ブログ

サイト管理人のブログです。

ブログ一覧

伊方原子力発電所の現状と今後の課題について

訪問日時 平成26年5月16日 10:00〜12:00
目 的 地 四国電力・伊方原子力発電所
所 在 地 愛媛県西宇和郡伊方町九町コチワキ3−40−3
担 当 者 四国電力総務広報部広報課 浜田氏

001「伊方ビジターズハウス」には定刻より少し遅れて到着したものの快く出迎えて頂いた。
まずは、ビジターズハウス内においてこれまでの取組の説明を受け、その後用意して頂いたバスに乗車し発電所施設内を見学と説明を受ける事になった。

 

 

・愛媛県伊方町にある四国電力伊方発電所は、愛媛県の西端から九州に向かって槍のように突き出た佐田岬半島の付け根寄りに位置している。

長さ40キロの日本一狭長な半島が、瀬戸内海と太平洋側の宇和海を区切る形になっており、発電所は瀬戸内海に面している。
発電所には加圧水型の原子炉が3基あって1・2号機は共に出力56.6万kW。3号機は89万kWで一番大きく新しい。(安全審査は3号機を申請)

002・四国電力では、平成19年の新潟県中越沖地震を踏まえて自主的に免震構造の総合事務所を建設し、その二階を緊急時対策所にあてている。(これは非常事態に原子炉内の情報を集約し外部に発信する中枢といわれる拠点施設である。)当初、事故時には防護マスクでの対応をする事となっていたが、マスクの不便をなくすため空調の工事を実施し、作業の負担を軽減している。また、空調だけでなく放射線対策も強化しており、1階の窓には鉛遮蔽をとりつけることとしている。

・四国電力伊方原発は、昨年7月4日に3号機の再稼働に向けた申請を行っている。東京電力福島第一原発事故の最大の要因は津波であることから、自社の最新の想定では中央構造線断層を原因とする地震の場合、最大7mと予想している。南海トラフ地震では最大3m程度の津波とされているが、発電施設は海抜10mの高さに設置されており、想定の範囲としては安全性は高い。また、その他管理施設や電源関係は、海抜32mの台地上に設置されている。

003・使用済み燃料プールに対してのアクセスも各号機のものに直接32mの高さに設置した施設から直接行えるようである。

・電源確保対策についてはバックアップ電源車(1,500kW)が各号機に2台設置されており、1週間以内であれば充分電源を確保できる。
さらには、浸水対策についても防水扉を設置し万全の構えをとっている。電源確保が一週間以上の場合には外部配電線から1〜3号機に供給する必要がある

・発電機の安定性についても検討されている。公設発電機は水冷式であるが、メンテナンスのいらない空冷式非常用発電機も設置する。

004・森林火災からの延焼や竜巻等(最大62 m)も想定して対策をとっている。しかし、規制委員会からは、日本最大の風速は93mなので、それより基準を下げるのであれば同様の事態が起こらない合理的な説明が必要との見解が示されたため、風速100mも想定しなければならないかも知れない。

005

・水素爆発は起こらないよう対策を講じている(格納容器内に水素処理装置や電気式燃焼装置を配置)が、万が一格納容器が壊れる事を想定して、大型ポンプ車11台を3号機専用で用意し、放水砲により水と泡を格納容器の頂上までかける方法を準備中である。

・中央制御室は1号機と2号機を1ブロックとし、3号機を1ブロックとする2ブロックの体制で行っている。福島の事故を想定したシミュレータの訓練を行う事で、練度をあげている。

・冷却水対策は、濾過水タンクに6,000トン×2を準備している。それでも足りない場合の備えとして、海水を1時間に1,400トン汲み上げできるように訓練を行っている。

・管理棟を始め全ての施設でプラント並みの免震性を目指している。

以上の事から、昨年7月以降の規制委員会との対応で、他の原子力発電所と比べても、発電所の安全対策はかなり強靭化している印象を受けた。しかしながら、高いレベルの安全対策が求められる事は理解できるものの、これまでと今後の5年間で安全対策に要する費用は、伊方1か所で1,200億円にものぼるとのことであった。かなりの高額である。伊方の安全審査は終盤と言われているが、そこまで対策を行ったからといって必ず審査が通るという確証はまだない。
今回の調査では、電気事業者の安全に対する対策がここまで進んでいるのかと率直に感じた次第である。ただ、規制委員会が求める対策は現時点で本当に必要なものなのか、妥当なのかの科学的根拠も説明するべきでないかと感じた。根拠が明確でないものを推し進めるのはいったいなぜなのか。
海外の電気事業者からも言われている、対策とコストの兼ね合いも十分大事な事であるし、最終的には消費者に負担のしわ寄せがくる事を考えれば、安全とコスト負担の両立を忘れてはならないのではないか。
いずれにしても、日本型の安全性向上に向けた国・規制庁・事業者が独立した安全文化がしっかりとできなければ、日本の原子力発電所や原子力行政に対しての国民の不安は払拭されることはないと思うので、今後の取り組みに期待したい。

