第268回定例会 一般質問(その2)

最後に、オーダーメイド型貸工場についてお伺いいたします。

先の議員全員協議会に於いて、県は、株式会社サンテクノロジーとの合弁会社設立に至らなかった原因として、サンテクノロジーにのみ問題があったかのような答弁がありましたが、県は、相和物産に大きな問題があったと認識していないのでしょうか。

11月29日付で、相和物産より知事宛に提出のあった文書「合弁会社設立の解消に関する経緯について」は、解消にいたった要因が記載されておらず、県議会の疑問には一切答えず、全く不十分ではないかと考えますが、県の見解をお伺いいたします。

さて、これまでの経緯を、私なりに整理してみたいと思います。

2010年

11月29日:

青森県によると何の予告もなしに、AISが破綻をしました。その僅か、8日後、議会での何の協議もないまま、相和物産が事業を引き継ぎました。しかも、製造業ではない異業種からの突然の参入です。

12月24日:

 サンテックが青森県庁を訪問。サンテックより救済を提案し、青森県からは、強く歓迎の意向が示されました。

翌2011年

2月7日:

蝦名副知事(当時)はじめ県3名、21財団1名、サンテック神戸を訪問し、サンテックに3つの提案を行う。

①    サンテック単独での買収

②    単独でのリース

③    50%ずつ相和との共同出資

2月17日:

サンテックが青森を訪問し

①    相和物産との2者会談

②    県、財団との3者会談を行い、最終的に蝦名前副知事から、サンテックと相和物産の50%ずつの共同運営を代診される

2月25日:

サンテックより青森県へサンテック3億、相和3億の出資案と事業計画案を提出

4月14日:

サンテック神戸officeに、青森県葛西課長、相和物産谷川氏が訪れ、サンテックが進めている合弁会社設立準備状況の確認とサンテック提案の工場経費削減案の説明を受けています。この時、青森県は議会開会前(5月中)に合弁会社設立を目指していました。

5月6日:

青森にて、サンテック、相和物産、県、財団の4者会談

5月28日:

サンテックより相和物産に対して、5月6日の4者会談の通り「合弁事業契約書、定款、株主間協定書、出資依頼書のドラフト」送付

6月6日:

県作成の覚書に捺印し、相和物産へ送付。

6月9日:

議会開会前、本会議での新合弁会社説明資料について県からの依頼あり。

①    年目 ▲93百万円

②    年目 ▲23百万円

③    年目 +119百万円

④    年目 +79百万円

・今後、採算を良くするポイントは、合理化投資によるランニングコスト低減(電力料金等)、採算性が明らかに違うCFとTSPのミックス改善、更には、リース料の見直し等を考慮しなければならないと報告

6月12日:

県から議会通過のためには、もっと理想的な数字が欲しいと回答

サンテックとしては、実質的な見直しをした結果、改善も含めて、数字を下記に変更し、再提出

同日中:

青森県より、サンテックからの回答数字は結果的に却下され、2月相和物産が旧AISを引継ぎした時に作成した数値を「現在協議中」という条件で、議会に提示する旨の一方的な回答あり

6月27日:

相和物産より対案提示あり。

・    取締役数7名(相和3名、サンテック3名に、+相和が1名指名)

・    代表取締役は、常に相和側の取締役

・    人事担当取締役は、常に相和側の取締役

・    借入金発生時は、両者が同等の保障をするなど

対等といえない内容でした。

7月1日:

サンテックの主旨は、あくまでも当初の「対等合併」である旨、主張

8月10日:

サンテック神戸officeにて、相和物産との会談

結果的に出席者は、相和物産岡山会長、谷川常務、財団2名、県3名、サンテック1名の4者会談

相和物産側の主張は、

・役員数3対3の話は、確かに覚書に判を押したが相和の基本方針は違う。我々は、もともとそうではない。県の意向もある

・サンテックとは基本的にすべてがかみ合っていない。これ以上の議論は意味がない。

・相和単独での事業運営を前提にしたい。サンテックとの問題は、県側の問題である。

という姿勢のまま、会談は終わり、県は、もう一度、県上層部を加えて検討するので、再度時間調整をさせてほしいとのこと。

9月16日:

