【R3.11.24】第308回定例会 一部反対討論

県民主役の県政の会 渋谷哲一です。
会派を代表して、一部反対討論を行います。


議案第16号、決算の認定を求めるの件、及び、
議案第18号、令和2年度青森県病院事業会計の決算の認定を求めるの件、以上2議案に反対いたします。
また、議案第14号、15号、17号、及び議案第19号の4議案に賛成いたします。
以下、反対議案に対しての主な理由を説明いたします。

議案第16号、決算の認定を求めるの件では、歳出10款1項5目 教育指導費 青森県立高等学校教育改革推進計画について、計画の改定に向けた議論が不十分であり、改定内容も県民の意見が充分に反映されていないことから、反対いたします。


平成28年の青森県高等学校将来構想検討会議答申をもとに、青森県立高等学校教育改革推進計画が策定されました。この推進計画により、平成30年度~令和4年度までの第1期実施計画5か年計画が策定され、今月12日令和5年度から令和9年度までの第2期実施計画が決定されました。


第1期実施計画では、県内各地区で県立高校の統廃合が急速に進められ、統廃合に対する反対の声が各地で起こりました。この時の論点は、1学級40人、1学年4学級を「標準校」として県立高校再編を進める県教育委員会と、地域に小規模校を残したいとする県内各地の自治体や住民との間に生じた「教育に対する基本的考え方」の違いでした。


標準校が生徒の選択肢を増やし、より充実した教育環境を提供できるとする県教委。
それに対して、そもそも子供たちが自分の通う高校を選択するのであり、小規模校でも特色ある教育を提供することによって、個々の生徒に適した魅力ある教育、多様な教育環境を提供できるとする県内各地の県立高校が立地する地域の考え方は、平行線をたどり続けました。


結局、県教委の「標準校」理論が第1期実施計画では基準とされ、多くの反対意見を残したまま県立高校の統廃合が進められていきました。
このため、第2期実施計画を策定する前に、令和2年、基本方針検証会議が開催されることになり、昨年度の決算に所要の経費が計上されたものです。


残念ながら、検証会議では、根本的な論点である、「1学級40人、1学年4学級いわゆる「標準校」の是非が議論されることもなく、むしろ標準校が前提としての議論がなされていました。これでは、何のための検証会議だったのか、との疑問を持たざるを得ません。


問題の核心に触れることなく、検証会議が進められたため、基本方針は、改定前とほとんど同じ内容となっています。その基本方針のもとに策定された今回の第2期実施計画は、第1期実施計画同様、生徒が減っていくという理由で、県立高校の統廃合と学級減が進められ、またもや、各地からの反対の大合唱に対して、何の対策も打ち出す事無く、何事も無かったかのように、決定されました。
県内各地で開催された、地域懇談会は一体何のために開催されたのか、という声に、未だ県教委からの答えはありません。

人口減少が、特に地方において進んでいく中、私たちは、県立高等学校教育の在り方を根本的に見直していく必要があります。


なぜ、国は、1学級40人を、地方の裁量によって変えることができるとしたのか。
なぜ、全国各地で、生徒の全国募集をする高校が増えているのか。
なぜ、高校の魅力化が、重要視されているのか。
これらは、今後の日本の教育、特に高校での教育の在り方を示しているものと考えます。
生徒一人一人が、自分の将来に向けた多様な学びを希求し、それぞれの個性を伸ばしていく教育が求められています。


15歳のころから「気候のための学校ストライキ」を始めたスウエーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏は、全ての世代と地球上の全ての地域の人々に向けて、地球温暖化に対して「考え、実際に行動すること」を訴えています。
恐らく青森県教育委員会が考える「標準校」の考え方からは、この様な若い人は育たないのではないでしょうか。
教育とは、何か。学びとは何か。
もう一度考えてみる必要があるのではないでしょうか。
本来するべき議論を行っていない今回の検証には賛同できません。もう一度、県民から青森県の教育の在り方、県立高校の将来の在り方について、多くの意見を求め、県民と教育の在り方を共有すべきです。


次に、議案第18号に計上されている、青森県病院事業会計の決算の認定を求めるの件では、令和2年度から実施されました分娩料の値上げに反対するものです。
主に2つの観点から反対いたします。


一点目は、分娩料の値上げは、三村知事が重点施策と位置付けている「出産・子育て支援」に、政策的に反するものである事。
そして、二点目は、新型コロナという未曽有の災害の最中、経済的に苦しんでいる子育て世代をむしろ支援をすべきであるにもかかわらず、分娩料の値上げを断行したことに対して賛同できません。

青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦の中で、人口減少対策のアクションプラン、第2期まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略は最重要施策であり、特に、「出産・子育てしやすい環境づくり」が最重要ポイントとして挙げられています。
子どもを産んで下さい、県は、応援します、と若者たちに訴えていながら、その一方で分娩料の値上げをし、出産の負担増を強いる理解しがたいものとなっています。
しかも、新型コロナ禍、経済的打撃を受けている若者たちへ行うべき取り組みとは、到底思えません。
これでは、青森県は言っていることとやっていることが違う、との誹り(そしり)を受けかねません。断固この値上げに反対いたします。


分娩料の値上げに伴う県病の収入増は予算ベースで約3000万円
令和2年度のコロナ対策で1500億円を超える対策費を打ち出している青森県が、なぜ、分娩料の値上げにこだわるのでしょうか。
2020年の国勢調査の速報値では、千葉県の流山市が人口増加日本一となり、それを支える政策で注目されているのが子育て支援です。
令和2年度政策パッケージ事業一覧では、政策分野2、出産・子育て支援と健康づくりでは、約79億2千万円の予算を組み、その中でも、安心して子どもを産み育てられる環境づくりには、約49億6千万円が計上され、「経済を回すための基盤づくりの約79億9千万円に次ぐ規模です。
若い夫婦が、安心して子どもを産み育てられる環境を支援していく事こそ、青森県が採用すべき施策ではないでしょうか。
青森県立中央病院の不採算部門に係わるものとして、周産期医療に要するものは、一般会計からの繰り入れにより対応している所であり、令和2年度は、
約2億7千万円が繰り入れされています。
分娩料の値上げではなく、県民誰しもが安心して出産できるよう繰り入れによる対応をすべきだったのではないでしょうか。
問題は、県病の経済的理由による分娩料値上げの決断を、後は、三村知事をはじめとする県の執行部、県議会がどう判断するかです。
そして、その判断基準は、県の基本計画でなくてはならないはずです。
三村知事も幾度となく言及していますが、子育てしやすい青森県を目指し、子育て世代の負担を減らすことこそが、基本計画に沿った政策であり、それに真っ向反する分娩料の値上げには、反対致します。
三村知事には、今からでも、分娩料をもとに戻すよう要望し、一部反対討論を終わります。