世界遺産熊野古道の自然保護と観光との共存に向けた取組について

(1) 熊野古道世界遺産地域(熊野古道調査)

訪問日時 平成26年5月15日 8:00〜11:00
訪問場所 熊野古道世界遺産地域(和歌山県東東牟婁郡那智勝浦町)
説 明 者 熊野・那智ガイドの会 山東氏

熊野古道では、ガイドの山東氏から、熊野古道の歴史、自然、文化等について話を聞いた。

・世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の中心となる紀伊山地は、神話の時代から神々が鎮まる特別な地域と考えられていた。また、仏教も深い森林に覆われたこれらの山々を弥勒や阿弥陀、観音の「浄土」に見立てるとともに、仏が持つような能力を習得するための修行の場とした。

その結果、紀伊山地には、起源や内容を異にする「熊野三山」、「高野山」、「吉野・大峯」の三つの霊場とそこに至る「参詣道」が形成され、都をはじめ各地から多くの人々が訪れるところとなり、日本の宗教・文化の発展と交流に大きな影響を及ぼした。

001

・「熊野三山」、「高野山」、「吉野・大峯」は、古来、自然崇拝に根ざした神道、中国から伝来しわが国で独自の展開を見せた仏教、その両者が結びついた修験道など、多様な信仰の形態を育んだ神仏の霊場であり、熊野参詣道、高野山町石道、大峯奥駈道などの参詣道とともに、広範囲にわたって極めて良好に遺存している比類のない事例であり、それが今も連綿と民衆の中に息づいている点においても極めて貴重な資産である。

・登録資産の総面積が、約500haと広範囲にわたり、特に参詣道の総延長は300㎞超に及ぶ。また、道の大部分は幅1m前後と狭く、石畳や階段となっている部分もあるが、多くは、山中の地道である。こうした条件の中で登録資産を大切に保全し、次世代に引き継いでいくためには、多くの人々の理解と協力により、継続性のある保全活動を展開していくことが必要となる。

・かけがえのない資産がもたらす恵みを、世界の人々がいつまでも分かち合えるよう、参詣道を歩くにあたって、次のことをお願いしている。

「紀伊山地の参詣道ルール」

1.「人類の遺産」をみんなで守ります

2.いにしえからの祈りの心をたどります

3.笑顔であいさつ、心のふれあいをふかめます

4.動植物をとらず、持ち込まず、大切にします

5.計画と装備を万全に、ゆとりを持って歩きます

6.道からはずれないようにします

7.火の用心をこころがけます

8.ゴミを持ち帰り、きれいな道にします

002

私たち一行は、ガイドに案内され、早朝より実際に熊野古道を歩いて調査した。日本で唯一、神社と寺院が隣合せに存在している熊野那智大社と那智山青岸渡寺。修験道の行場になっている那智大滝。そして、千年以上も前の面影をとどめる参詣道。どれも古の人々の思いを感じさせるものであった。

(2)和歌山県世界遺産センター

訪問日時 平成26年5月15日 12:45〜13:20
訪問場所 和歌山県世界遺産センター
所 在 地 和歌山県田辺市本宮町本宮100-1
説 明 者 和歌山県世界遺産センター 辻林 センター長、奥 事務局長

和歌山県世界遺産センターでは、辻林センター長から自然保護と観光の両立の取り組みについて話を聞いた。

003

・世界遺産登録後、遺産に訪れる観光客の総数は、ほぼ横ばいで推移しているが、その内容は大きく変わった。

以前は、大型バスで訪れる団体が多く、熊野那智大社や、那智大滝など、いわゆる観光地を目的に来ている人が大半であったが、登録後は、古道を実際に歩く方々が増え、バスで訪れる人は減少した。また、外国人が以前の約10倍に増加した。

・多くの観光客が来れば、ごみが問題となる。世界遺産として保全していく上での自然保護上の問題としては、1つに観光客が廃棄するゴミ対策であった。ゴミ箱が満杯になる等の景観上の問題に対し、対策としてゴミ箱を撤去するとともに、ガイドによる啓発活動が実を結び、結果として、来訪者のゴミの持ち帰りによりゴミの減少となった。ごみ問題は3年で解決することができた。

また、遺産を守るため、禁煙としている。

・観光客を速やかに遺産に誘導するため、これまで行政毎に表記しデザインしていた案内標識を統一化し、観光振興を後押しする取り組みを行っている。

・古より「蟻の熊野詣」と形容されるほど多くの人々を受け入れてきた熊野三山への道「熊野古道」、高野山への主要な参詣道として利用された「荒野山町石道」は、地域住民など多くの人々によって今日まで受け継がれてきた。これらを人類共通の財産として保全し、次世代に引き継ぐことが求められている。

