スバルR1e都市型電気自動車

富士重工業株式会社を訪ね、スバル技術本部の中村氏に話を伺いました

電気自動車(EV)導入の動向
東京電力は、2009年頃から3000台を導入する予定(500台×6年)
神奈川県が、2009年から県内企業などで3000台の導入計画。独自の補助金制度も検討中
国(経済産業省)が2009年から東京、神奈川中心に、EV、pHEV(プラグインハイブリット車)タウン構想を立ち上げる

スバルR1eとは?

軽自動車ベースで、最新リチウムイオン電池を搭載した軽量・コンパクトな電気自動車
業務用・コミュータEVとして、東京電力と首都圏での実証実験を推進中
最高速度100km
車両重量920kg
一充電走行距離は、市街地実用走行で80km以上
急速充電時間15分で、約80%充電

R1eのコンセプト
東京電力の首都圏での業務に供する小型自動車
バッテリー搭載量を最小限に抑えることによる低コスト化を軽量化
15分で0→80%への急速充電

EVの環境への貢献
CO2の排出量は、小型ガソリン車の1/6、軽自動車の1/4、ハイブリット車の2/5
EVは、走行中のCO2はゼロ(発電を考慮したCO2排出量は31g/km)

経済性
優れたエネルギー効率により、燃料代は軽ガソリン車の1/3、更に深夜電力を利用すれば1/10

R1eの充電性能
一回の充電で、1日の業務に必要十分な80km以上の実用走行が可能
家庭用100vで8時間、急速充電器では、わずか15分間で充電完了(80%)

R1e電池システム
最新のリチウムイオン電池モジュールを16個搭載
フロア下、後席部分に効率よく搭載
衝突時の安全性も確保(安全性の高いマンガン系の正極材料仕様、温度管理、ヒューズなど、2重、3重のシステム保護昨日を採用)

今後の計画
2009年、2010年に市場投入検討
R1eのバッテリーモジュール(リチウムイオン電池)
少ない搭載量で、多くのエネルギーを貯められる(ニッケル水素電池の2/3、鉛電池の2/5の重量
大電流の充放電が可能
10年、15万kmの耐久性を実証中
R1e普及に向けての課題
バッテリー価格の低減が最大の課題
航続距離の伸長(80km→150km)
急速充電インフラの整備
R1e価格低減に向けて
量産立ち上げ理事の目標価格は、300万円
(神奈川県では、ベース車100万円との差額200万円を、国1/2で100万円県1/4で50万円購入者1/4で50万円の割合で負担を検討) (個人の負担を、計150万円にしたい
市販車をベースにして、車両本体のコスト低減
(量産車は、4人乗りのステラを検討)
電池価格の低減が最大の課題
(目標価格達成には、電池価格のハーフコスト化が必要)

電気自動車の普及は、日本が低炭素社会へ転換していくために、必要不可欠です。
青森県は、「環境とエネルギー」のまちを目指す上で、現在の乗用車からCO2を排出しないEVへと転換を促していくべきであり、それを実行するのが政治の責任です。
創造してみて下さい、県内で走る車の大半が電気自動車だったなら……
スバルの中村氏には、一つお願いをしてきました。

ぜひ、EVを、青森県のような豪雪地帯、寒冷地で実用に耐えられる仕様にして下さい、と。

寒冷地でのEVは、まだまだ課題がありますが、青森県は、神奈川県と、経産省と協力をして、積極的に、EVの普及促進を推進していくべきです。

環境とエネルギーの青森県を目指して!

かながわの電気自動車普及推進方策

基本方針と目標
2014年までに、神奈川県内に3000台のEVを普及させる
市場や技術開発の動向を注視しつつ、それぞれの推進方策を具体化して、電気自動車の普及祖推進する
今後、協議会において、推進方策の効果を検証し、協議会の趣旨に賛同する企業との連携も含め、内容の充実を図っていく
EVの市販開始時期は、早ければ2009年度の後半と想定し、2014年度までの5年間で、県内の乗用車台数(約300万台)の1%に相当する、3000台の普及を目指す
1996年度末に発売されたハイブリット車は、約5年間で、「県内で約3000台」を達成した普及状況に相当することを目指している
推進方策
1. EVの更なる性能等の向上のための推進方策
高性能、低価格な電池の開発など
経済産業省は、次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発において、高効率次世代自動車を早期に実用化させるために必要な、高性能な電池の開発を行う
神奈川県は、電気自動車用リチウムイオン電池研究会において、産学公が連携し、新しいリチウムイオン電池の共同研究に取り組んでいる
EVや電池の市場投入
富士重工業(株)は、軽乗用車タイプのEVを2010年度までに市場投入する
三菱自動車工業(株)は、軽乗用車タイプのEVを2010年度までに市場投入する