【R3.3.22】令和3年第305回定例会 | 一部反対討論

県民主役の県政の会 渋谷哲一です。
会派を代表して、一部反対討論を行います。
今議会に提出されました45議案の内、議案第1号 令和3年度青森県一般会計予算案、議案第32号 青森県学校職員定数条例の一部を改正する条例案、及び請願受理番号第1号「ゆきとどいた教育を求める請願書」の不採択に反対いたします。
それ以外の、議案第2号から議案第31号まで、議案第33号から議案第45号まで、全ての議案に賛成いたします。

主に二つの点で反対致します。
1つ目は、計上されている原子力及び、核燃料サイクル関連事業の全てに反対いたします。
2つ目は、県立高等学校の統廃合を前提として進められている高等学校教育改革推進計画に関連する全ての予算と議案に反対いたします。

まず1点目です。
青森県には、毎年193億円余の核燃料物質等取扱税や、電源三法交付金、地域振興のための補助金や寄付金など、毎年、巨額の資金が、原子力政策推進のために投入されております。
この他にも、先頃、東通村に対して、東京電力は、5年間で30億円の資金を供給、東北電力は、ふるさと納税により、10億円を寄付するとの発表がありました。
北海道の寿都町や神恵内(かもえない)村は、高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設のための文献調査を受け入れ、それぞれ2年間で最大計20億円の交付金が支給されます。
関西電力では、原子力関連事業を円滑に進めるための贈収賄事件が問題となりました。
これらの資金は何のために投入され、誰が負担しているのか、もう一度、真剣に考えることが必要です。

これまでも、そして、いま現在も、電力事業者は、こう訴えています。
「原子力関連施設の事故は100%起こらないように万全の対策を施します。
私たちの技術力と継続している努力を信頼して下さい。
安全安心が第一です。
事故は絶対起こしませんし、万が一事故が起これば、私たちがしっかり対処いたします。その為の備えは万全です。」と。
原発事故から10年。
果たして、福島第一原発の事故は、これらを証明してくれたでしょうか。
原発避難者はいまだに3.6万人に上り、放射線量が高く、立ち入りと居住制限される帰還困難区域は、福島県内の7市町村、計300㎢以上残っております。東電が避難やなりわいの被害に支払った個人や法人向けの賠償金は、約7兆円で、今後も増え続ける見込みです。納得できない被災者が起こした訴訟も続いております。
地域のコミュニティーを破壊し、避難者が避難先で孤立するだけではなく、保障の金額を巡って被災者同士の分断も引き起こしております。

原子力政策の問題は、地球温暖化の問題とよく似ています。
どちらも、はっきりと問題が目に見えるわけではなく、実際起きてみなければ、どのような影響があるのかもわからず、そして、何より、起こってしまってからでは手遅れだという点です。
その一方で、原発事故が地球温暖化の問題と大きく違う点もあります。
それは、影響が地域限定である事、そして、なによりも人類が何度も実際に体験をしているという事です。
チェルノブイリやスリーマイル事故を経験し、我が国においては、広島、長崎の大惨事も経験いたしました。
10年前に福島の原発事故を目の当たりにし、それでも、なお、原子力及び核燃料サイクル政策と決別することができていません。

福島原発事故以来、国民の原子力への信頼は地に落ち、この10年間政府のエネルギー政策も曖昧なものでした。
規制強化で原発の安全対策工事費は増え続けており、電力会社の負担は計5兆円を上回り、主な原資は、利用者が支払う電気料金ですが、今後さらに増え続ける廃炉費用や高レベル廃棄物の処分費用など、原発の経済性について精密な議論も行われていません。
事故後日本だけではなく世界で原発の安全対策費は高騰し、安価な電源ではなくなる一方で、ヨーロッパを中心に、再生可能エネルギーのコストは劇的に低下し、導入量は大幅に増えました。ドイツでは、2020年総発電量の約4割を占めるまでに至りました。
また、日本経済新聞によりますと、
福島事故後に速やかに脱原発政策を推し進めたドイツは、当初、脱原発により①電力の安定供給が脅かされる、②石炭火力が増えて二酸化炭素排出が増える③原子力が多いフランスからの電力輸入が増えるなどとの指摘があり、政策の実現性に疑問を抱かれておりました。
しかし、実際は、停電時間は短くなり、発電量あたりの二酸化炭素排出量も3分の2に減り、ドイツは電力の純輸出国の地位を維持し続けています。

幸いにも、日本では、核燃料サイクル政策は、ほとんど進んでいません。
先ごろ電事連が提出したプルトニウム利用計画も、具体的なものはほとんどなく、努力目標だけが列記されているだけで曖昧、「もんじゅ」無き後、プルサーマルの主力と謳われている大間原発も、完成の目途は立っておりません。東通原発も再稼働されておらず、六ケ所の再処理工場は、10数年の時を経ても、アクティブ試験に未だに合格しておりません。更に、むつ市にある高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設は、その営業開始前に、建設の前提として交わしたむつ市、青森県との立地協定の内容を、事業者は、地元に事前説明もないまま、変えようとしています。このように県民と県議会との約束を守ろうとしない事業者を信頼することはできません。
青森県も核燃料サイクル政策を推進することやめ、次の世代への責任ある政策に転換すべきと考え、関連する予算に反対致します。

次に、議案第32号、青森県学校職員定数条例案についてであります。
まずは、少人数学級についてです。
国は、小学校と中学校1年生までの少人数学級化を進めており、いずれ、中学校2学年と3学年に拡充、さらに、高等学校へと適用されるものと考えます。
その根拠として、現在でも、中学校2学年と3学年で、自治体独自に少人数学級政策を採用しているのが、全都道府県の過半数を上回り、東北6県においては、青森県と宮城県以外は、既に実施済みです。
尚、宮城県内において、仙台市は、少人数学級を実施しております。
東北では、青森県だけが実施していないこととなります。
中学校2学年、3学年の少人数学級化について、速やかに、進めるべきと考えます。

次に、学校職員定数条例案ですが、これは、県立高等学校の教職員が100名以上削減される提案です。
これは、各地区の県立高校が統廃合された結果、募集停止となりそれに基づいて教職員の定数が減らされるものです。
私は、学校規模の標準化という、現在、進行中の県立高校の統廃合に反対です。
よって、今条例案に反対をいたします。
寺子屋に始まった教育制度は、子どもたちの教育により、地域と国を支える人財を育てることを目的としていたはずです。
学校の規模が人を育てるのではなく、教育の質や熱意、子どもたちの未来を思う気持ちがなによりも大切だと考えます。
そして、高校の廃校は、地域社会の衰退に拍車をかけることとなります。
地域コミュニティーが無くなると人財育成を継続することができなくなります。
高等学校では、地元自治体と高等学校の共育による地域独自の学びによる魅力化を進め、生徒の全国募集を取り入れた高等学校改革を推し進めるべきと考えます。生徒数が減るので統廃合するという手法ではなく、高等学校の魅力化による学校の進化を図るべきと考えます。
現在進められている第2期実施計画を、もう一度見直し、単なる統廃合計画とすべきではないと考え、反対いたします。
以上で一部反対討論といたします。