東京で、県・財団・相和・サンテックでの4者会談開催

相和物産側から

・サンテックの出資は、20%、役員数1名、社名も再考として、6月6日の白紙撤回が要請

・サンテックが希望するならば、月20千シートのキャパは保障

サンテック側からは、回答保留、近日中に回答

9月28日:

相和物産よりサンテクノロジーへの提案提出

サンテクノロジー様との協調、協業のあり方について、2案を提案させていただきますとして、A案とB案の2案提示

 A案:相和物産が翔栄とコラボレーションする事業体へサンテックが参画するという案で、サンテックが蚊帳の外に置かれたような提案

B案:あくまでも、主体は相和物産で、サンテックは、40%の出資にとどめる提案

この提案の時点で、相和物産は、既に、翔栄と新事業体設立を協議中で、サンテックが参加したければ参加させてやるよという内容で、どこにも、相和物産とサンテックの合弁会社設立の覚書には全く触れられていなかったのです。

10月7日:

県からの要請により佐々木副知事はじめ櫻庭部長、担当課長ほかとサンテック社長の会談開催

相和物産から提示された9月28日付の提案書について話し合い

この席でサンテックからは、

・青森に行って皆のいる前で覚書にサインしたのに、守ろうとしない相和物産に対する不信感

・議会を乗り越えるために渋々覚書にサインしたという岡山氏の言動

・A案がそこまで進んでいるのであればそれを壊してまでサンテックは参入する意思はない。

・サンテックと合弁会社設立の協議をしていながら、水面下では、他の事業者と協議をし、それをサンテックにA案として提示する意味が分からない。

・社内では、合弁会社設立は無理だという流れである。こんなむちゃくちゃな経験はない

・来週後半に役員会を開いて、最終判断する

一方、県側からは、

・10月5日相和物産から提案書をもらった

・相和物産の提案は、全く別の提案、唖然とする案である

・岡山氏から聞いたとして、

A案の国内企業は、翔栄である。

サンテックが参加するなら翔栄はウェルカムであるといっている

・サンテックが抜けると根本的に今までの説明が変わるので残ってほしい、もう一度チャンスをくれ、と説得

・マスコミには、うまくいっていると話してほしい。そうでないと大問題になる

10月17日:

県にサンテック職員が訪れ、「合弁会社設立の白紙撤回に関するご報告」を提出。

・    佐々木副知事に手渡したいとお願いするも、会うことかなわず、担当者に提出

・    同時に、マスコミにはまだ、話さないでくれと頼まれる

以上が、これまでの経緯だと思われます。

○議会には、ひたすら事実関係を隠し、ただただ順調に進んでいると報告する隠蔽体質

○議会対策に終始し、本来の貸し工場運営の本質論が議論されていないこと

○問題を直視せず、先送りする体質

三村知事、知事が向き合うべきは、県民であるはずです。

全ての情報を県民にオープンにし、県民と真摯に向き合うべきです。

そして、県議会は、県民の思いを預かってきております。

我が民主党は、県政では、少数野党であります。しかし、県政の課題に関しては、常に是々非々で臨んでおります。

国との連携も、県執行部と県議会の間に立って、誠心誠意行っているはずです。

なぜ、隠そうとするのでしょうか。

三村知事、ぜひ、県議会で真摯な議論を交わし、県民に情報を公開し、一緒に考える県政に変えていただきたい。切に、お願いいたします。

最後に、

貸工場の利用企業である株式会社ANOVAの事業計画の妥当性について、県は

どのように認識しているのかお伺いいたします。前のように、議会を乗り切る

ために、数字の調整をしているのでしょうか。

今後、リース料の支払いが滞った場合、どのように対応するのかお伺いいたし

ます。

第268回定例会 一般質問(その1)

まず始めに、低炭素型社会の実現に向けた取組みについてお伺いいたします。

福島第一原発事故は、私たちに国のあり方を再考させる機会となりました。本県として、県民に対し、どのような故郷、生活を築いていくかを示していかなくてはならないのではないでしょうか。子どもたちに、豊かな自然や安全安心な暮らし、環境を残していく責任があります。