004

・観光客の増加に伴い古道そのものが傷む保全上の課題に対し、和歌山県では参詣道の維持・修復活動として、企業や団体に維持・修復活動にボランティアとして携わっていただく活動「道普請」を実施している。

その内容は、参詣道への土の補充や横断溝・側溝の清掃活動を行いながらのウォークである。作業用資材等にかかる費用は、実施者の負担としている。活動を通じて自然保護への意識づくりの効果が期待される。和歌山県では、熊野古道の観光振興を図るとともにその自然保護にも積極的に取り組み、自然と観光の共存を目指して活動している。

005

・「道普請」では、管理団体である市町村の文化担当者や世界遺産センター職員による事前レクチャーなどを行ったうえで、世界遺産の維持修復活動に携わっていただいている。修学旅行、企業・団体のCSR活動や研修の一環として楽しみながら世界遺産の保全に取り組んでもらえる事業である。

・この事業は、リピーターが多く、何年も続けているボランティアもいる。

土は、文化財と同じものを使わず、一目で修復した個所が解るようにしている。

006

・そのほかには、高齢化、過疎化が進んでいる地域にあるため、景観や自然を守るために休耕田を企業に面倒を見てもらっている。同時に景観上、空き家対策も行っている。また、現在、山を守るため、山仕事の手伝い体験事業を検討している。

・世界遺産を守るためには、継続的な地道な取り組みが必要である。自然保護と観光の両立は、どの地域でも抱える問題であり、問題の一つ一つに対して、知恵をだし、多くの方々の協力を得る努力をしていかなければ、遺産は、次の世代に引き継いでいくことは不可能である。

007

青森県の世界遺産白神山地も、まずは、自然を守る知恵をだし、県民の協力のもとともに育み、世界の人々に知ってもらい、体験してもらい、愛してもらう取り組みが必要である。

平成26年6月 第278回定例会一般質問

民主党会派の渋谷てつかずです。

通告に従いまして、一般質問をおこないます。

まず始めに、青森県のがん対策推進についてお伺いいたします。

かつて、県立中央病院で、がんの告知を受けた多くの患者さんは、まず、できることなら国立がんセンターで再診断を受けたい、そして、できることなら、そこで治療も受けたい、と思ったのではないでしょうか。

地方と中央で歴然とした医療格差があり、可能であれば、今ある最善の治療を受けたいと思うのは、自然なことです。

ましてや、命に係わる病気であれば、自らの人生を考え、悔いの残らないように行動したいと思うはずです。

私は、がん医療提供体制で、最も大切なことは、患者と患者の家族の心のケアだと思います。

がんの告知では、患者本人とその家族が、担当医師から状況と治療方法の説明を受けます。専門的知識の無い私たちは、担当医のひとこと一言を聞き漏らすまいとし、どこまで進んでいるのか、治癒可能なのか、どのような治療方法があり、どれがベストな選択なのか、そして、余命は、と多くの疑問や不安と向き合っていく事となります。

担当医が、言葉を選びながら、ゆっくりと説明していきます。自分の説明を患者と家族は、理解できているのか、本人の希望はどうなのか、家族の思いはどうなのか、ひとつひとつをゆっくり確かめながら、納得のいくまで、時間をかけ、話し合いを続けます。

青森県では、近年、毎年5000人近くの方々が、がんで亡くなっています。その全ての方々と家族が同じように苦しみ、不安と闘ってきたのではないでしょうか。

吉田管理者が就任して以来、県病は、チーム医療や緩和ケア、先進技術の導入など、これまでの体制から劇的に変わってまいりました。

勿論、国のがん対策に対する政策転換があったのは事実ですが、それだけで病院が変わるわけではありません。やはり企業や団体と同じように、経営者の理念と行動力があってこそ、病院も進化していくのではないでしょうか。

残念ながら、県民は、県病が進化し続けていることを、まだ十分に理解しておりません。

そこで、質問いたします。

(1)   本県の癌医療提供体制についてお伺いいたします。

(2)   また、癌診療の高度化に向けて、県立中央病院では、どのように取り組んできたのかお伺いいたします。

 

県病に、機器が無いため、癌のより詳細な診断ができず、他の病院に患者が行き、PET-CTによる診断を受けていると聞きました。

癌治療の拠点病院でありながら、詳細な診断のため他の病院を利用しなくてはならないという状況では、患者はどのように感じるでしょうか。

PET-CTをはじめとする先進医療機器は、単なる道具ではないと思います。

それらがあることにより

①   患者の県病に対する信頼感を高め

②   研修医や他の医師が県病に来てくれる動機づけにもなり

③   更に、青森県民の県病に対する信頼感を醸成する役割を果たしてくれるのではないでしょうか。

これらの投資は、必要不可欠ではないでしょうか。

(3)   癌診療の一層の高度化のため、県立中央病院にPET-CTを導入すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