日産自動車(株)は、新型EVを2010年度代の早い時期に市販する
(株)ジーエス・ユアサコーポレーションは、2009年度中にEV用リチウムイオン電池の量産を目指す
NECラミリオンエナジー(株)は、2009年度までにリチウムイオン電池の供給を目指す
エリーパワー(株)は、2009年度中のリチウムイオン電池の量産を目指す
2. 初期需要の創出のための推進方策
率先導入
神奈川県は、2014年度までに公用車100台をEVに順次転換する
東京電力(株)は、2014年度までに業務車をEVに順次転換する
神奈川県は、EVの導入を市町村や大手ユーザーに働きかける
神奈川県は、事業者によるEVを含めた低公害車の導入を促進する仕組みについて検討する
導入補助
経済産業省は、(財)日本自動車研究所の「クリーンエネルギー自動車等導入促進事業」により、EVの導入を補助する
神奈川県は、次世代EVの販売開始(2009年度と想定)に合わせ、国の補助金の半額程度を上乗せして補助する
横浜市は、既存の「低公害車事業普及促進対策費補助」により、補助を行う
川崎市は、EVの販売に合わせ、既存の「低公害車の補助制度」の対象となるよう検討する

税の軽減
神奈川県は、次世代EVの販売開始に合わせ、自動車税や自動車取得税の90%を減額する
神奈川県は、県内市町村に対して、軽自動車税の軽減を働きかける
有料駐車場の割引など
神奈川県は、県が所管する有料駐車場をEVが利用した場合の料金割引や優先駐車を行う(県直営の有料駐車場は、2009年度から実施、指定管理者が管理する有料駐車場で、県が行政財産の目的外使用を許可している有料駐車場については、2009年度以降に実施できるよう働きかける)
神奈川県は、市町村や民間の有料駐車場の管理者に対して、有料駐車場料金の割引や優先駐車を働きかける
高速道路料金の割引
神奈川県は、高速道路各社等と、ETCによる高速道路料金の割引について検討する
金融商品の開発
神奈川県は、銀行等の金融機関に、EVに対する低利融資などの金融商品の開発、また、損害保険会社等に、EVに対する低額の自動車保険商品の開発を働きかける
神奈川県は、EVを導入する事業者等が、他の自動車を導入する事業者より経済的、社会的に有利になるような推進方策について、かながわ電気自動車推進協議会で引き続き検討を行う
3. 充電インフラの整備のための推進方策
100v・200vコンセントの「EV充電ネットワーク」の構築
神奈川県は、県内の駐車場にEV用の100v・200vコンセントを2011年度までに、70基設置する
神奈川県は、駐車場管理者に季節の100v・200vコンセントの利用の協力や、100v・200vコンセントの設置を働きかけ、2014年度までに、県内に1000基の100v・200vコンセントの「EV充電ネットワーク」の構築する
百貨店やコインパーキング等の駐車場を持つ事業者のうち、100v・200vコンセントの利用の協力が可能と考えられる事業者に対して、緊急時の充電や、サービス利用時の無料充電、また、優先駐車や料金割引等の各種インセンティブの協力を働きかける
急速充電器の設置など
神奈川県、東京電力、三菱自動車工業、富士重工業は、2010年度までに急速充電器を県内に合計で30基程度設置する
有限責任中間法人神奈川レンタカー協会は、費用や大きさを勘案して、急速充電器の設置の協力を検討する
東日本電信電話(株)は、費用や大きさを勘案して、急速充電器の設置の協力を検討する
神奈川県は、市町村に対して急速充電器の設置を働きかける
4. 県民意識の醸成のための推進方策
県民を対象とした普及啓発活動
神奈川県は、2014年度まで、毎年、EVの体験乗車が可能なイベントやフォーラムなどを開催するとともに、小中学校等での環境教育にも活用する
神奈川県は、県民が実際にEVを利用しながらEVの持つ環境性能を実感できるような実証試験、モデル事業を検討・実施していく
大手ユーザー等を対象にした普及啓発活動
東京電力(株)、三菱自動車工業(株)、富士重工業(株)は、市町村や大手ユーザーに、実証試験車を貸与するなどして、EVの走行性能や環境性能の普及啓発を行う
東京電力(株)、三菱自動車工業(株)、富士重工業(株)、神奈川県は、2007,2008年度に、市町村や大手ユーザーの主催するイベントに、EVの展示や体験乗車で協力して、市町村等のEVに対する理解を深めるとともに、地域住民への広報活動を行う
推進体制
1. かながわ電気自動車普及推進協議会
神奈川県は、推進方策の全体の進捗状況を取りまとめ、毎年度末に協議会に報告するとともに、EVを販売する自動車メーカーや東京電力(株)は、四半期ごとに自動車の販売台数や急速充電器の設置状況を、神奈川県に報告する

