浮体式洋上風力発電実証事業

環境省が進めている世界初の浮体式洋上風力発電の実証実験が、長崎県、五島列島の椛島沖で行われています。
実験場所は、まず、長崎港から福江島に、ジェットフォイルで約1時間半、更に、福江港から、海上タクシーをチャーターし、約30分で到着します。

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戸田建設の担当者が福江港から一緒に乗船して説明してくれました。

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椛島の沿岸から約1㎞沖合に浮体式洋上風力発電所は位置しています。沿岸から近く、約100mの水深がある場所は、なかなかありません。
沿岸から近いということは、高価な海底ケーブルをなるべく使わなくても済むということであり、コスト削減の重要な条件です。
風力発電は、いかにコストを安く抑え安定して発電させるということが重要なのです。
この事業に使われている風車は、沖縄県伊是名島で10年使われていた中古品です。
下部浮体部はコンクリート製で、低コストで風車の重心を下げるとともに、水圧でコンクリートが圧迫されて安定します。コンクリートは、地元建設会社に発注可能で、運搬コストも安くなります。

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安定した出力を維持するため、最大100kwの出力がありながら、40kwに抑えられて一定出力としております。

ちなみに、風車の胴体部の黄色は、国際法上定められているそうです。

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事業の収支をプラスにするためにも、風車は20年間安定して稼働することが重要です。特に、台風による破損がないような強度や仕組みが必要です。

今年発生した台風17号は、100年に一度、そして台風16号は、これまでで最大規模のものでした。波は、14秒間、20mにも達しましたが、風車に損傷はありませんでした。
ところが、陸上にある変電所が海水を浴びて1か月間停止してしまいました。

今後は、来年夏に稼働を目指している2000kw級の実証機に、今回の台風から得た知見を導入し、設計を変更し、安定性を向上させるそうです。
このためのコスト増は10%程度にとどまるようです。

「いかに早く減価償却できるのか、そして、減価償却後、何年間の稼働が可能なのか」が風力発電の成否のカギとなります。

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