そのうえで、次に、青森県が成すべきは、医療提供体制と車の両輪をなす癌検診受診率の向上です。

癌は、早期発見されれば完治する病気です。

昭和57年以降、本県の死因の第一位となっていながら、受診率は、未だに約30%程にとどまっております。まだまだ県民の癌に対する意識は低いままであり、この状態を変えない限り、癌による悲劇が減っていく事はありません。

 

(4)   本県の癌検診受診率の現状と、これまでの取り組みについてお伺いいたします。

(5)   県では、癌検診受診率向上のためにどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

次に、県内における県産品の販売拡大についてお伺いいたします。

本県の基軸政策でもある「攻めの農林水産業」が推進されております。三村知事のトップセールスを始め、六次産業化への取り組みが徐々に実を結んできているように思われます。

その一方で、県内での地産地消に関しては、道半ばであります。

本県の加工食品は、ほとんどが中小零細事業者によるものであり、近年、プライベートブランドに力を入れている大手スーパーでは、価格面で折り合いがつかず、結局、継続的に納入販売が難しい状況です。このままでは、県内食品加工事業者は、減り続けることになります。

実際、県内食品製造事業者は、昭和50年に、1481社あったものが、平成24年には、417社となり、3分の1以下になっております。

青森県産品のブランド化を推進するためにも、まずは、地元で愛用されなければなりません。安全、安心な商品であることを徹底し、地域で継続的な消費を促すことが必要です。同時に、県民の地産地消に対する意識改革をし、県産品の消費が拡大すれば、地域経済の支えとなり、雇用にもつながっていきます。

秋田県では、県庁職員が県外へ出張し、飲食の機会がある時、必ず店の方に、「秋田の酒はないのか」と尋ね、県産酒で乾杯するそうです。少しでも、県産品の消費を拡大するため、地道に活動を続けているものと思われます。

政治や行政が、率先して県産品を使うという気持ちが、県民に伝わり、県民運動となっていくのではないでしょうか。

良いものを作り続けていくためには、もちろん、事業者の継続的な努力は必要ですが、安定した収入が無ければ、事業の存続すら困難となります。

(1)   本県の地産地消のこれまでの取り組み成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。

(2)   県内で製造される加工食品の県内での販売拡大に向けた取組についてお伺いいたします。

次に、発達障害者への支援について質問いたします。

近年、発達障害にかかわる報道を目にする機会が多くなりました。特に、幼少期や就学期に発見されず、大人になってから特有の行動で目立ち、発達障害と診断される人や、就職しても職場や社会に馴染めず、離職、就職を繰り返す人も増えているとの就労支援の現場からの声も聞こえてきております。

しかしながら、社会全体では、発達障害に対する理解が、未だに低く、結果的に、発達障害を抱えた方々が正しく理解されないまま、適切なケアがなされず、大人になり、社会から孤立していくケースが増えているのではないでしょうか。

青森県発達障害者支援センター「ステップ」のパンフレットにこのように記載されております。

①   落ち着きがない

②   友達とうまく遊べない

③   会話がうまくいかない

④   社会的なマナーが身に付きにくい

などでお困りではありませんか。

(多くは、本人の努力のなさや親の育てが原因で起こっているのではありません)

このような場合は、お気軽にご相談ください。

このような児童がいる場合、まず、本人は、怠け者だとか、努力が足りないとか、周りから責め続けられます。児童の親は、しつけができていないとか、育て方が悪いとか悩み続けます。

更に、クラスでも担任は、対処に苦慮し、クラスメートにも多大な影響を与えます。

その一方で、本人も親も、「障害」という、受け入れづらい、認めづらい言葉に、躊躇するばかりで、適切なケアを受ける入口にたどり着くことが非常に難しいのが現状です。

早期に発見し、適切なケアをしなければ、将来にわたり多くの人々を不幸にしていくこととなります。

文部科学省は、平成14年と24年に「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」を、全国の小中学校の担任教師を対象に行いました。

その中で、調査目的をこのように述べております。

障害者の権利に関する条約に基づく、インクルーシブ教育システムを今後、構築していくにあたり、障害のある子供の現在の状況を把握することが重要である。本調査により、通常の学級に在籍する知的発達に遅れのないものの、発達障害の可能性のある特別な教育支援を必要とする児童生徒の実態を明らかにし、今後の施策の在り方や教育の在り方の検討の基礎資料とする。

そして、その調査結果では、知的発達に遅れはないものの、学習面や行動面で著しい困難を持っていると担任教師が回答した児童生徒の割合は、平成14年で、6.3%、平成24年で、6.5%と示されております。

これを、単純に平成24年度の本県の児童総数に当てはめると、小学生で4430人、中学生で2460人と想定されます。もちろん、この数値が本県の発達障害児の実数を示しているわけではありませんが、少なくとも相当数の児童が問題を抱えている可能性があるということを示唆しております。

教育委員会も、発達障害のある児童生徒を学校全体で組織的に支援するため、校内委員会という組織を、現在では、県内全ての小中学校に設置しております。また、医療機関や市町村の福祉部局などの関係機関と連携した支援を行う、特別支援コーディネーターを指名するなど、それぞれの学校において、発達障害等のある児童生徒への理解と支援の充実が図られるようになってきております。