一部反対討論

県民主役の県政の会 渋谷哲一です。
会派を代表して、一部反対討論を行います。
議案第1号、令和2年度一般会計当初予算案、
議案第40号、青森県病院事業条例の一部を改正する条例案、
議案第15号、令和2年度青森県病院事業会計予算案、
議案第41号、青森県学校職員定数条例の一部を改正する条例案、
これら4件の議案と、請願書1件の不採択に反対いたします。
議案第2号から議案第14号まで、議案第16号から議案第39号まで、議案42号から議案第64号までの60件、全ての議案と発議案2件に賛成いたします。
また、追加提出されました議案第87号から議案第91号、以上5件については、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策であり、全てに賛成いたします。
以下、反対議案に対しての理由の説明と会派としての意見を述べさせていただきます。

議案第1号に計上されている、全ての原子力関連予算に反対をいたします。
その主な理由は、青森県は、原子力関連施設のない地域を目指すべきと考えるからです。
かつて、私自身は、原子力政策を推進しておりました。
しかし、その考えを一変させたのが福島原発の事故です。
当時の原子力行政は、「安全なくして原子力なし」と枕詞のように引用されるくらい自信に満ちたものでした。特に、安全性の問題を指摘されても、「万全の対策を施しているので何も心配ない」と、疑問を呈することすらタブー視され、まともに議論さえできない状況でした。
そして、その安全神話の元、福島第1原発の事故が発生し、原子力関連施設では過酷事故が起こり得るという現実が、国内外の人々に突き付けられたのです。
青森県内にある東通原発、大間原発、むつ市の中間貯蔵施設、そして六ケ所村の再処理施設等、これらの原子力関連施設で一旦過酷事故が起これば、県民の命の危機と、その後、県民生活を破壊するといった甚大な影響を被ることになります。そして、その時、三村知事は、「国の責任において」と、県民に訴えかけるのでしょうか。県は、議会の答弁でも、安全対策も地域振興についても、国の責任を強調し、自らの責任については何も語ろうとしません。
しかし、原子力政策を推進することを最終的に決断しているのは三村知事を舵取り役とした青森県です。
県民の命と生活を守る責任は、青森県にあります。
青森県内の原子力関連施設において、過酷事故を絶対に起こさせてはなりません。
私たちには、子どもたちに、豊かな自然と前を向いて取り組んでいける産業を残していく責任があります。原子力産業から撤退し、再生可能エネルギー産業に転換していくべきです。
また、原子力マネーは、関西電力の一連の事件が示しているように、一過性のものであり地域の未来づくりの基盤とは成り得ません。
更に、核燃サイクルの柱であった高速増殖炉「もんじゅ」に、以前は、私自身も日本の未来を託していましたが、国は、この技術を結局、断念いたしました。
ところが、使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物の行き先がないため、核燃サイクル政策の是非すら、国民に問うこともできず、いたずらに、予算を投入し、核燃サイクル政策を維持しようとしています。
あきらかに、核燃サイクル政策は失敗しました。青森県としても、この事実を認め、撤退すべきです。

次に、議案第40号、青森県病院事業条例の一部を改正する条例案、及び、議案第15号令和2年度青森県病院事業会計予算案、いわゆる分娩料の値上げにていて、2つの観点から反対いたします。
青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦に反する議案であること、そして、病院会計上、据え置きも選択肢の一つだと考えます。
三村知事が掲げる、青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦では、特に、人口減少対策のアクションプラン、第2期まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略が策定され、その中でも、特に①若者・女性の県内定着・還流と②結婚・出産・子育てしやすい環境づくりの2点が最重要ポイントとして挙げられています。
そのような政策を掲げていながら、今回の分娩料の値上げは、基本政策に真っ向から反するものと言わざるを得ません。
令和2年度政策パッケージ事業一覧では、政策分野2、出産・子育て支援と健康づくりでは、約79億2千万円の予算を組み、その中でも、安心して子どもを産み育てられる環境づくりには、約49億6千万円が計上されており、「経済を回すための基盤づくりの約79億9千万円に次ぐ規模です。
若い夫婦が、安心して子どもを産み育てられる環境を支援していく事こそ、青森県が最重点政策として進めていくべきです。今回の分娩料の値上げによる収入増の見込みは、約3千万円。
青森県がこれを負担するのは、本当に無理なのでしょうか。
青森県立中央病院の近年の不採算部門に係わる一般会計繰入金の主なるものの内、周産期医療に要するものは、
H28年度、約2億1千9百万円
H29年度、約1億9千8百万円
H30年度、約1億7千8百万円と
県病のたゆまぬ努力により、年々繰入額が減ってきております。
値上げ分の約3000万円は、まさしく、政策選択の問題と考えます。
青森県は、平均所得も平均寿命も人口減少も全国最下位レベルです。
だからこそ、出産、子育てに力を注いでいる県として、分娩料が日本一安い青森県を目指し、値上げではなく、むしろ子育て世代の負担を減らすべきと考え、この議案に反対をいたします。

次に、議案第41号、青森県学校職員定数条例の一部を改正する条例案に反対いたします。
現在、青森県が進めている青森県立高等学校教育改革推進計画、第1期実施計画は、結果的に県立高校の統廃合となり、本来の趣旨である、「全ての高校において、今後求められる人材を育成するため、生徒一人一人の学習意欲の向上に十分配慮しながら、各校が創意工夫するとともに、相互に連携し、生徒の進路志望や地域の期待等に応えることができるよう、それぞれの特色を生かした魅力ある教育活動の推進に向けて取り組む」、といった視点に欠けているものと考えます。
このまま統廃合を繰り返していけば、町村部から高等学校が無くなり、地域の活力も失われていきます。
特に、今回の議案では、統廃合に伴い、閉校や学級減の学校の教員が減ることになり、残った2学年、3学年の生徒たちへの教育の質が低下していく事が考えられます。
県内の全ての高校において、学ぶ意欲のある生徒をサポートする事が、何よりも大切です。地域や親の経済力に関係なく、全ての子どもたちを支援する県立高校であるべきです。その為にも、統廃合によって教員を機械的に減らすべきではないと考え、議案に反対します。

最後に新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策です。
昨日、八戸市で青森県初の感染者が確認されました。昨日までとは、状況が一変いたしました。今回上程されました追加議案5件、全てに賛成しますが、定例会は本日で終了します。県民の理解と安心のため早期に議会を招集し、新型コロナウイルス感染症に臨むべきと考えます。
以上の意見を付し、一部反対討論を終わります。ありがとうございました。