2. 県域を越えた普及への取組み
経済産業省が提案する「EV・pHVタウン構想」は、2009年度からEV等のインフラやインセンティブのモデル事業の実施に向け、かながわ電気自動車普及推進方策が、モデル事業として位置付けられるよう働きかける
8都県市首脳会議等において、本協議会の取組みや成果をアピールすることで、EVの普及に向けた広域的な働きかけを行う

神奈川県の、積極的な、具体的な取組みを通して、環境対策車・EVの普及促進に向けた熱意を感じました。エネルギーと環境を青森県の産業に活かしていくためにも、神奈川県とも連携して、青森県が、電気自動車とプラグインハイブリット車の普及促進を目指していくべきだと痛感いたしました。おりしも、トヨタ自動車が富士重工業へ更なる出資することが発表されました。次世代型環境対策車の急速な普及がそこまでやってきているのではないでしょうか。

かながわの電気自動車(EV)への挑戦

神奈川県庁を訪れ、電気自動車普及に向けた取り組みを、調べてきました。
以下は、神奈川県の説明と資料によります。

EVの現状
1. 温暖化対策などの「環境・資源問題」への対応
地球温暖化の原因物質であるCO2等の削減に向けた取り組みが喫緊の課題となる中で、燃料のほぼ100%を石油に依存し、国内のCO2排出量の約2割を占める自動車のCO2排出量の低減など優れた環境性能への転換が求められている
2. 環境性能に優れた次世代電気自動車の登場
現在、自動車メーカーを中心に環境対応車の開発が進められており、特に、リチウムイオン電池を搭載した次世代電気自動車は、排出ガスゼロ、CO2排出量はガソリン車の1/4程度、ハイブリット車の1/2以下と、「究極のエコカー」
早ければ2009年の市場投入
3. EVの本格的な普及促進に向けた4つの課題
EVの更なる性能などの向上:自動車メーカーや電池メーカーの努力による
初期需要の創出:公的機関を含めた様々な主体が連携して解決
充電インフラの整備:公的機関を含めた様々な主体が連携して解決
県民意識の醸成:公的機関を含めた様々な主体が連携して解決
4. 神奈川県の優位性とこれまでの取り組み
県内には、自動車の生産・開発拠点や電池の開発拠点、さらに、自動車技術、電力関連の研究開発を行う大学、研究所が集積している
2006年9月「神奈川県電気自動車(EV)普及構想」
2006年11月産官学からなる「かながわ電気自動車普及推進協議会」
2006年12月「電気自動車用リチウムイオン電池研究会」
EVの導入可能性調査
1. EVの導入可能調査結果の概要
県内の約1000社の事業者および3600人の個人に対してアンケートを実施
事業者の保有する軽乗用車は、主に営業活動で利用され、一日あたりの走行距離は、20km以下が61%、40km以下が88%
個人の保有する軽乗用車は、主に買い物や駅などへの送迎、通勤で利用されており、一日あたりの走行距離は、20km以下が71%、40km以下が93%
事業所でEV導入時に必要なインセンティブは、①税金の優遇②補助金③急速充電器の整備④無料の充電スタンドの整備
個人でEV導入時に必要なインセンティブは、①無料の充電スタンドの整備②税金の優遇③補助金④自動車保険の割引
2. 充電インフラの導入可能性調査結果の概要
百貨店やファミリーレストランなどの駐車場を持つ事業者37社に対して、100V・200Vコンセントや急速充電器のEVの充電インフラの導入意向などをアンケートおよび聞き取りにより調査
100V・200Vコンセントの導入の意向
既存の100V・200Vコンセントの利用の協力は、総合スーパーなど20社中9社では、可能性ありと回答
100V・200Vコンセントの導入では、ホテルの1社とEVが普及した時点で導入を検討するとしたのは百貨店などの6社
急速充電器の導入の意向
回答した事業者には、導入意向なし
EV普及促進のための取り組み
1. EVの更なる性能向上に関する取り組み
搭載するリチウムイオン電池の価格が影響して、初期段階では、販売価格が約300万円と高くなるため、自動車メーカーと電池メーカーは、電池の高性能化とコストダウンを図ることが必要不可欠
2. 初期需要の創出に関する取り組み
事業者や個人を対象としたEV導入可能性調査では、市場投入初期段階での負担軽減が求められているので、県などの公的機関が率先して導入する
初期ユーザーの負担軽減のため、補助や税の軽減など支援策を講じること、また、利用時の利便性を高めるためのインセンティブ導入などが必要不可欠
3. 充電インフラの整備に関する取り組み
100V・200Vコンセントの協力体制のネットワークを構築することや、駐車場への新たなコンセントの設置の働きかけなどが必要不可欠
カーディーラーや東京電力事業所、県による急速充電器の設置が必要不可欠
4. 県民意識の醸成に対する取り組み
県や市町村、企業のイベントなどでの体験乗車や、EVの特徴を生かしたモデル的な活用などの普及啓発活動が必要不可欠