教育現場と福祉、医療の連携による早期発見、そして、早くからの適切なケアが必要です。

そこで質問いたします。

(1)   発達障害とはどのような障害なのか、その定義についてお伺いいたします

(2)   発達障害者に対して県は、これまでどのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします

(3)   発達障害児者への適切な支援には、早期に発達障害児者の実態を具体的に把握することが重要と思いますが、県の考えをお伺いいたします

次に、居住実態が把握できない児童についてお伺いいたします。

本年5月末、神奈川県で、子供とみられる白骨遺体が発見されました。

報道によると、厚木児童相談所で、2004年、3歳だった子供を、迷子として一時保護し、2008年の入学の年に、小学校に通っていないことを把握していたにもかかわらず、今年の春まで県警に相談していませんでした。

ようやく、本年、5月22日に、「中学校に入学するはずの子供が学校に来ない」と警察に通報したため、遺体で発見されたそうです。必要な、食事や水分を十分に与えず衰弱死させ、遺体も7年以上も放置されたままでした。

この事件は、社会全体で防げたのではなかったでしょうか。

政治や行政が、弱い立場の人々を守り、支えていかなくてはならないはずです。

そこで

(1)   本県の居住実態が把握できない児童の実情についてお伺いいたします。

(2)   居住実態が把握できない児童への対策として、県では、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

次に、データセンターの立地と自治体クラウドについてお伺いいたします。

6月6日、むつ小川原開発地区に県内初の大規模データセンター建設計画が発表されました。データセンターは、サーバーが発する熱を冷却するため、大量の冷房が必要になり、コストの多くを電力料金が占めるといわれております。今回発表されたデータセンターは、青森県で温度の低い外気を取り入れて室内を冷やす「外気冷房」と冬場の雪を断熱保管し、夏場に利用する「雪氷冷房」を併用した国内初のデータセンターを目指すとのことでした。

三村県政が掲げる「弱みを強みに変える」という、良い事例の一つになるのではないでしょうか。雪が多く、寒くて風も強い青森県の気候が、新たな財産になるかもしれません。是非とも、知事が先頭に立ち、青森県を国内第3のデータセンターの基地にしていただきたいと思います。

そこで質問いたします。

(1)   データセンターの立地に向け、県はこれまでどのように取り組んできたのかお伺いいたします

(2)   今回の立地を、知事はどのように捉えているのか、また、今後、県内情報関連産業の振興に、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

今回の、データセンター誘致に関しては、本県を、クラウドベース化する狙いもあると聞いております。クラウドベース化には、多額の初期投資が必要となりますが、長期的には、トータルコストを削減できます。

東日本大震災後には、情報のセキュリティー確保の観点からも推進すべきと考えます。県は、本県の戦略として、自治体クラウドを積極的に推進していく予定のようですが、現時点で、

(3)   県の情報システムのクラウド導入状況についてお伺いいたします。

次に県内企業の海外販路拡大についてお伺いいたします。

これまで青森県は、大連、上海、北京、そしてソウルなどを中心に、中国と韓国への県内企業による輸出拡大を後押しするため、力を注いできました。特な中国は人口が多く、これからの市場として有望であり、県産品の輸出拡大が期待されておりました。

ところが、この両国は、ひとたび日本との外交問題がおきると、反日運動や日本製品に対する不買運動がおこるなど、極めて不安定な市場となっております。ましてや、中国では、商取引の習慣が日本とは全く違い、県内企業が輸出を拡大するには、乗り越えなくてはならない高いハードルがいくつもあります。

そのような中で、今年度から、新たな取り組みとして、県では、タイ、バンコクに「東南アジアビジネスコーディネーター」を設置し、県内企業の東南アジアにおける市場開拓・販路拡大を支援することにしたと伺っております。また、6月17日には、そのコーディネーターに委嘱された多田羅氏が、三村知事を訪れ、県産品の販路拡大の提言を行っていった、と伺っております。

東南アジアという新たな視点は、これまで中国と韓国に力を入れてきた県の政策転換を意味しているのでしょうか。今後の県の戦略をお伺いいたします。

(1)   これまでの中華圏における県の取り組みと今後の展開についてお伺いいたします。

(2)   新たに東南アジアをターゲットとした狙いについてお伺いいたします

タイでは、近年、洪水による被害や、クーデターといった、政治の混乱も見受けられ、不安な要素があるように考えますが、

(3)   東南アジアにおける県内企業の販路拡大に向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

次に、県内の正規雇用化の促進についてお伺いいたします。

青森県の経済が低迷し、多くの若者は、働きたくても働けないという状況が長年にわたって続いております。正規社員になれないため、やむを得ず、非正規社員として働いているものの、給料が安いために、結婚に躊躇し、そのために県内の人口も減少していくといった悪循環が続いています。