令和2年第301回定例会(2020-03-06)

1 原子力政策について
(1) 脱原発政策の推進について
(2) 核燃料サイクルの中止について
(3) 高レベル放射性廃棄物の搬出期限の法制化について
(4) 高レベル放射性廃棄物の最終処分地受入れ拒否条例について
2 青森県立高等学校教育改革推進計画について
3 県教育委員会における障害者雇用について
4 本県観光の振興について
5 県庁舎における電力契約について
6 新型コロナウイルス感染症対策等について

県民主役の県政の会 渋谷哲一です。一般質問を行わせていただきます。
まず始めに、青森県の原子力政策についてです。
青森県は、脱原発、脱核燃サイクル、そして脱高レベル放射性廃棄物最終処分場を宣言し、県民の命と未来を守るべきと考えます。
以下、その理由を述べて、三村知事の考えをお伺いいたします。

まず始めに脱原発です。
福島原発の事故以来、国民の原子力に対する見方は大きく変わりました。特に、事故以前にあった、安全神話は完全に崩壊し、原発は、過酷事故も起こり得る存在となりました。
そのような中、本県には、再稼働を目指す東通村原発、建設中の大間原発、核燃サイクル政策の中核である再処理施設や、むつ市の中間貯蔵施設等、次々と原子力関連施設が建設され日本でも有数の一大集積地となっています。

その一方で、24ページにわたる提出議案知事説明要旨の中で原子力関連の記述は僅か3行、国策に協力し、今後とも安全なくして原子力なし」との姿勢で国、事業者の責任ある対応を見極めつつ適切に対処していく、ということだけです。
明らかに、原子力関連、核燃サイクル政策は、本県の未来を作り上げるための重要な施策とはなっていません。
「攻めの農林水産業」や「Aプレミアム」の推進、国内外からの誘客推進、企業誘致、創業・起業支援など、地域において魅力あるしごとづくり、地域経済を回す仕組みづくりを進めてきたことなどを紹介し、今後、これ以上に「世界に打って出る視点」を強調していましたが、三村知事の進める「選ばれる青森」に、これらの原子力関連施設は、本当に必要なのでしょうか。
リンゴやホタテに代表される青森県。一次産業を主力産業と位置づけた本県の「攻めの農林水産業」というプロジェクトは、国策にも取り入れられているといわれております。豊かな食と文化、自然に彩られ、県民の安全安心を守り、国内外からの誘客により地域の経済を回し、雇用を創っていく。
それこそが「選ばれる青森」への挑戦ではないでしょうか。
県内の原子力施設で万が一過酷事故が起きた場合、三村知事は、どのように責任を取るつもりなのでしょうか。
県民の命と健康、未来がかかっている以上、原子力政策の是非を県民、そして県議会に問うべきです。県民を交えた議論が必要です。
福島原発事故を教訓に、すぐ行動に移したのが、ドイツです。
事故の僅か4か月後、ドイツでは、Energy Concept(エネルギーの基本政策)と脱原子力の方針を具現化する6つの法律と1つの政令(通称エネルギーパッケージ)が連邦議会で成立しました。
エネルギー基本政策に脱原発という新たな柱を加え「Energiewende(エネルギー革命)」という現在に続く政策が形成されていきました。この脱原発政策は、ドイツ国内の停止中の原子炉の即時閉鎖と稼働中の原子炉を2022年までに段階的に閉鎖するという驚くべき政策転換でした。
ドイツのエネルギー基本政策は、2010年に策定された「Energy Concept」
です。これには、地球温暖化対策のための抜本的なエネルギーシステムの改革が定められており、供給の保証、経済的なエネルギー供給、環境適合性の3つの柱からなっており、目標を温暖化ガス排出量を1990年比で2030年には、−55%、2050年には、−80~90%にすること、そして最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギー比率を、2030年に30%、2050年に50%とすることです。
現在、脱原発は順調に進められ、2022年まで、後2年で達成する予定です。
ドイツの再生可能エネルギーの歴史は、2000年の再生可能エネルギー法(EEG)と固定買取制度(FIT)が導入され、系統運用者に対して再生可能エネルギー発電設備の系統接続及び固定価格での買取が義務付けられたことで加速していき、
2019年、再生可能エネルギーが、ついにドイツ総電力消費の42.6%を占め、新記録を樹立しました。
これほどの拡大を遂げた要因の一つにシュタットベルケと呼ばれる、地方自治体の出資による電気ガス、熱、水道、交通などの公共サービスを担う、公的な事業体の役割が挙げられます。ドイツ全体で約1400程度存在し、地域資源の活用や地域の雇用の創出をする地域密着型の事業体です。このシュタットベルケが再生可能エネルギーと結びつき、地方での拡大につながりました。
青森県でも、地域エネルギーと人材を活用し、青森型シュタットベルケが有効と考えます。
勿論、この政策には多くの課題もあります。
特に、3つの課題が挙げられます。国民負担の問題、送電網の拡大、そして、石炭火力発電の問題です。
一つ目の、再生可能エネルギーにおける国民負担の問題は、再生可能エネルギーの買取が増えれば増える程、国民負担も増えていくという課題です。
確かに、ドイツの家庭の電気料金は、EU各国の中でも、一番の高さだといわれております。そしてそれを支えているのが、ドイツ国民の環境に対する意識の高さです。最近の世論調査では、国民の最大の関心事は、気候変動対策のための環境保護であり、2位の移民問題、3位の年金問題を圧倒的に引き離しての1位であることです。国民の地球環境を守っていくという決意が、再生可能エネルギーの普及を後押ししています。

2つ目の送電網の拡充の問題は、風力発電は、主にドイツ北部や電力消費地から離れた場所で行われるため、大消費地への送電が必要です。この問題を解決するための3本の幹線計画がありますが、多額のコストや住民のコンセンサスを必要とするためなかなか進んでいきません。
しかしこの問題にも、明るい兆しが見えてきました。3つの幹線送電網の拡充計画は、約7700km。そのうち1150kmしか整備されていませんでしたが、2019年、新たに、1000kmの整備が認可されました。

