11月定例会開催

本日、青森県議会11月定例会が開催されました。
議会の冒頭、先の決算特別委員会に対する討論が行われ、
私は、オーダーメイド型貸工場は、これ以上税金を投入することになる前に、止めるべきであると訴えました。
しかし、この問題に、青森県知事始め、県執行部、自民党会派は、耳をかそうとしません。
まるで自分の財布のように、簡単に29億円の税金投入を認めてしまうのです。
今の、私達には、仲間が少なく、残念ながら県の暴挙を止めることができないのです。
以下、本日の討論の内容です。
県民の皆さんも一緒に考えてください。

青森県議会議員 渋谷 哲一

**********************************

民主党会派の渋谷哲一です。

会派を代表して、先の第267回定例会において決算特別委員会に付託され、継続審査に付された4議案のうち、「議案第18号 決算の認定を求める」の件、「議案第19号青森県工業用水道事業会計の決算の認定を求める」の件に対して反対いたします。

我が民主党会派は、一貫してオーダーメイド型貸工場にかかわる追加投資に反対して参りました

そもそも、国際競争、価格競争、そして設備投資と研究開発競争が厳しい液晶関連産業の貸工場を行政が深くかかわり運営していく事自体が大きな間違いであります。

そして、この間違いを県議会として正していくチャンスが3度ありました。

一度目は、クリスタルバレイ構想が浮上してきた平成12年、県議会に89億円もの貸工場建設のための貸付金に対する損失補償契約が提案されたときでありあます。民間金融機関は、この構想に対しては、青森県による損失補償なしでは、資金を融資することはありませんでした。それだけ、リスクの高い事業だったのであります。

クリスタルバレイ構想事業可能性調査委託報告書には、液晶産業での基盤を持たない青森県が、この分野への参入するリスクが明記されているにもかかわらず、雇用や経済効果といった夢のような部分だけを強調し、県議会でのしっかりした議論も経ないまま、自民党の賛成多数でクリスタルバレイ構想にゴーサインを出してしまいました。

これを主導し、推進してきた蝦名前副知事は、クリスタルバレイ構想の中心的役割を担ってきたエーアイエス破綻時に、自らの責任を問われ、「89億円の損失補償契約について議会に提案し、議会の議決をいただいて、21財団と契約して、これが実行されたということでございます。」と最終的には、議会の責任だと責任転嫁しておりました。

オーダーメイド型貸工場の活用問題を正すための2度目のチャンスは、本年2月に議案第49号として「オーダーメイド型貸工場の活用促進を図るための貸付に要する経費が議会に提案されたときであります。

青森県には、この時点で主に3つの選択肢がありました。

1つめは、貸工場を処分し、この事業そのものから撤退する

2つめは、貸工場を売却し、事業を売却先に委ね、県が直接関与することから撤退する

3つ目は、新たに貸工場のリース先を探し、事業を継続する

これら、根本的な問題の議論もされないまま、県は早々に失敗した事業の継続を決め、おまけに後継企業を不透明なかたちで選定し、議会にしっかりした事業計画も提出しないまま、「20年で確実に29億円回収します」と豪語し、議会に追加投資を認めさせてしまいました。

29億円もの税金を投入するであります。

本来であれば、入札やプロポーザル方式といった公平公正な選定が当たり前ではないでしょうか。

一体いつまで公金を支出し続け、損失を拡大させればよいのでしょうか。

それほど、自信のある提案なのであれば、知事自らが29億円の個人補償をすべきではないでしょうか。一度失敗しているのです。同じ過ちを繰り返すのでしょうか。

木村前県政では、もちろん様々な功罪がありましたが、サッカー場建設の是非が問われた時、少なくとも議会と県執行部は、緊張感のある議論が交わされ、最終的に、知事提案を否決するに至ったのであります。まさに、是々非々であったと思われます。

そして3度目のチャンスは、今まさに訪れております。

県が29億円もの公金投入の根拠としていた、相和物産とサンテックの合弁会社設立が破綻しました。

破綻の事実が明るみになるのを先の決算特別委員会が終わるまで隠そうとし、新たな合弁会社設立も相和物産を中心に設立しようとする不透明な進め方は、これらの問題を先送りしたいという県の姿勢を如実に表しております。

なぜ相和物産でなければならないのか、本当に青森県がこのままオーダーメイド型貸工場に関わっていくべきなのかという根本的な問題に対しては、一切答えが出されないまま、強引に事業だけが進められていきます。

サンテックや翔栄に、工場そのものを売却し、工場と従業員をそのまま委ねるという選択肢もあるのではないでしょうか。

私は、この問題をどう解決すべきかを青森市内の多くの企業家に聞きました。

多くの方々の答えは、「一度失敗した事業に県が関わるべきではない、損切りをすべき。問題先送りすべきではない」ということでした。

損失を取り返すために、新たな投資を行うことは、結果的には、損失の拡大につながります。

知事、県執行部の方々、そして県議会の皆様方、ここで立ち止まり、改めてオーダーメイド型貸工場の活用問題に対して県民が納得いく議論を行うべきではないでしょうか。

ここ数年、青森県政では、次から次へと県事業失敗による数十億単位の損失補填が発生しているにもかかわらず、誰も責任も取らないばかりか、100%、知事提出議案を県議会は素通りさせています。これで本当に県議会としての役割を果たしているといえるのでしょうか。

この問題は、青森県議会の現状を象徴している事案と言わざるを得ないのであります。

結局、知事提案に対して不安や不満、疑問がありながらも、自民党の賛成多数で可決成立してしまうのであります。

我が民主党会派は、全てに反対しているのではありません。

良いものは賛成し、県民目線で行うべきでない事業はやめるべきだという、是々非々の立場を貫いております。

きちっと経営状況を把握し、リース料は回収するとしていた青森県は、エーアイエスの破綻までその事実を知らなかったと議会に説明しています。

ところがその青森県は、「これから相和物産とサンテックの合弁会社が設立されるのだから、大丈夫。20年かけて29億円にのぼるリース料を確実に回収します。経営状況もしっかり監視していきます。」と豪語しながら、その合弁会社は、スタートラインにすら立てないまま、頓挫してしまいました。破綻の経緯を議会が求めても、「民間企業同士のこと」と、詳細な情報を提供しようともせず、議会が「貸工場の引受先に相和物産で大丈夫なのか」と、疑問視しているにもかかわらず、満足な説明もないまま、相和物産の合弁先を新たに見つけ、今度こそは大丈夫と胸を張って議会に説明しています。

県執行部のなりふり構わない、議会を軽視した強引な事業の進め方は、勿論問題ですが、それを正していく事が出来ない県議会にこそ問題があるのではないでしょうか。まさに、県議会の存在意義が問われているのであります。

このような進め方が許されるのであれば、これから貸工場を運営する「相和物産と翔栄の合弁会社」が仮に2,3年後に破綻しても、新たな運営企業を探し、今度は、200年のリース契約を結んでいけば、だれも責任をとる必要もないし、損失も損失と言わなくてもよい状況が生まれることになります。巨額な損失が発生しても、それをリース料で回収していくとし、そしてその結果責任は、次の執行部、次の世代に委ねられることになるのです。

今回の事案は、「オリンパスの損失隠し」と似ています。

問題が大きければ大きいほど、失敗を認めることができず、問題の処理を先送りする。そしてそのことが、更なる問題と損失を生み出す。

この悪循環を断ち切る勇気が必要です。

県議会は、その先頭に立たなくてはならないはずです。

県議会のこの問題に対する、勇気ある決断を切に願います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)