政府は、6月17日、2014年版「少子化社会対策白書」を閣議決定いたしました。

白書の中の結婚支援の意識調査では、20から30代の未婚者は、男女とも、給料アップや雇用の安定を求める割合が高く、「給料を上げて安定した家計を営める」が男性47.2%、女性52.2%で、男女ともトップでした。

現在、国会で労働者派遣法の改正や労働規制の見直しが進められております。

審議中の改正案は、残業代ゼロ制度導入や全業種で無期限に派遣を継続できる内容で、企業経営者の側に立った見直しであり、非正規社員の更なる拡大や無報酬での長時間労働を助長するなど、労働者には非常に厳しい内容となっております。

若い人たちが、結婚支援で一番に求める、働く人の給料アップや雇用の安定とは逆行する、労働法制の改悪を目指している政府は、とても、子供を産み育てやすい社会を作ろうとしているとは思えません。

さらに、安倍首相は、6月16日の衆議院決算行政監視委員会に於いて、時間ではなく成果に応じて賃金を支払う新制度の導入に関して、対象者の年収を「少なくとも1千万円以上」とする要件から将来的に引き下げる可能性も示唆しました。将来、ほとんどの労働者が残業代ゼロで長時間労働を強いられる日が来るのではないかと、危機感を抱いております。

働く人とその家族のためにも、労働者の犠牲の上に企業が存続するような社会にしてはなりません。

そこで質問いたします。

(1)   本県における雇用者の総数と、そのうちの非正規雇用者の割合は、どのような傾向にあるのかお伺いいたします。また、全国と比較するとどのような特徴があるのかお伺いいたします。

(2)   国では、労働者派遣法の見直しが進められているようでありますが、見直しの内容についてお伺いいたします。

(3)   非正規雇用者の正規雇用化を図るための県の取り組み内容についてお伺いいたします。

次に、公益財団法人21あおもり産業総合支援センターの運営体制についてお伺いいたします。

(1)   平成25年9月19日付で、同センターの理事長が交代し、それまでの非常勤理事長から常勤理事長になっているが、その理由についてお伺いいたします。

(2)   同センターの理事長の給与体系についてお伺いいたします。

(3)   同センターの理事長を選定するにあたっての考え方及び具体的な選定方法についてお伺いいたします。

次に、商工三団体に対する県の補助金の状況について質問いたします。

(1)   県内の中小企業団体中央会、商工会議所、および商工会連合会に対する県の補助金の状況についてお伺いいたします。

(2)   商工三団体の指導・支援機関としての機能を高めるため、県として今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

県内の企業の99.9%は、中小企業です。平成21年の経済センサス調査では、県内に47984社あったものが、平成24年には、42669社と、3年間で5000社以上が減少しました。県内の経済状況が低迷し、企業は、苦しみ続けております。

(3)   補助金の有効活用を図るためにも、特に、指導の対象となる県内小規模事業者のニーズを県が把握し、補助事業に反映させていく必要があると考えますが、県としての考え方をお伺いいたします。

次に、県発注工事の状況についてお伺いいたします。

先般、マスコミに次のような記事が載っておりました。

県が2013年度に発注した公共工事の平均落札率(予定価格に対する落札価格の割合)は、93.66%で前年度を1.28ポイント上回り、2006年度以来、7年ぶりに93%となった事実。そして、それに対する学識者のコメントとして、「高どまっており、競争原理が働いているとは言えない」との見解が合わせて載っておりました。見出しには、「県工事落札率93.66%」識者「依然高止まり」と掲載されており、まさか、今の時代に、また、談合が行われているのか、と、一瞬、我が目を疑いました。

しかし、記事の内容を読み進めると、その理由は、人件費などに関係する一般管理費の割合の引き上げによるものだと、記されておりました。

そこで質問いたします。

(1)   平成25年度の県発注工事の落札率が上昇した原因についてお伺いいたします。

(2)   また、平成25年度の県発注工事に対する下請け工事の状況と下請け代金支払いの適正化に関する取り組みについてお伺いいたします。

最後に、八戸市櫛引地区の産業廃棄物不適正処理事案について質問いたします。

(1)   まず初めに、これまでの経緯をお伺いいたします。

八戸市が、2016年度に、中核市へ移行した後に、もし、櫛引地区の産業廃棄物を、行政代執行による全量撤去する必要が生じた場合、法律上は、八戸市が業務を担うこととなります。この問題が、結果的に先送りされ、財政負担を八戸市が強いられるのではないかと心配しております。

もちろん、県として担当の方々は、一日も早い解決を目指していることと思いますが、八戸市の危惧も理解できます。

(2)   八戸市が県に対し全量撤去を要望していますが、県はどのように対応しているのかお伺いし、檀上からの質問を終わります。

 

【再質問】

問2(2)

県内における県産品の販売拡大について再質問いたします。

県が行っている取り組みをお聞きいたしました。しかしながら、県内の大手スーパーは、もちろんのこと、県内スーパーでも、まだまだ低価格品に押され、県産品の継続的な販売が難しい状況が続いております。