そして、3つ目の、地球温暖化ガスを多量に発生させる石炭火力発電所の問題です。当初、ドイツでも、原子力発電は、再生可能エネルギーへの転換のための橋渡し的役割を担う予定でした。しかし、福島の事故後直ぐ、脱原発が決められたため、石炭火力が使われました。ドイツ国内に多くの資源が賦存するため最も安価に電力を供給することができたのです。
この問題への答えは、ドイツの2019年のエネルギーレポートに示されています。
2019年、石炭火力と原子力がドイツの総発電量に占める割合は、約40%です。
その内訳は、石炭火力は、総発電量の9.4%を占め、前年比−13%、ドイツ国内に豊富にある資源で質の低い安価な石炭による発電である褐炭火は、総発電量の18.8%で前年比−22.8%、そして、原子力は、12.4%で、前年比−11.9%です。
このうち原子力発電は、2年後ゼロとなりますし、石炭火力は、1970年代から最低を記録しました。確実にこれらの電源は、その役割を終えようとしております。
その一方で、多くの課題を抱えている再生可能エネルギーは、着実に伸びてきております。
2019年、再生可能エネルギーは、総発電量に対して約40%を占め、その内訳は、次の通りです。
陸上風力は、総発電量の16.8%。
太陽光、7.7%。
バイオマス、8.3%。
海上風力、4.1%。
水力、3.1%となっています。
これからも、再生可能エネルギーを増やしていくというドイツの挑戦は続きます。そして、これらの取り組みは、全て地球温暖化防止対策のためです。
地球温暖化防止対策のため、政治が先頭に立って法律を改正し、国民とともに世界のリーダーとしての役割を果たそうとするドイツ。
日本はどうするべきなのか。
そして青森県は、日本の国策を支援するだけでよいのでしょうか。
昨年12月の第25回国連機構変動枠組み条約国会議(COP25)では、地球温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」に日本とブラジルが選ばれました。
世界では、地球温暖化に歯止めがかからないとの危機感から、脱石炭の流れが決定的になっているにも関わらず、日本は、いまだにCO2を多く排出する石炭火力を推進し、発展途上国での建設に多額の公的融資を続けていることが授賞理由です。

日本の地球温暖化防止対策の戦略が、世界から問われている中、環境経営学会の後藤会長は、企業、地方自治体、若者の3社に期待を寄せており、次のように発信しております。
まず、企業の目の色は変わってきました。転機は、主要国の金融当局が設置した「気候関連財務情報開示、タスクフォース(TCFD)」が、2017年に、地球温暖化が業績や財務内容にどう影響するかを明らかにするよう迫った時だと訴えております。世界で脱炭素経営に向かう流れは強まっており、環境省の集計では、TCFDの原則に賛同する企業の数で、日本は首位となり、事業で使う電力を100%再生可能エネルギーに変える取り組み「RE100」の参加数でも世界第3位となりました。
このような状況下、日本の環境経営学会は、昨年8月、自治体や非政府組織(NGO)などに「気候非常事態宣言」で連携を促す声明を出したことにより、欧米やカナダ、オーストラリアなどで非常事態を宣言する都市が急増し、日本でも、長崎県隠岐市、神奈川県鎌倉市や長野県が宣言しました。
更に、企業の環境対策は進みます。マイクロソフトは、現在の主流となっているCO2の排出をゼロにする「カーボンニュートラル」から、排出量を純減させる「カーボンネガティブ」に取り組むと発表し、データセンターや社屋で使う電力は、全て再生可能エネルギーで賄い、敷地内の移動で使う車は、電気自動車に変え、CO2吸収の技術開発プロジェクトに投資する基金、1100憶円を創設しました。2050年までには、1995年の会社創立以降に出したCO2と同量分の削減に貢献する計画の発表を受け、マイクロソフト社の株価は、過去最高値を更新しました。背景には、企業の、環境、社会、企業統治(ESG)への対応を求める投資家の動きがあったと思われます。
特に、自動車のCO2排出量など、環境規制への対応力が投資家の銘柄選びの基準になってきております。ESGへの取り組みは、業績と並ぶ評価軸になりつつあり、その象徴として、米電気自動車メーカーの「テスラ」の時価総額は、自動車会社で2位になり、対応が遅れた企業からは、投資が遠ざかるようになってきております。

地球温暖化対策では、EUが先頭を走り、世界をけん引しています。人類が住み続けられる環境を守るため、高い目標を掲げ、達成のための努力を続けていますが、その中でも特に注目されているのが、ドイツとフランスの2つのアプローチです。
ドイツの再生可能エネルギーを考えるとき、一つの都市伝説を思い出します。
その都市伝説とは、「ドイツでは、再生可能エネルギーを積極的に導入しているが、ヨーロッパ全土が電力網で繋がっているため、足りない電力は、フランスの原発で発電した電力を輸入して賄っている。」という、少し皮肉めいたものです。多くの県民の皆様も聞いたことがあるのではないでしょうか。
さて、問題は、これが事実かどうかです。
そして結論から言いますと、事実ではありません。
ドイツのエネルギー革命をサポートするシンクタンク、アゴラエナジーベンデは、毎年ドイツのエネルギーの現状を世界に発信しており、2019年版で、電力の輸出入についても報告しております。
その報告書によりますと、ドイツは、2012年から電力輸出国を維持しており、オーストリアが電力の最大輸出国で、次いで、ルクセンブルグとオランダ。
その一方でドイツの電力の最大輸入国はスウェーデンとスイスです。
対フランスでは、輸入11.5Twh、輸出14.0Twhで、トータルで2.4Twhの輸出となっている。報告書の数値が示しているように、ドイツは電力輸出国であり、決してフランスの原発に頼っているという事実はないのです。

では、そのもう一つの国、フランスのエネルギー政策はどのようになっているのでしょうか。
国の政策として原子力を積極的に推進してきたフランスでさえ、今後、電源の多様化を推進するため、原発の比率を現在の70%以上あるものを、50%まで削減しようとしています。
2019.11.12のJETROビジネス短信によりますと、
フランス北西部のフラマンビル原子力発電所に建設中の新型原子力発電所(欧州加圧水型炉)EPRの稼働が当初の計画から10年以上遅れている問題で、原因究明と改善策に関わる報告書が昨年10月28日、フランス電力(EDF)と同社の筆頭株主であるフランス政府に提出された。その内容は、2012年6月の運転開始に向け、2007年12月に着工した、欧州加圧水型炉は、原子力圧力容器に関わる鋼材の組成以上や配管溶接部の欠陥など、複数の問題が見つかったことから建設が遅れ、2019年の10月の計画では、運転開始に向けた燃料装填が2022年末、運転開始は、2023年以降になる見通し。これに伴い、建設総額も33億ユーロから124憶ユーロに膨らむ。

この報告書では、遅延とコスト増大の主な原因として、セキュリティーや資材の品質などに関わる詳細な事前調査が不足していたこと、複数の企業が混在する現場を統括し、監督する権限を持ったプロジェクトマネージャーやプロジェクトチームの設置が遅れたこと、原発圧力容器の品質、耐久性、溶接プロセスなどに関わる規制強化で新たな対策や修理を迫られたことなどを挙げています。
フラマンビル原発の着工以前、フランスでの新規原発着工は、1991年のシボー原発2号機を最後に16年間なく、その間に、フランス電力のプロジェクトマネッジメント能力や部品メーカーの製造能力が低下し、特に溶接の技術や人材を喪失したと、指摘した。