高速増殖炉「もんじゅ」

平成19年12月20日

福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」を視察してきました。
「もんじゅ」開発の柳澤特別顧問に、ご案内いただきました。

「もんじゅ」は、原子燃料サイクルの柱となる次世代型原子炉です
青森県が、核燃料サイクルを推進する上で、必要不可欠な技術です
独立行政法人「日本原子力研究開発機構」(H.17.10.1設立)が運営しています

原子力発電所では、燃料としてウランを使います
ウランには、燃料となるウラン235が0.7%燃料とならないウラン238が99.3%含まれています
現在の原子力発電所のように、ウラン235だけを使っていると、燃料がなくなってしまいます。(現在、世界各国で数十基の原子力発電所を新規に建設予定しているため、燃料のウランは高騰しています)
ウラン238は、中性子を吸収すると燃えるプルトニウム239に変わり、新たな燃料とすることができる
プルサーマル発電(大間原子力発電所)では、ウランを1割以上、高速増殖炉では、数十倍も有効活用
高速増殖炉は、プルトニウムを燃料として利用しながら、ウラン238を効率よくプルトニウムに変えていく原子炉です
高速増殖炉が実用化されれば、ウラン全体を燃料にでき、数千年にわたりエネルギーが確保される
「もんじゅ」は原型炉であり、発電プラントとしての働きや大型化への技術的な可能性を確認するための原子炉です。発電を行いながら、いろいろなデータを取得し、高速増殖炉の開発に役立てられる

なぜ必要?
1. 将来のエネルギー資源を確保するため
エネルギー資源は、現在の使用量のままでは、石炭を除いておよそ半世紀で使い切ってしまいます
一方世界の人口は増え続け、2050年には約90億人に達すると予測されており、エネルギー需要も著しく増大することが予想されます
高速増殖炉は、電気を作る傍ら、現在ほんの一部しか利用されていないウラン資源をプルトニウムに変えて有効利用します
実用化によって数千年のエネルギーが確保されます

2. 日本のエネルギー資源の輸入量を少なくするため
日本は、エネルギー資源の80%以上を輸入に頼っているため、世界情勢が不安定になるとエネルギー資源が輸入できなくなる可能性
高速増殖炉が生み出す準国産エネルギーとしてのプルトニウム燃料を利用することが必要
3. 地球環境を保護するため
石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料は、燃やせば多くの炭酸ガスを出し、地球からの熱を逃げにくくし、地球温暖化の原因となります
酸性雨のもととなる硫黄酸化物や窒素酸化物を出すため、それらを除去する装置を設置する必要があります
高速増殖炉を含む原子力発電所は、炭酸ガスや硫黄酸化物、それに、窒素酸化物をほとんど出さない環境に優しい発電方式です
原子力発電の使用済み燃料を再処理して出てくる高レベル放射性廃棄物は、安全に貯蔵管理し、処分する必要があります

「もんじゅ」のしくみは?
燃料のプルトニウムが核分裂して発生した熱を取出したり、燃料を増やすため、ナトリウムを使用します
発生した熱は、ポンプで循環されるナトリウムに伝えられます
これを1次系ナトリウムと呼び、その途中にある熱交換器でその熱は、次の2次系ナトリウムに伝えられます
2次系ナトリウムもポンプで循環されており、その熱は、蒸気発生器で水に伝えられ、蒸気を発生させます
その蒸気によってタービンを回し、発電機で電気が起こされます