青森市は、30万都市として世界最大の豪雪地帯だと、前青森市長は、事ある毎に、自慢しておりました。しかし、市民は、際限なく降り続く雪に頭を抱えているのが実情であり、市の除雪対策は、他の都市となんら変わらない一般的なものであります。そればかりか、排雪する雪には、様々なゴミが含まれており、そのまま大量に海に捨てられているのが現状です。

陸奥湾は、本県の水産資源の宝であり、安全安心を追求する食産業の中心でもあります。その海に、このままゴミが含まれる雪を捨て続けるべきではありません。

これに関して、予算委員会において、積雪寒地域道路事業費、雪対策についての私の質問に対して、国、市町村と連携した雪捨場の確保など、環境に配慮した除排雪に順次取り組むとの答弁がありました。そこで、

(1)   青森市内の道路排雪において海への投雪量を減らす取組みの状況についてお伺いいたします

(2)   また、今後の見通しと、国や青森市との連携の状況についてもお伺いいたします

次に、青森県低炭素型ものづくり産業振興指針についてお尋ねいたします。

本県の産業は、非常に厳しい状況にあります。有効求人倍率は何十年も全国最下位レベル、人口は、毎年、1万人以上のスピードで減り続けております。

この状況下、三村県政はエネルギーと環境を青森力アップのための柱の一つとしておりました。積極的に、低炭素型ものづくり産業を本県次世代産業の柱と位置づけ、育成し、雇用創出を図っていかなくてはなりません。

(1)   まず、指針策定の趣旨についてお伺いいたします。

(2)   また、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

国は、これから再生可能エネルギーによる電力の買取制度を導入します。地球温暖化防止対策、そして、エネルギーの自立の観点からも、本県としても、自然エネルギーを積極的に導入していくべきであります。

青森県は、核燃サイクルシステムや蓄電池併設型風力発電、太陽光発電、スマートグリッド、そして、核融合の研究と、エネルギーシステムの最先端地であります。

国が、エネルギーのあり方を根本から見直そうとする今、青森県が国の取組みを先導する気概を持って進めていかなくてはならないのではないでしょうか。特に、風力発電は、世界規模で広がり始めております。

(1)   そこで、風力発電の導入推進について、県の基本的な考え方をお伺いいたします。

(2)   また、風力発電の導入推進に当たっての課題と、県の対応についてお伺いいたします。

次に、青森空港の管理運営と利用促進についてお伺いいたします。

先の議会で青森空港における管理運営費が議題となり、偶然ということでしたが、ちょうど赤字分と除雪関連経費が重なりました。

経費の多くを占める除雪関連費を削減しなくては、青森空港の赤字を削減することはできません。特に、凍結防止剤購入費と除雪委託料が削減のポイントです。安全を守りながらこれらをいかに削減していくかが問われるところであります。徹底した経費削減が税金投入を最低限に抑えるために必要です。

(1)   除雪関連経費について、その内容と今後のコスト削減方策に向けた取組みについてお伺いいたします。

一方で、新幹線というライバルが誕生した今、航空機の利用者をどのように増やしていくかという知恵が必要です。

まずは、これまで飛行機をあまり使っていない方々が、気軽に使っていただけるような取組みが必要です。

総務企画委員会の県外調査で、広島空港を訪れました。年に一度、ひろしま空の日ふれあい秋まつりが開催され、市街地から距離はあるにも拘らず、約3万人の県民が様々なイベントを楽しんでいきます。

また、能登空港でも、4年間でイベントに16万人以上の参加があり、賑わって

おります。

(2)   青森空港施設の利活用の現状と今後の取組みについてお伺いいたします。

航空路線は、海外や遠隔地と本県とを直接結ぶ交流手段として、また外貨獲得、交流人口の拡大、本県の経済活性化に欠くことのできないものであります。

国内航空路線については、青森空港に就航する羽田・伊丹・札幌の各路線において使用機材が小型化されているためか、実際、利用にあたり、曜日や時間帯によっては予約が取りづらく、需要の取りこぼしがあると思われます。機材の大型化、増便が、ぜひ必要です。