また、自然エネルギー財団によると、フラマンビル原子力発電所の発電コストは、15.6円/kwhとなり、風力、太陽光の約2倍の水準。
EDFは、現在58基の原発、設備容量は、合計で6300万kwに達している。2017年6月30日現在で、310憶ユーロ(約4兆円)もある負債を減らすため、今後は、新設よりも数多く残っている古い原発の運転期間を40年以上に延長する方針。全58基の内2017年11月15日時点で、8割の原発が30年以上経過していて、そのうち半分は35年以上経過している。
ただし、運転延長では、次に掲げる経済面、技術面、安全面の課題が残ります。
① 改修プログラム「Grand Carenage」のコスト試算では、2025年までに合計480憶ユーロ(約6.2兆円)の費用が必要となる。
② 風力と太陽光とを組み合わせて使う必要から、出力の柔軟性が求められるため、設備利用率が低下し、出力を上げ下げすることで設備の消耗が進み、運転維持費が増大する。
③ 2015年エネルギー転換法(French Energy Transition for Green Growth Law)では、原子力発電の比率を、2030年から2035年にかけて50%まで低下させる目標が設定されました。
2019年1月に発表された「エネルギー多年度計画2028年までの中期目標を規定、その草案では、2028年までに陸上風力3140万~3560万kw、太陽光3560万~4450万kwを導入する目標が示されました。
そして、今年1月、フランス政府は、本来の耐用年数だとされる40年に近づいている、または、超えている原子炉12基を、2035年までに廃炉とする方針を確認した。
原子力発電は、もはや、斜陽産業であり、世界の潮流は、風力や太陽光といった再生可能エネルギーにシフトしているのです。
青森県の未来を見据え、脱原発、脱核燃サイクル、そして、脱最終処分場を決断する時ではないでしょうか。

三村知事にお伺いいたします。
世界は、再生可能エネルギーへと大きく舵を切っております。
青森県は、エネルギー政策の方向転換を図り、脱原発政策を進めていくべきと考えます。三村知事の考えをお伺いいたします。

次に、脱核燃サイクルです。
核燃サイクル政策の中心は、「高速増殖炉もんじゅ」でした。しかし、その「もんじゅ」は、1兆円以上の国民の税金を使っていながら当初の目的を果たすことなく、廃炉となり、文字通り「夢」となりました。
もう一つの柱である再処理工場は、2007年に技術的トラブルの発生から、既に13年が経過したものの、今もって運用開始に至っていません。
使用済みMOX燃料は、新設する「第2処理工場」で扱うとされてきましたが、福島原発事故後は、白紙の状態。
2019年フランスと共同で進めていた高速実証炉「アストリッド」については、2020年度予算要求に盛り込まず、打ち切られました。
核燃サイクル政策は、実質破綻しています。
しかも、高速増殖炉計画が廃止となった今、使用済み燃料の再処理は、使う当てのないプルトニウムを増やすだけです。
以上のことから、青森県は、核燃サイクル政策をやめるべきと考えますが、三村知事の見解をお伺いいたします。

次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分地受け入れ拒否条例についてです。
六ケ所村核燃サイクル施設では、海外から返還される高レベルガラス固化体が一時貯蔵され、再処理工場では、ガラスか固体やTRU廃棄物などの高レベル廃棄物が作り出されています。
今後、東通原発が再稼働、大間原発が操業すると大量の使用済み燃料がたまっていきます。更に、むつ市のリサイクル燃料貯蔵施設には、大量の使用済み燃料が中間貯蔵され、青森県は、膨大な放射性廃棄物の一大集積地となります。
ところが高レベル廃棄物や、使用済み燃料の最終処分方法については、国における最終処分地の選定及び必要とする安全規制の整備は遅れ、その目途すら立っていないのが現状です。
六ケ所の高レベル廃棄物の一時貯蔵施設における期限である2025年及び2045年までに、あと5年及び25年と迫っているにも関わらず、ガラス固化体搬出の目途どころか、再処理工場内の高レベル廃棄物については、保管期間の定めすらありません。
このような状況のもと、県民には、「このままでは、青森県がなし崩し的に最終処分地になるのではないか。」との疑念と不安が高まっています。
福島原発事故以来、原発の廃炉が続出し、それに伴い、発生する大量の放射性廃棄物の処分が進まないため、放射性廃棄物拒否の声が全国に広まっており、県民の不安は高まるばかりです。
世界自然遺産に登録されている知床半島が位置する北海道は「特定放射性廃棄物受け入れ拒否条例。
鹿児島県の旧屋久町と旧上屋久町は「放射性物質持ち込み拒否条例」を制定しました。
和歌山県白浜町議会は、町内への核のゴミ持ち込みや、貯蔵、処分施設の建設を認めない項目を盛り込んだ「核物質持ち込み拒否条例」を制定し、年間約300万人が訪れる世界遺産「熊野参詣道大遍路」など観光立町の環境を守り続けることを宣言しています。
私たちの住む青森県は、豊かで美しい自然に恵まれ「北のまほろば」と言われ、縄文時代から先人のたくましい努力によって、自然と調和した「青い森」の文化と歴史を作り上げ、今や、世界自然遺産「白神山地」を擁し、2021年度の「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録を青森県は目指しています。
高レベル放射性廃棄物を作り出す再処理工場や原発などの操業、稼働により、これ以上負の遺産を増やさず、青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしないと県民の総意で、国内外に宣言し、よって県民の命と健康、並びに財産を守り青森県の自然と環境を保全することを目的として
「青森県を高レベル放射性廃棄物最終処分地としない条例」を制定すべきと考えます。三村知事の見解をお伺いいたします。

次に、高レベル放射性廃棄物の搬出期限の法制化についてです。
福島県では、高レベル放射性廃棄物の搬出期限について、国の法律に明確に記述させています。
中間貯蔵、環境安全事業株式会社法
(国の責務)第3条で、次のように明記しております。
国は、中間貯蔵、及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の確実、かつ適正な実施の確保を図るため、万全の措置を講ずるものとする。
2項 国は前項の措置として、特に中間貯蔵を行うために必要な施設を整備し、及び、その安全を確保するとともに、当該施設の周辺地域の住民、その他の関係者の理解を得るために必要な措置を講ずるほか、中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるものとする。
経済産業大臣が変わるたびに本県を最終処分地にしない等の確認をしておりますが、私たちは、それを信じてよいのでしょうか。
県民も疑念を抱き、不安を感じています。
人が変われば政策も解釈も変わります。法律の解釈さえ簡単に変えられる時代です。口約束ではなく、少なくとも国の法律に明記してもらうべきです。
高レベル放射性廃棄物の搬出期限について、法律に明記するよう国に求めるべきと考えますが、三村知事の考えをお伺いいたします。

