オーダーメイド型貸し工場活用問題での青森県議会全員協議会が11月8日、朝から本会議場で開かれました。
本来であれば、この問題を根本的にどうするべきかを議論するべきなのに、県の答弁は、新しい枠組みを作ったので、「これからは、うまくいきます」ということだけでした。
県議会各会派は、相和物産とサンテックの合弁会社設立が白紙撤回されたことに不信感を持ち、異業種から液晶産業に初めて参入する相和物産で、大丈夫なのか?という疑問の声が次から次へと上がってきました。
実際、液晶産業は、国際競争、価格競争、そして、巨額の研究開発費や設備投資を常に強いられる、儲けられない産業です。
このような事業に、何のノウハウも無い青森県が、税金を投入し続け、直接かかわり続けることに問題があります。
相和物産単独では、とても事業の継続はできないため、液晶関連産業分野で成長を続けているサンテックや翔栄との合弁会社を模索してきました。
「なぜ、専門事業者が単独で事業を引き継ぐ事ができないのか。なぜ、相和物産ありきなのか」が、理解できませんでした。
そのヒントは、今回のオリンパスの多額な損失隠しにありました。
損失が表に出ると誰かが責任を取らなければなりません。
そのためにオリンパスでも、損失を隠し、穴埋めをしてきたのです。
昨年末、エーアイエスが破綻をし、事実上、オーダーメイド型貸し工場が破綻をしたとき、青森県は、約21億円の債務保証をしており、銀行に税金を使って穴埋めをしなければならなかったのです。これを実行すれば、県でも誰かが責任を取らなければなりません。
そこで考えられたのが、新たな20年のリース契約です。
問題の先送りです。
オーダーメイド型貸し工場使用の後継企業を選び、県が使った債務保証費約21億円と、新たな設備投資費を含めて、「29億円を、後継企業に20年かけてリース料として払ってもらう」、そうすれば、県民負担を回避できる!との県の思惑です。
しかし、浮き沈みの激しい液晶関連産業です。とても20年先の状況を計算できるものではありません。
それを、青森県は、「大丈夫だ」と太鼓判を押しているのです。
仮に、4年後5年後に事業が失敗しても、新たな事業者を見つけて同じようにリース契約を行っていけば、問題は、どんどん先送りされることになります。そして、その度に、県民の皆さんの血税が使われていくことになります。
オリンパスの事件でも判るように、問題があったらそれをオープンにし、そこで膿を出し切る事が最善の策です。
青森県が、問題の先送りをするのを、議会として何としても正していきたい。
この問題の原点に立ち返り、オープンな議論をして、新しいスキームを作っていくべきです。
青森県議会の良識が問われています。