適正な価格で取引されなければ事業者の存続は難しいと思われます。

県産品の販路拡大については、民間の専門家の知恵を活かすことも必要だと考えるが、県の考えをお伺いいたします。

問5(3)

データセンター誘致は、今後の青森県の新たな可能性を具体的に示した、素晴らしい事案だと思います。

三村知事の意気込みもお聞きいたしました。

しかし、その一方で、青森県を始め県内の市町村では、クラウド化が足踏み状態であり、進んでいない状況だと聞いております。

本県を、新たなデータセンターの拠点にしようといくら意気込んでも、肝心の県と市町村のクラウド化が進んでいかない状況では、掛け声倒れになってしまうのではないでしょうか。

「先ず、隗より始めよ」です。県が先頭に立って、自治体クラウド化の利点を実証し、市町村を引っ張って行かなければ、進んでいきません。

青森県が自らの背中を他の市町村に見せるべきと考えます。

強力なリーダーシップなくしては、前に進みません。県が、率先してクラウド化に取り組むことにより、本県が、データセンターの基地となるのではないでしょうか。

佐々木CIOに、お聞きいたします。

(1)   まずは、県の情報システムのクラウド化を実際にやるのかやらないのか、明確なお答えをお願いいたします。

(2)   また、県の情報システム化にかける意気込みと取り組みについてお伺いいたします。

問10

次に、県発注工事の状況について再度お伺いいたします。

落札率の上昇は、主に、労働者の社会保険未加入問題や労務単価の上昇を見込んでのものだとの説明がありましたが、県発注工事でも、多くの事業が元請け業者から1次下請け、2次下請けと発注されております。

今回の、落札率の上昇が労働者の社会保険への加入促進が目的とするならば、上昇した金額が、適切に元請けと下請け業者の労働者の社会保険加入のために使われていることを確認する必要があると思います。

(1)   建設業者に対する社会保険未加入対策の取り組みとその効果についてお伺いいたします

(2)   また、立ち入り検査の概要及び平成25年度実施の検査結果についてお伺いいたします

次に、要望いたします。

まず初めに、21あおもり産業総合支援センターの運営体制についてです。

(1)   現在の21あおもり産業総合支援センターの役員の任期は、今年6月末の評議員会までとのことですが、同センターは、本県中小企業の中核的支援機関であることから、理事長の選定にあたっては、その職務に専念できるような人材として、他と兼務するなど無いようにしていただきたい。

(2)   また、オーダーメイド型貸工場の運営など、同センターの厳しい経営状況を勘案し、常勤役員を増やすことなく、現行の役員体制を維持しながら運営にあたっていただきたい。

最後に、変わりゆく県病を目の当たりにし、改めて吉田管理者に感謝申し上げます。同時に、吉田管理者を招聘された三村知事にも感謝申し上げます。県病が、これから更なる医療提供体制の進化を遂げることにより、何百、何千という県民とその家族が救われることとなります。

三村知事にお願いいたします。県内唯一の癌治療連携拠点病院として、県民が迷いなく、県内で治療を受ける環境を是非とも作っていただきたい。PET⁻CTを始めとする、がん治療に必要な先進機器を導入するスピードを上げるためにも県の支援を、お願いいたします。

また、がん検診受診率向上のために行う広報においては、吉田管理者の経歴を紹介するなどの工夫をしていただき、県病の信頼度・認知度を向上させるよう、お願い申し上げ、再質問を終わります。

平成26年6月 第278回定例会一般質問通告内容

平成26年6月 第278回定例会一般質問を6月19日(木) (一般質問1日目)に行います。

1 がん対策の推進について
2 県内における県産品の販売拡大について
3 発達障害児者への支援について
4 居住実態が把握できない児童について
5 データセンターの立地と自治体クラウドについて
6 県内企業の海外販路拡大について
7 正規雇用化の促進について
8 公益財団法人21あおもり産業総合支援センターの運営体制について
9 商工三団体に対する県の補助金の状況について
10 県発注工事の状況について
11 八戸市櫛引地区の産業廃棄物の不適正処理事案について

■本会議は、どなたでも傍聴できます。

■会議当日、県議会受付で傍聴券の交付を受け、必要事項を記入し、入場に際して係員に提示してください。

(傍聴についての詳細についてはこちらをご覧ください)

平成26年2月 第277回定例会一般質問

民主党会派の 渋谷てつかず です。通告に従い一般質問を行います。

 

東日本大震災から4か月後、2011年7月、宮城県で民主党東北地方議員フォーラムが開催されました。当時は、フォーラムを開催できる状況ではないとの声が多数ありましたが、宮城県の県議会議員の、強い思いで、開催されることとなりました。「ぜひ、仙台で開催したい、東北復興の切実な声を、被災した東北全体の意志として政府に届けたい」との思いでした。

 