次に、青森県高等学校教育改革推進計画についてお伺いいたします。
第1期実施計画が、H29年7月に決定し、H30年度から、県内の高校の再編が進められました。
その結果は次の通りです。
青森東高校平内校舎、大湊高校の川内校舎、五戸高校は閉校。
金木高校、板柳高校、鶴田高校、五所川原工業は統合して、西北地区統合校に。
黒石商業高校と黒石高校は統合して、中南地区統合校に。
六戸高校、十和田西高校、三本木農業高校は統合して、上北地区統合校に。
高等学校教育改革推進計画とは銘打っていますが、実際は、県内の郡部からの県立高校の廃校に他ならないのです。

これらの決定までに、県内各地から自治体を中心に、地元高校を残したいという切実な訴えが県に寄せられました。
黒石市議会からは、計画の再考と決定の延期を求める意見書が出され3つの指摘がなされました。
① 4月に5年後の計画案が発表され、その3か月後に決定することは余りにも早急すぎる。
② 存続する学校が都市部に集中しており、オール青森での検討とは言えない。
③ 地域の子供たちの将来を考えると、もっと地方議会や地域住民の意見を聞き、それを踏まえた上で、今後の方向を決めること。
このような訴えは、県立高校が閉校となる各自治体から続出しました。
六戸町からは、県教委が生徒数の減少を再編の理由に挙げているのに、六戸高校より生徒数が少ない高校を存続させ、六戸高校を閉校させる方針に強い不満が表明されました。
板柳町では、今後のまちづくりや地域の活性化に大きな影響がある、との声。
鶴田町からは「意見交換会で出た意見が反映されていない」。
金木高校を応援する会の発起人の一人は、「原案から変わるのではないかという気持ちでいたので、とにかく悔しい、残念だ。提出した1万317人分の署名の扱いからも地域の思いが全く届いていないように思う」。
五戸町では、町立高校に変えても、町に高校を残したいと、町独自に生き残りの道を模索しましたが、重い財政負担という厳しい現実に、ついに存続を断念しました。
これらの地域の想いは、第1期実施計画ではどの様に活かされたのか、疑問が募るばかりです。
そして、いよいよ令和2年度中に、第2期実施計画が策定されます。
今のまま、第2期実施計画が策定されていけば、県内の町村から高校が無くなります。地域から県立高校が無くなれば、地域の未来を奪うことになります。
私は、第2期実施計画は、視点を変えて策定すべきと考えます。
それは、「どのように地域に高校を残していくのか!」という視点です。
そして、その答えは、「地域の高校の魅力化」に他ならないと考えます。
そこで、全国で注目を集めている島根県立 隠岐島前高校の隠岐島前教育魅力化プロジェクトを紹介いたします。
島前地域における教育の魅力化とは、次のように定義されています。
生徒・児童が行きたい(通いたい)、保護者が行かせたい(通わせた)、教職員が行きたい(赴任したい)、地域住民が活かしたいと思う魅力ある学校づくり、教育の場づくりを意味しています。
高校は単なる教育機関ではなく、地域の未来を担っていると得島前高校の魅力化プロジェクトは訴えております。
そして、この取り組みは、全国で広まっている「地域みらい留学」に受け継がれています。
高校を地域の未来と位置づけ、第2期実施計画では、高校と地域の魅力化の視点に立った策定を行い、地元の自治体と高校の生徒や教職員、県教育委員会が力を合わせ、特色ある、魅力ある高校に変え、県内外、国内外からの子どもたちに選ばれる高校を目指すべきです。
そしてそれこそ三村知事が掲げる「選ばれる青森」への挑戦の礎となるのではないでしょうか。

そこで質問いたします。
⑴ 第2期実施計画の策定に向け、第1期計画について検証すべきと考えるが、県教育委員会の見解をお伺いいたします。
⑵ 第2期実施計画の策定に当たっては、地域の意見や思いを反映させるべきと考えますが、県教育委員気合ではどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
⑶ 県立高等学校に県外の生徒も志願できるように取り組むべきと考えますが県教育委員会の見解をお伺いいたします。
⑷ 三村知事は、総合教育会議の場で第1期実施計画に向けた基本的な方向性について理解を示しているが、計画期間内に高等学校の統廃合が劇的に進んでいることに対して見解をお伺いいたします。これが、三村知事の望んだ結果なのでしょうか。

次に、青森県教育委員会における障がい者雇用についてお伺いいたします。
中央官庁の障がい者法定雇用率の水増し問題が発覚して以来、全国の地方自治体の法定雇用率が改めてクローズアップされました。特に、都道府県教育委員会は、法定雇用率の算出基準が教職員を含んでおり、目標達成は難しいとされてきました。昨年の実績でも全国46都道府県の内、法定雇用率を達成しているのは僅か5県で、青森県は法定雇用率を満たしていませんでした。この問題の解決策を求め、昨年末、障がい者法定雇用率を既に達成しているか、達成に近づいている鹿児島県、山口県、そして、島根県の教育委員会を訪ね、調査して参りました。

鹿児島県教育委員会は、法定雇用率を上回っています。全ての県立高校に非常勤の校務補助員2名を配置し、一人は、障がい者で、もう一人がサポート役となり、二人一組で学校の様々な仕事を手伝っています。現在、各県立高校に計58名の障がい者が雇用されています。
山口県では、知事部局では、既に法定雇用率を達成していたため、山口県庁内に「きらめきワークセンター」を設置、県教委のもとに、8名の障がい者とそれをサポートする2名の職員とともに、計10名で県庁内の事務補助を行う、就労支援事業が行われています。
特に、鹿児島県は、H23年当時、雇用率は、1.43と青森県と同じ水準でした。国から指摘を受けた鹿児島県教育委員会は、法定雇用率を上げていくためのプロジェクトチームを立ち上げ、基本計画を策定し、着実に障がい者雇用を増やし、4年目で法定雇用率を達成しました。
目標を達成した現在でも、国の法定雇用率が2.3、2.4、そしてこれから2.5%と上がってきているため、常に危機感を持って、継続して達成できるよう、取り組んでいます。

質問いたします。
⑴青森県教育委員会の障がい者雇用率についてお伺いいたします。
⑵障がい者雇用率の改善に向けた県教育委員会の令和2年度の具体的な取り組みをお伺いいたします。
⑶法定雇用率達成に向け、令和3年度以降も計画的に取り組むべきと考えますが、具体的な達成計画を伺います。

次に県庁舎における電力契約についてです。
私は、昨年の6月議会で、青森県の公共施設における電力契約についての質問をいたしました。電力の自由化が国策として進められている中、青森県の施策が具体的にどのように進められていくのかお伺いいたします。
まず始めに、
⑴ 県の施設に係る電力契約の一元化や入札についてお伺いいたします。
⑵ 電力契約の一元化等に係る他県の実施状況についてお伺いいたします。