青森―名古屋線については、7月からフジドリームエアラインズが運行を開始し、現在、1日1往復しているが、日本航空が運航していたときは、1日2往復で、年間11万人が利用していたと聞いており、日本航空が運航していた時のように1日2往復は、最低限必要と思われます。

国際航空路線については、3月11日に発生した東日本大震災の影響で唯一の国際定期路線である青森・ソウル線が3月23日より運休し、国際チャーター便も激減しました。

青森―ソウル線は、ようやく10月30日から週3便で運行再開しましたが、国際チャーター便も含めた運航の拡大が必要であり、青森空港の路線充実が、利用者増、本県の経済、文化、観光等の振興にとってプラスになると共に、ひいては空港の収支改善にも繋がるものと思います。

(3)   そこで県では、青森空港の利用拡大に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

次に、国際交流の今後の進め方について質問いたします。

毎年、青森県も海外との交流事業を行っております。特に、米国メーン州を始め、何カ国かと友好提携を結んでおります。

しかし、近年、これらの交流事業が低迷しているようであり、交流のあり方、意義を見直す時期に来ているのではないかと思います。

いくら友好提携をしても、経済交流など、具体的な事業が無ければ、交流が深まっていかないのが実情であります。

以前、スウェーデンのストックホルムから西に位置する、カールスタッド市を訪れ、商工会議所の理事長と話し合いを持つ事ができました。その席上、理事長が強調していたのは、「具体的な事業、特に、ビジネスをベースにした交流が無ければ、なかなか進んでいかない」ということでした。

交流を意義あるものにするためには、具体的なテーマと事業が必要です。

(1)   まず、第一に、今年度実施したアメリカ メーン州との交流事業の概要と成果をお伺いいたします。

(2)   今後、メーン州との交流については、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

次に、東アジアへの観光・物産戦略についてお尋ねいたします。

大震災以来、海外からの観光客が激減しております。知事のトップセールスや、海外旅行会社の招致など、様々な取組みを行っておりますが、未だに、効果がでていないのが実情であります。津波や福島の原発事故により、かつてのチェルノブイリやスリーマイル事故に匹敵する厳しい評価であります。

青森県だけではできない事も、東北全体で協力していけば、新たな可能性が広がってきます。これまでの本県の戦略を切り換え、あくまでも東北全体で考えるときではないでしょうか。

AKB48やスマップも被災地でボランティア活動を行っています。東北全体で取り組んでいけば、アジアで人気のある方々との協力を得ての事業展開も可能なのではないでしょうか。

(1)   東アジアからの観光客を誘致するためには、東北各県、隣接県との連携が有効と考えますが、県の取組みについてお伺いいたします。

(2)   同時に、東アジアとの海外ビジネスに取り組む県内企業に対して、県は、どのような支援を行っているのか、お伺いいたします。

次に、外国語教育の推進についてお伺いいたします。

国では、国民の語学力の重要性を認識し、新たに、小学校5年生から外国語活用を推進していくこととなりました。先に述べた通り、ビジネス交流も国際交流を強力に推進する重要な要素ですが、私は、外国語を中心とした海外での交流事業が本県の子どもたちの将来への力となる教育だと思います。

異文化に接し、環境の違う子どもたちとふれ合う事が、必ず、我が国の子どもたちの糧となると確信いたしております。

(1)   県教育委員会では、高校生によるメーン州との国際交流事業を行っているが、この中でどのように外国語教育に取り組んでいるのかお伺いいたします。

外国語の教育と共に、実体験は、子どもたちにとって必要不可欠なものです。よく、英語を学ぶ前に、国語をしっかり学ばせるべきだとの意見を聞きます。

しかし、私は、英語は、数学と同じではないかと訴えております。

数学や音楽は、世界標準のコミュニケーションツールです。言葉が違っても、世界各国の方々と思いを共有できるのです。そして、現在、英語は、まさに、世界標準のコミュニケーションツールなのであります。

青森県の子どもたちに、世界の人々とコミュニケーションがとれる英語を身につけさせるべきです。そのためには、実践あるのみです。海外に出る機会を与え、自ら英語によるコミュニケーションを行うことによって、英語は、難しい勉強ではなく、必要な道具として認識されるのではないのでしょうか。

必要に迫られれば、必ず使えるようになります。

(2)   県教育委員会では、高校生の英語力の向上に向け、どのような取組みを行っているのかお伺いいたします。

頑張れ大阪! 頑張ろう青森!

