
世界各国では、地球温暖化防止対策が、国策として実施されている中、これから、二酸化炭素を排出しない自然エネルギー原子燃料サイクルが、日本の将来のエネルギー源となっていきます。

原子燃料サイクルって何?
全国の原子力発電所で使われた使用済み燃料を再処理して、繰り返し使えるようにします

どんなメリットが?
現在、世界各国で新たな原子力発電所の建設が始まっています。その影響で、天然ウランの価格が高騰してきており、さらに、約85年で、枯渇するといわれております。使用済み燃料をリサイクルすることによって、枯渇を防ぐことが可能になります。

日本は、エネルギー資源のほぼ100%を輸入に頼っております。リサイクルによって、国産のエネルギー源を確保することができます。
下北半島には、一体何があるの?
1. 六ヶ所村
日本原燃株式会社が日本初の原子燃料サイクルの完成を目指して、事業を行っております。特に、再処理施設は、サイクルの要となり、2008年7月まで最終試験が行われ(アクティブ試験)、本格操業開始を目指しております。
ウラン濃縮工場
1992年3月操業開始
天然ウランは、そのままでは、発電所の燃料として使えません。そこで、使えるようにする工程がいくつか必要です。ウラン鉱石を、精錬転換ウラン濃縮再転換、そして、成型加工という工程を経て、ようやく原子力発電所で、燃料として使われます。

低レベル放射性廃棄物埋設センター
1992年12月操業開始
全部で200リットルのドラム缶300万本相当の低レベル放射性廃棄物を埋設予定
現在、約20万本を受け入れ
全国の原子力発電所内貯蔵量(2004年度)、約54万本

再処理工場
2008年竣工予定(7月までにアクティブ試験を終了予定)
年間処理能力800t・U
日本で唯一の商業用の使用済み燃料再処理施設
使用済み燃料の中に残ったウランや、新たに核分裂中に生成されたプルトニウムがあり、これを再処理して繰り返し使う「原子燃料サイクル」の柱です。

高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター
1995年4月操業開始
海外から返還されるガラス固化体(キャニスター)1440本貯蔵予定
さらに増設工事中(2009年11月竣工予定)で、後、1440本の貯蔵可能(合計2880本)
現在、1310本受け入れ完了(2007年10月末現在)
返還総数2200本

MOX燃料工場(これから建設します)
再処理工場からのプルトニウムとウランを混合酸化物燃料(MOX)にして、大間町で建設されるような原子炉の燃料とする
最大加工能力は、年間130t‐HM
竣工は2013年?
2. 東通村
東通村では、現在、東北電力の原子力発電所1号機が稼動しております。これから東京電力の1号機が建設されていきます。将来は、両電力会社が、あと1機ずつ建設し、計4機の発電所が建設される予定です。

東北電力原子力発電所1号機
出力110万の沸騰水型原子炉(BWR)
原子炉内には、ウラン燃料と水があり、ウランの核分裂によって発生した熱が水に伝えられ、高温・高圧の蒸気を発生させてタービンを回して発電します。
平成17年12月から営業運転を開始
1年間、燃料を補給せずに発電できます。

東京電力原子力発電所1号機(これから建設が始まります)
3. むつ市
高レベル放射性廃棄物中間貯蔵施設
全国の原子力発電所からは1年間に900~1,000トン・ウランの使用済燃料が発生します。現在六ヶ所村で各種試験が行われている再処理工場の処理能力は年間800トン・ウランですので、差し引き1年間に100~200トン・ウランの使用済燃料を貯蔵していく必要があります
中間貯蔵施設は、これらの貴重な資源である使用済燃料を再処理工場で処理するまでの間、一時的に貯蔵・管理するための重要な役目をもつ施設です
鉄筋コンクリートでつくられた丈夫な倉庫のような施設です
原子炉から取り出された使用済燃料は一定期間、発電所内の貯蔵プールで貯蔵された後、頑丈な容器(キャスク)に入れられ、中間貯蔵施設へ運ばれてきます
最終的な貯蔵量 5,000トン・ウラン
当初3,000トン・ウラン規模の建屋を1棟建設し、その後2,000トン・ウラン規模の貯蔵建屋を建設
施設(貯蔵建屋)ごとの使用期間は50年間
キャスク(貯蔵容器)ごとの使用期間も最長50年間
4. 大間町
大間に建設される原子力発電所は、平成24年の運転開始を目指す、日本初のフルMOX発電所です。六ヶ所村の再処理施設で製造されたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用して発電します。
MOX燃料とウラン燃料の両方を利用できますが、炉心の872体すべての燃料集合体をMOX燃料とする「フルMOX」を目指しています。
1/3炉心程度以下から始め、その後、全炉心まで段階的にMOX燃料の割合を増やしていきます。
J-POWER(電源開発)による国内初のフルMOX原子力発電所
出力:138万3千kW
原子炉型式:改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
六ヶ所村で再処理された燃料を使うため、ウラン資源の節約になります。

MOX燃料とは?
ウランとプルトニウムを酸化物の形で混合した燃料MOX(MIXED OXIDE)
ウランの中に少量のプルトニウムを使います
フランス・ドイツ・ベルギーでは、既に、約40年間にわたり、4849体のMOX燃料が使用されている
日本でも、「新型転換炉ふげん」で772体のMOX燃料が装荷され、ウラン燃料と同等に使用できることが確認されている。
下北半島は、日本のエネルギーを支える地域となります。
これから青森県が環境とエネルギーによる産業と経済の振興を図っていく上で、要の地域となります。
新エネルギーと原子燃料サイクルの組み合わせは、青森県の宝となります。
私たちの手で、未来を見据え、しっかり育てていきましょう。

(この視察を一日で終えるのは、非常に厳しい日程と成りました。ふー、疲れた!)