次に、新型コロナウイルス対策についてです。</font>
青森県は、これから数多くの課題を迅速に解決していかなくてはなりません。
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策
県内で初めての感染者が確認された時の対応、
既に始まっている小中高等学校や特別支援学校の一斉休業による影響への対応、
更に、自粛ムードの中、深刻な影響を受けている事業者への対応など問題は山積しております。
2月17日には、三村知事を本部長とする新型コロナウイルス感染症に係わる危機対策本部が設置され、2月28日には、危機対策本部会議が開かれ各部局から現状の報告と対策が示されました。
その後の知事のメッセージにより、県立高校において3月3日から春休みまでの間、一斉臨時休業の措置が発表されました。
新型コロナウイルスの感染対策はこれから本格化していきます。

⑴ 危機管理対策本部では、現状をどのように把握し、その対応についてお伺いいたします。
⑵ 特に、県内の自粛ムードが政府の呼びかけによって加速されましたが、緊急的経済支援の検討が必要と考えますが、県の対応をお伺いいたします。

次に、本県の観光の振興についてお伺いいたします。
新型コロナウイルスは、本県の観光産業に大打撃を与えています。これから、青森県として、具体的にどのように支えていくのかを考えていかなくてはなりません。
その一方で、インバウンド対策は、中長期的視点で取り組んでいくべき課題であり、成果を上げていくためには、しっかりとした成長の種を植えていく事が必要です。
昨年末、福島県で北海道東北6県の議員研修会に参加してまいりました。その中で、各道県のインバウンド対策の状況や今後の展開などの報告があり、ブランドとして確立している北海道と東北6県が協力していく必要性が確認されました。

青森県も中国、韓国からの定期便がありましたが、その路線を維持する難しさは、新型コロナウイルス以前でも政治的、経済的理由で感じておりました。
感染が収まったからと言ってすぐに、これらの国々からのインバウンドが直ぐに回復するとは考えられません。コロナショック後の対策が今から必要です。
私は、インバウンド対策では、特定の地域に偏らない、いわゆるリスク分散と、青森県にわざわざ訪れてみたくなるコンテンツのブラッシュアップ、いわゆる魅力づくりが重要と考えます。
そこでお伺いいたします。
近年、東北各県でタイ及びベトナムからの観光が伸びる兆しが見けられます。
⑴ タイ及びベトナムからのインバウンド誘致について、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
⑵ 地域が持つ様々な魅力を活かした観光地づくりが必要と考えますが、県の取り組みについてお伺いいたします。
⑶ インバウンドが本県経済を潤していく事目指しております。観光で経済を回すための取り組みが重要と考えますが、県の取り組みをお伺いいたします。

議員派遣結果報告書(2020-01-08)のつづき

仮に、魅力化が達成できず、島前高校が廃校となった場合の地域未来予想図が描かれています。

なりゆきの未来


本土行の最後のフェリーが動き出した。
この島と一緒に死ぬといってきかない老人だけが島に残った。 
錆の浮いた港湾施設が遠ざかる。岸壁に書かれた「ござらっしゃい」の文字がむなしく波に洗われている。永訣を告げる最後の汽笛が、湾内に響き渡った。丘の上には、ボロボロになった旧島前高校の校舎が、悲しそうに佇んでいた。
この島前地域に襲い掛かってきた、過疎、少子高齢化に伴う地域の衰退、そして高校の存続の危機、かつてこの状況に抗い、立ち向かった人々もいた。
地域と協働した特色ある授業、公立塾の設置、島外からの生徒募集など、多くの抵抗や困難がある中で打てる手は打った。高校魅力化にむけた様々な取り組みは一時的に脚光を浴び、高校は復活したかのように見えた。しかし、永くは続かなかった。
生徒増と学級増により「危機が去った」と安心したことで、高校魅力化に向けた地域の情熱は消えていった。頑張っていた教職員や関係者も移動や退職などで移り変わっていき、勢いは失われていった。島外から入ってくる生徒は次第に減り島前3町村の中学生の数の減少と相まって、20XX年秋、島根県は島前高校の学級減を発表。これにより島前高校の命運は尽きた。魅力化の流れは完全に終わり、衰退化に向けた逆行が一気に始まった。学級数が2学級から1学級に減っていく事で、教職員数は段階的に減り、難関大学への進学は困難となり、ヒトツナギ、軟式野球、バスケ、バレー、レスリングなどの部活動の休部も続き、島前高校への志願者は更に拍車をかけて減っていった。重なる赤字により公立塾や寮も閉鎖、為す術もないまま島前高校は隠岐高校の分校となり、その数年後廃校が決まった。
島前高校が廃校になった後、島前地域の子供連れのUターンは途絶え、逆に子供のいる家族世帯の島外流出に歯止めがかからなくなっていった。知夫村では、子どもが生まれない年が何年も続き小中学校は休校になり、高齢化率は70%を超えていった。海士町は若いUIターン者の流出が続き、2校あった小学校は、統廃合され、第3セクターも潰れていった。西ノ島町では、漁業や畜産業の担い手が途絶え、子どもや若者の減少により精霊船(シャーラ船)も十方拝礼(しゅうはいら)も消えていった。赤字が続いた隠岐汽船は寄港地の集約化とダイヤの効率化を図り、隠岐で一港、1日1便、フェリー1隻体制に移行していった。
これにより島前の観光業はさらに衰退していった。こうした状況において、島前に住みたいという医者はいなくなり、島後や本土から医者が定期的に通ってくる体制に変わり、住民の医療に対する不安は高まるようになった。3町村ともに財政状況が悪化し行き詰っていった結果、隠岐の島町との合併を決断。編入合併後、住民への福祉や医療、行政サービスは低下し、人口の流出は一層激しくなった。「最後まで島に残りたい」と言っていた高齢者たちも診療所や商店も閉まり、廃墟と化した集落の中で話し相手もいなくなっていく中、島に残ることさえ厳しくなっていった。そして、ついに数人だけを残して苦渋の集団離島が始まった。
こうして、数千年つづいてきたこの島前の歴史と文化は、22世紀を迎えることなく幕を下ろすことになった。その後、島前近海では外国漁船の違法操業が繰り返されるようになり、荒れ果てた集落には不審な人影が見えるようになったという。
多くの過疎地域と高校に希望を与えていた島前高校の失墜により、全国の高校の統廃合は一気に加速。ほとんどの過疎地域から高校が消え、子どもや若者が消え、希望や活力が消え、国土の大半を占める地方は疲弊し、日本の少子高齢化と人口減少は加速度的に進んでいった。

これは一つの未来。
手綱を緩めるとまっしぐらに向かっていくであろう未来の姿である。
このなりゆきの未来を回避し、意志ある未来をたぐり寄せる為にも、魅力化プロジェクトは更なるビジョンを掲げ、取り組みを継続していく必要がある。と締めくくっています。