大阪ダブル選挙が終わり、橋下市長率いる大阪維新の会が圧勝しました。
「政治が大きく変わる」と思うと感激しました。
大阪では多くの府民、市民が「変化」を願っていました。
このままでは、何も変わらない。その思いが今回の選挙の結果になったのではないでしょうか。

私が民主党に入ったのは、まさに同じ「思い」からです。
自民党では、何も変えられない。既得権ばかりを守ろうとしていると感じ、2大政党制を根付かせ新しい国を作りたいと思ったのです。
しかし、現実は、民主党も今の政権を守ろうとして、なかなか変えていくことができません。
出発は、今の大阪維新の会と同じだったはずです。
変えていきたい。

民主党は、国民の生活が第一、地域主権を、党是に掲げてきました。
地方への一括交付金は、まさにその取り組みです。
今、大阪が大阪都構想を打ち出し、大阪府民、市民が明るい希望を抱いています。
政治の原点ではないでしょうか。多くの方々が期待しているのです。

民主党は、地域主権です。是非、大阪都民へ力を貸すべきです。
私は、ここ青森県から民主党の変革を促し、新しい政治を目指していきます。

頑張れ大阪!

頑張ろう青森!

青森県議会議員 渋谷 哲一

11月定例会開催

本日、青森県議会11月定例会が開催されました。
議会の冒頭、先の決算特別委員会に対する討論が行われ、
私は、オーダーメイド型貸工場は、これ以上税金を投入することになる前に、止めるべきであると訴えました。
しかし、この問題に、青森県知事始め、県執行部、自民党会派は、耳をかそうとしません。
まるで自分の財布のように、簡単に29億円の税金投入を認めてしまうのです。
今の、私達には、仲間が少なく、残念ながら県の暴挙を止めることができないのです。
以下、本日の討論の内容です。
県民の皆さんも一緒に考えてください。

青森県議会議員 渋谷 哲一

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民主党会派の渋谷哲一です。

会派を代表して、先の第267回定例会において決算特別委員会に付託され、継続審査に付された4議案のうち、「議案第18号 決算の認定を求める」の件、「議案第19号青森県工業用水道事業会計の決算の認定を求める」の件に対して反対いたします。

我が民主党会派は、一貫してオーダーメイド型貸工場にかかわる追加投資に反対して参りました

そもそも、国際競争、価格競争、そして設備投資と研究開発競争が厳しい液晶関連産業の貸工場を行政が深くかかわり運営していく事自体が大きな間違いであります。

そして、この間違いを県議会として正していくチャンスが3度ありました。

一度目は、クリスタルバレイ構想が浮上してきた平成12年、県議会に89億円もの貸工場建設のための貸付金に対する損失補償契約が提案されたときでありあます。民間金融機関は、この構想に対しては、青森県による損失補償なしでは、資金を融資することはありませんでした。それだけ、リスクの高い事業だったのであります。

クリスタルバレイ構想事業可能性調査委託報告書には、液晶産業での基盤を持たない青森県が、この分野への参入するリスクが明記されているにもかかわらず、雇用や経済効果といった夢のような部分だけを強調し、県議会でのしっかりした議論も経ないまま、自民党の賛成多数でクリスタルバレイ構想にゴーサインを出してしまいました。

これを主導し、推進してきた蝦名前副知事は、クリスタルバレイ構想の中心的役割を担ってきたエーアイエス破綻時に、自らの責任を問われ、「89億円の損失補償契約について議会に提案し、議会の議決をいただいて、21財団と契約して、これが実行されたということでございます。」と最終的には、議会の責任だと責任転嫁しておりました。

