県民主役の県政の会 渋谷哲一です。
会派を代表して、一部反対討論を行います。
議案第1号、令和2年度一般会計当初予算案、
議案第40号、青森県病院事業条例の一部を改正する条例案、
議案第15号、令和2年度青森県病院事業会計予算案、
議案第41号、青森県学校職員定数条例の一部を改正する条例案、
これら4件の議案と、請願書1件の不採択に反対いたします。
議案第2号から議案第14号まで、議案第16号から議案第39号まで、議案42号から議案第64号までの60件、全ての議案と発議案2件に賛成いたします。
また、追加提出されました議案第87号から議案第91号、以上5件については、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策であり、全てに賛成いたします。
以下、反対議案に対しての理由の説明と会派としての意見を述べさせていただきます。
議案第1号に計上されている、全ての原子力関連予算に反対をいたします。
その主な理由は、青森県は、原子力関連施設のない地域を目指すべきと考えるからです。
かつて、私自身は、原子力政策を推進しておりました。
しかし、その考えを一変させたのが福島原発の事故です。
当時の原子力行政は、「安全なくして原子力なし」と枕詞のように引用されるくらい自信に満ちたものでした。特に、安全性の問題を指摘されても、「万全の対策を施しているので何も心配ない」と、疑問を呈することすらタブー視され、まともに議論さえできない状況でした。
そして、その安全神話の元、福島第1原発の事故が発生し、原子力関連施設では過酷事故が起こり得るという現実が、国内外の人々に突き付けられたのです。
青森県内にある東通原発、大間原発、むつ市の中間貯蔵施設、そして六ケ所村の再処理施設等、これらの原子力関連施設で一旦過酷事故が起これば、県民の命の危機と、その後、県民生活を破壊するといった甚大な影響を被ることになります。そして、その時、三村知事は、「国の責任において」と、県民に訴えかけるのでしょうか。県は、議会の答弁でも、安全対策も地域振興についても、国の責任を強調し、自らの責任については何も語ろうとしません。
しかし、原子力政策を推進することを最終的に決断しているのは三村知事を舵取り役とした青森県です。
県民の命と生活を守る責任は、青森県にあります。
青森県内の原子力関連施設において、過酷事故を絶対に起こさせてはなりません。
私たちには、子どもたちに、豊かな自然と前を向いて取り組んでいける産業を残していく責任があります。原子力産業から撤退し、再生可能エネルギー産業に転換していくべきです。
また、原子力マネーは、関西電力の一連の事件が示しているように、一過性のものであり地域の未来づくりの基盤とは成り得ません。
更に、核燃サイクルの柱であった高速増殖炉「もんじゅ」に、以前は、私自身も日本の未来を託していましたが、国は、この技術を結局、断念いたしました。
ところが、使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物の行き先がないため、核燃サイクル政策の是非すら、国民に問うこともできず、いたずらに、予算を投入し、核燃サイクル政策を維持しようとしています。
あきらかに、核燃サイクル政策は失敗しました。青森県としても、この事実を認め、撤退すべきです。
次に、議案第40号、青森県病院事業条例の一部を改正する条例案、及び、議案第15号令和2年度青森県病院事業会計予算案、いわゆる分娩料の値上げにていて、2つの観点から反対いたします。
青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦に反する議案であること、そして、病院会計上、据え置きも選択肢の一つだと考えます。
三村知事が掲げる、青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦では、特に、人口減少対策のアクションプラン、第2期まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略が策定され、その中でも、特に①若者・女性の県内定着・還流と②結婚・出産・子育てしやすい環境づくりの2点が最重要ポイントとして挙げられています。
そのような政策を掲げていながら、今回の分娩料の値上げは、基本政策に真っ向から反するものと言わざるを得ません。
令和2年度政策パッケージ事業一覧では、政策分野2、出産・子育て支援と健康づくりでは、約79億2千万円の予算を組み、その中でも、安心して子どもを産み育てられる環境づくりには、約49億6千万円が計上されており、「経済を回すための基盤づくりの約79億9千万円に次ぐ規模です。
若い夫婦が、安心して子どもを産み育てられる環境を支援していく事こそ、青森県が最重点政策として進めていくべきです。今回の分娩料の値上げによる収入増の見込みは、約3千万円。
青森県がこれを負担するのは、本当に無理なのでしょうか。
青森県立中央病院の近年の不採算部門に係わる一般会計繰入金の主なるものの内、周産期医療に要するものは、
H28年度、約2億1千9百万円
H29年度、約1億9千8百万円
H30年度、約1億7千8百万円と
県病のたゆまぬ努力により、年々繰入額が減ってきております。
値上げ分の約3000万円は、まさしく、政策選択の問題と考えます。
青森県は、平均所得も平均寿命も人口減少も全国最下位レベルです。
だからこそ、出産、子育てに力を注いでいる県として、分娩料が日本一安い青森県を目指し、値上げではなく、むしろ子育て世代の負担を減らすべきと考え、この議案に反対をいたします。
次に、議案第41号、青森県学校職員定数条例の一部を改正する条例案に反対いたします。
現在、青森県が進めている青森県立高等学校教育改革推進計画、第1期実施計画は、結果的に県立高校の統廃合となり、本来の趣旨である、「全ての高校において、今後求められる人材を育成するため、生徒一人一人の学習意欲の向上に十分配慮しながら、各校が創意工夫するとともに、相互に連携し、生徒の進路志望や地域の期待等に応えることができるよう、それぞれの特色を生かした魅力ある教育活動の推進に向けて取り組む」、といった視点に欠けているものと考えます。
このまま統廃合を繰り返していけば、町村部から高等学校が無くなり、地域の活力も失われていきます。
特に、今回の議案では、統廃合に伴い、閉校や学級減の学校の教員が減ることになり、残った2学年、3学年の生徒たちへの教育の質が低下していく事が考えられます。
県内の全ての高校において、学ぶ意欲のある生徒をサポートする事が、何よりも大切です。地域や親の経済力に関係なく、全ての子どもたちを支援する県立高校であるべきです。その為にも、統廃合によって教員を機械的に減らすべきではないと考え、議案に反対します。
最後に新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策です。
昨日、八戸市で青森県初の感染者が確認されました。昨日までとは、状況が一変いたしました。今回上程されました追加議案5件、全てに賛成しますが、定例会は本日で終了します。県民の理解と安心のため早期に議会を招集し、新型コロナウイルス感染症に臨むべきと考えます。
以上の意見を付し、一部反対討論を終わります。ありがとうございました。