ナトリウムとは?
ナトリウムは、食塩からつくられます
室温では固体で、約100℃で溶け、約880℃で沸騰する性質があり、熱をよく伝えます
約500℃で運転する高速増殖炉では圧力をかける必要がなく、低い圧力で運転できます
一方、ナトリウムは、酸素と反応し、空気中では約300℃以上で燃えます
また、水と激しく反応し、水素を発生し、酸素があれば燃えることもあります(場合によっては爆発的に燃えることもあります)
鉄などを腐食する水酸化ナトリウムなどができます
1995年12月にナトリウム漏れ事故が起こりましたが、対策は?
配管などからの僅かなナトリウム漏れも検出器が見つけられるようにしています
放射性物質がある1次系ナトリウムの部屋は、窒素ガスで満たしており、ナトリウムは漏れても燃えないようにしています
建物等の水分を含むコンクリートと、漏れたナトリウムが直接触れないように、部屋の表面に鉄板を張っています
放射性物質がない2次系ナトリウムの部屋は、空気があり、大量に漏れた時は、傾きをつけた床の鉄板を流れて、垂直の配管を通って下の部屋の半密閉の蓋の下に入り、窒息消化され、燃焼は少量で収まります
蒸気発生器での、ナトリウム・水反応対策は?
蒸気発生器の伝熱管の中を流れる水や蒸気が万が一まわりのナトリウム中に漏れた場合には、水素が発生し圧力が上昇したり、腐蝕力のある水酸化ナトリウムが生成されます
そのため、わずかの漏れも水漏れ検出器で素早く見つけて運転を止め、それ以上の漏れを防ぎます
また、漏れの量が多い場合には、水素によって圧力が高くなり、ある一定の圧力で敗れる薄い板が開きます
そして、水素などは配管で収納容器に導かれ圧力を下げるとともに、圧力開放版からの信号で原子炉は、自動停止します

1995年のナトリウム漏えい事故から13年、運転再開に向けた取組みが行われておりましたが、検知器の異常で総点検を実施、国は、立ち入り検査する考えで、2008年10月運転再開は?

原油高騰と地球温暖化防止対策
自国のエネルギーを確保するため、世界各国で、原子力発電が見直され、これから、原子炉の建設ラッシュが続きます。 その中でも、次世代原子炉が注目を浴びております。
一度使った核燃料を、再処理して、何度でも使う原子燃料サイクル。
その中核を成すのが、高速増殖炉です。普通の原子炉の数十倍の効率で、ウラン燃料を使います。
その原型炉の「もんじゅ」が担っている責任は、とても重要です。
トラブル情報は、徹底的に公開し、開かれた施設にしていかなくてはなりません。
「もんじゅ」の運転再開は、日本のエネルギー政策の要になるのです。 ケッパレー!


下北半島 原子燃料リサイクル

青森県は、下北半島を中心に、原子燃料サイクル事業を推進しております。
下北半島の原子燃料サイクル事業の現状を視察してきました。
世界各国では、地球温暖化防止対策が、国策として実施されている中、これから、二酸化炭素を排出しない自然エネルギー原子燃料サイクルが、日本の将来のエネルギー源となっていきます。

原子燃料サイクルって何?
全国の原子力発電所で使われた使用済み燃料を再処理して、繰り返し使えるようにします

どんなメリットが?
現在、世界各国で新たな原子力発電所の建設が始まっています。その影響で、天然ウランの価格が高騰してきており、さらに、約85年で、枯渇するといわれております。使用済み燃料をリサイクルすることによって、枯渇を防ぐことが可能になります。

日本は、エネルギー資源のほぼ100%を輸入に頼っております。リサイクルによって、国産のエネルギー源を確保することができます。
下北半島には、一体何があるの?
1. 六ヶ所村
日本原燃株式会社が日本初の原子燃料サイクルの完成を目指して、事業を行っております。特に、再処理施設は、サイクルの要となり、2008年7月まで最終試験が行われ(アクティブ試験)、本格操業開始を目指しております。
ウラン濃縮工場
1992年3月操業開始
天然ウランは、そのままでは、発電所の燃料として使えません。そこで、使えるようにする工程がいくつか必要です。ウラン鉱石を、精錬転換ウラン濃縮再転換、そして、成型加工という工程を経て、ようやく原子力発電所で、燃料として使われます。