オーダーメイド型貸工場の活用問題を正すための2度目のチャンスは、本年2月に議案第49号として「オーダーメイド型貸工場の活用促進を図るための貸付に要する経費が議会に提案されたときであります。

青森県には、この時点で主に3つの選択肢がありました。

1つめは、貸工場を処分し、この事業そのものから撤退する

2つめは、貸工場を売却し、事業を売却先に委ね、県が直接関与することから撤退する

3つ目は、新たに貸工場のリース先を探し、事業を継続する

これら、根本的な問題の議論もされないまま、県は早々に失敗した事業の継続を決め、おまけに後継企業を不透明なかたちで選定し、議会にしっかりした事業計画も提出しないまま、「20年で確実に29億円回収します」と豪語し、議会に追加投資を認めさせてしまいました。

29億円もの税金を投入するであります。

本来であれば、入札やプロポーザル方式といった公平公正な選定が当たり前ではないでしょうか。

一体いつまで公金を支出し続け、損失を拡大させればよいのでしょうか。

それほど、自信のある提案なのであれば、知事自らが29億円の個人補償をすべきではないでしょうか。一度失敗しているのです。同じ過ちを繰り返すのでしょうか。

木村前県政では、もちろん様々な功罪がありましたが、サッカー場建設の是非が問われた時、少なくとも議会と県執行部は、緊張感のある議論が交わされ、最終的に、知事提案を否決するに至ったのであります。まさに、是々非々であったと思われます。

そして3度目のチャンスは、今まさに訪れております。

県が29億円もの公金投入の根拠としていた、相和物産とサンテックの合弁会社設立が破綻しました。

破綻の事実が明るみになるのを先の決算特別委員会が終わるまで隠そうとし、新たな合弁会社設立も相和物産を中心に設立しようとする不透明な進め方は、これらの問題を先送りしたいという県の姿勢を如実に表しております。

なぜ相和物産でなければならないのか、本当に青森県がこのままオーダーメイド型貸工場に関わっていくべきなのかという根本的な問題に対しては、一切答えが出されないまま、強引に事業だけが進められていきます。

サンテックや翔栄に、工場そのものを売却し、工場と従業員をそのまま委ねるという選択肢もあるのではないでしょうか。

私は、この問題をどう解決すべきかを青森市内の多くの企業家に聞きました。

多くの方々の答えは、「一度失敗した事業に県が関わるべきではない、損切りをすべき。問題先送りすべきではない」ということでした。

損失を取り返すために、新たな投資を行うことは、結果的には、損失の拡大につながります。

知事、県執行部の方々、そして県議会の皆様方、ここで立ち止まり、改めてオーダーメイド型貸工場の活用問題に対して県民が納得いく議論を行うべきではないでしょうか。

ここ数年、青森県政では、次から次へと県事業失敗による数十億単位の損失補填が発生しているにもかかわらず、誰も責任も取らないばかりか、100%、知事提出議案を県議会は素通りさせています。これで本当に県議会としての役割を果たしているといえるのでしょうか。

この問題は、青森県議会の現状を象徴している事案と言わざるを得ないのであります。

結局、知事提案に対して不安や不満、疑問がありながらも、自民党の賛成多数で可決成立してしまうのであります。

我が民主党会派は、全てに反対しているのではありません。

良いものは賛成し、県民目線で行うべきでない事業はやめるべきだという、是々非々の立場を貫いております。

きちっと経営状況を把握し、リース料は回収するとしていた青森県は、エーアイエスの破綻までその事実を知らなかったと議会に説明しています。

ところがその青森県は、「これから相和物産とサンテックの合弁会社が設立されるのだから、大丈夫。20年かけて29億円にのぼるリース料を確実に回収します。経営状況もしっかり監視していきます。」と豪語しながら、その合弁会社は、スタートラインにすら立てないまま、頓挫してしまいました。破綻の経緯を議会が求めても、「民間企業同士のこと」と、詳細な情報を提供しようともせず、議会が「貸工場の引受先に相和物産で大丈夫なのか」と、疑問視しているにもかかわらず、満足な説明もないまま、相和物産の合弁先を新たに見つけ、今度こそは大丈夫と胸を張って議会に説明しています。