低レベル放射性廃棄物埋設センター
1992年12月操業開始
全部で200リットルのドラム缶300万本相当の低レベル放射性廃棄物を埋設予定
現在、約20万本を受け入れ
全国の原子力発電所内貯蔵量(2004年度)、約54万本

再処理工場
2008年竣工予定(7月までにアクティブ試験を終了予定)
年間処理能力800t・U
日本で唯一の商業用の使用済み燃料再処理施設
使用済み燃料の中に残ったウランや、新たに核分裂中に生成されたプルトニウムがあり、これを再処理して繰り返し使う「原子燃料サイクル」の柱です。

高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター
1995年4月操業開始
海外から返還されるガラス固化体(キャニスター)1440本貯蔵予定
さらに増設工事中(2009年11月竣工予定)で、後、1440本の貯蔵可能(合計2880本)
現在、1310本受け入れ完了(2007年10月末現在)
返還総数2200本

MOX燃料工場(これから建設します)
再処理工場からのプルトニウムとウランを混合酸化物燃料(MOX)にして、大間町で建設されるような原子炉の燃料とする
最大加工能力は、年間130t‐HM
竣工は2013年?
2. 東通村
東通村では、現在、東北電力の原子力発電所1号機が稼動しております。これから東京電力の1号機が建設されていきます。将来は、両電力会社が、あと1機ずつ建設し、計4機の発電所が建設される予定です。

東北電力原子力発電所1号機
出力110万の沸騰水型原子炉(BWR)
原子炉内には、ウラン燃料と水があり、ウランの核分裂によって発生した熱が水に伝えられ、高温・高圧の蒸気を発生させてタービンを回して発電します。
平成17年12月から営業運転を開始
1年間、燃料を補給せずに発電できます。

東京電力原子力発電所1号機(これから建設が始まります)
3. むつ市
高レベル放射性廃棄物中間貯蔵施設
全国の原子力発電所からは1年間に900~1,000トン・ウランの使用済燃料が発生します。現在六ヶ所村で各種試験が行われている再処理工場の処理能力は年間800トン・ウランですので、差し引き1年間に100~200トン・ウランの使用済燃料を貯蔵していく必要があります
中間貯蔵施設は、これらの貴重な資源である使用済燃料を再処理工場で処理するまでの間、一時的に貯蔵・管理するための重要な役目をもつ施設です
鉄筋コンクリートでつくられた丈夫な倉庫のような施設です
原子炉から取り出された使用済燃料は一定期間、発電所内の貯蔵プールで貯蔵された後、頑丈な容器(キャスク)に入れられ、中間貯蔵施設へ運ばれてきます
最終的な貯蔵量 5,000トン・ウラン
当初3,000トン・ウラン規模の建屋を1棟建設し、その後2,000トン・ウラン規模の貯蔵建屋を建設
施設(貯蔵建屋)ごとの使用期間は50年間
キャスク(貯蔵容器)ごとの使用期間も最長50年間
4. 大間町
大間に建設される原子力発電所は、平成24年の運転開始を目指す、日本初のフルMOX発電所です。六ヶ所村の再処理施設で製造されたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用して発電します。
MOX燃料とウラン燃料の両方を利用できますが、炉心の872体すべての燃料集合体をMOX燃料とする「フルMOX」を目指しています。
1/3炉心程度以下から始め、その後、全炉心まで段階的にMOX燃料の割合を増やしていきます。
J-POWER(電源開発)による国内初のフルMOX原子力発電所
出力:138万3千kW
原子炉型式:改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
六ヶ所村で再処理された燃料を使うため、ウラン資源の節約になります。

MOX燃料とは?
ウランとプルトニウムを酸化物の形で混合した燃料MOX(MIXED OXIDE)
ウランの中に少量のプルトニウムを使います
フランス・ドイツ・ベルギーでは、既に、約40年間にわたり、4849体のMOX燃料が使用されている
日本でも、「新型転換炉ふげん」で772体のMOX燃料が装荷され、ウラン燃料と同等に使用できることが確認されている。
下北半島は、日本のエネルギーを支える地域となります。
これから青森県が環境とエネルギーによる産業と経済の振興を図っていく上で、要の地域となります。
新エネルギーと原子燃料サイクルの組み合わせは、青森県の宝となります。
私たちの手で、未来を見据え、しっかり育てていきましょう。

(この視察を一日で終えるのは、非常に厳しい日程と成りました。ふー、疲れた!)