県執行部のなりふり構わない、議会を軽視した強引な事業の進め方は、勿論問題ですが、それを正していく事が出来ない県議会にこそ問題があるのではないでしょうか。まさに、県議会の存在意義が問われているのであります。

このような進め方が許されるのであれば、これから貸工場を運営する「相和物産と翔栄の合弁会社」が仮に2,3年後に破綻しても、新たな運営企業を探し、今度は、200年のリース契約を結んでいけば、だれも責任をとる必要もないし、損失も損失と言わなくてもよい状況が生まれることになります。巨額な損失が発生しても、それをリース料で回収していくとし、そしてその結果責任は、次の執行部、次の世代に委ねられることになるのです。

今回の事案は、「オリンパスの損失隠し」と似ています。

問題が大きければ大きいほど、失敗を認めることができず、問題の処理を先送りする。そしてそのことが、更なる問題と損失を生み出す。

この悪循環を断ち切る勇気が必要です。

県議会は、その先頭に立たなくてはならないはずです。

県議会のこの問題に対する、勇気ある決断を切に願います。

「オリンパスの損失隠し」と同じ体質の青森県

オーダーメイド型貸し工場活用問題での青森県議会全員協議会が11月8日、朝から本会議場で開かれました。

本来であれば、この問題を根本的にどうするべきかを議論するべきなのに、県の答弁は、新しい枠組みを作ったので、「これからは、うまくいきます」ということだけでした。

県議会各会派は、相和物産とサンテックの合弁会社設立が白紙撤回されたことに不信感を持ち、異業種から液晶産業に初めて参入する相和物産で、大丈夫なのか?という疑問の声が次から次へと上がってきました。

実際、液晶産業は、国際競争、価格競争、そして、巨額の研究開発費や設備投資を常に強いられる、儲けられない産業です。

このような事業に、何のノウハウも無い青森県が、税金を投入し続け、直接かかわり続けることに問題があります。

相和物産単独では、とても事業の継続はできないため、液晶関連産業分野で成長を続けているサンテックや翔栄との合弁会社を模索してきました。

なぜ、専門事業者が単独で事業を引き継ぐ事ができないのか。なぜ、相和物産ありきなのか」が、理解できませんでした。

そのヒントは、今回のオリンパスの多額な損失隠しにありました。

損失が表に出ると誰かが責任を取らなければなりません。

そのためにオリンパスでも、損失を隠し、穴埋めをしてきたのです。

昨年末、エーアイエスが破綻をし、事実上、オーダーメイド型貸し工場が破綻をしたとき、青森県は、約21億円の債務保証をしており、銀行に税金を使って穴埋めをしなければならなかったのです。これを実行すれば、県でも誰かが責任を取らなければなりません。

そこで考えられたのが、新たな20年のリース契約です。

問題の先送りです。

オーダーメイド型貸し工場使用の後継企業を選び、県が使った債務保証費約21億円と、新たな設備投資費を含めて、「29億円を、後継企業に20年かけてリース料として払ってもらう」、そうすれば、県民負担を回避できる!との県の思惑です。

しかし、浮き沈みの激しい液晶関連産業です。とても20年先の状況を計算できるものではありません。

それを、青森県は、「大丈夫だ」と太鼓判を押しているのです。

仮に、4年後5年後に事業が失敗しても、新たな事業者を見つけて同じようにリース契約を行っていけば、問題は、どんどん先送りされることになります。そして、その度に、県民の皆さんの血税が使われていくことになります。

オリンパスの事件でも判るように、問題があったらそれをオープンにし、そこで膿を出し切る事が最善の策です。

青森県が、問題の先送りをするのを、議会として何としても正していきたい。

この問題の原点に立ち返り、オープンな議論をして、新しいスキームを作っていくべきです。

青森県議会の良識が問われています。