フォーラムでは、被災地の厳しい状況を目の当たりにすることとなりました。

津波で家を流された方、家族を失った方、避難所生活を続けている方など多数おり、改めて、東北全体が被災の最中(さなか)にあるということを痛感いたしました。

特に、私が参加したエネルギー分科会では、福島の原発事故が取り上げられ、実際に避難している議員も多数おり、「脱原発」の空気で会場は埋め尽くされておりました。そこでは、異を唱える声は、まったくありませんでした。

そして、それから1年後の2012年8月、民主党政権下で、「原発ゼロ社会」を目指す方向転換をし、新たなエネルギー基本計画が決定されることとなりました。私たちは、核燃サイクルの取り扱いが不透明であったため、我が県の状況を訴えるために、数名の県議会議員で上京いたしました。

青森県では、長年にわたり、県民の理解を得ながら、日本のエネルギーの自立を目指し、国策である「核燃サイクル」に協力、推進してまいりました。私が最も懸念していたのは、政府のエネルギー政策の方向転換によって青森県との信頼関係を壊し、

  1. 英仏からの返還廃棄物の搬入が拒否され、行き場を失い国際問題となる事。
  2. 各原子力発電所から搬入されている、高レベル放射線廃棄物が各発電所に返還される事。
  3. 国内に既に存在する、プルトニウム25tの使い道が無くなり宙に浮く。

といった事態にならないように、急激な方向転換が行われないように訴えるためでした。

アポも取らずに、急遽、上京しましたが、その日の午後には、当時の、古川(ふるかわ)国家戦略担当大臣、樽床民主党幹事長代行、藤枝内閣官房長官と会うことができ、翌日、午前中には、枝野経済産業大臣、細野環境大臣に面会していただき、青森県の実情を訴え、それぞれから、国と青森県の信頼関係を壊さないこと、国の将来を見据えた政策とすることを約束していただきました。

 

そして、本年2月25日、政権交代後、初の、エネルギー基本計画案が提出されました。この計画を実行に移すためには、国民の理解を得ることが必要不可欠です。オリンピック誘致のために、「福島の汚染水は、アンダーコントロール」と胸を張って、国際社会に訴えた安倍総理です。その為にも、まずは、福島の汚染水問題を解決しなくてはならないはずです。

 

昨年10月、私は、県議数名で、アメリカの原子力規制委員会(通称NRC)のウイリアム・マグウッド委員との会談のため、ワシントンDCを訪れました。デンゼル・ワシントン似のマグウッド氏は、私たち一行を気さくに迎えてくれ、率直な意見交換が行われ、とても意義深いミーティングとなりました。

001

NRCの決定は、大統領より任命され、上院で承認された、5名の委員の多数決で行われます。全米104基の商業用原子力関連活動の規制、監督を、約4000人の職員で運営する、連邦政府内の独立した規制機関であります。

マグウッド氏は、福島原発事故以降、アメリカでも規制の見直しがなされ、津波の危機を過小評価していた反省に基づき、津波をはじめとする大規模な自然災害に対応するよう指示し、さらなる対策が実行されたこと。常に最新の知見を基に規制を見直していること、を説明してくれました。

また、福島の事故に関しては、危機の際、政府の意思決定者に、必要な情報が届いていなかったことを指摘し、NRCは、原子力発電所に2名の常駐検査官を配置し、危機の際には、制御室にいて、情報を提供し続けること、更に、発電所とNRCは、常にデータでつながっていることを強調しておりました。
マグウッド氏とのミーティングは、1時間以上にわたり、特に、福島の汚染水問題に議題が及んだとき、現状に対して強い懸念を示し、次のように話していました。「汚染水は、できるだけ有害物質を除去したうえで、海へ放流すべきである。このまま大量に汚染水を貯蔵し続けるということは、問題解決を遅らせるだけであり、解決のためには、汚染水を、いつ、どのように処理するかの問題であり、いずれ、放流せざるを得ない。このまま貯め続けるのは、無理である。」と。

002

 

今も、一日400tの地下水が原子炉建屋に流入し、汚染水が増え続けております。セシウムと塩分を除去した後に、敷地内のタンクに貯蔵、その後、多核種除去装置(通称アルプス)で処理し、ストロンチウムなど、62種類の放射性物質を取り除く計画ですが、イーターの燃料とされている、トリチウムだけは残ります。そのトリチウムに関しては、昨年末、国際原子力機関(IAEA)は、福島の廃炉作業を検証し、「トリチウムは、現実的には、海洋生物の体内に蓄積されない。人体への影響は、非常に限定的」と指摘、海洋放出を含めて検討することを提言しております。

 

私たち一行は、その後、元アメリカエネルギー省副長官であり、現在、エネルギー省原子力諮問委員会 国際小委員会委員長のウイリアム・マーティン氏との意見交換の場を持つことができました。

マーティン氏は、私たちに次のように訴えておりました。

 

「世界は、日本の動向を注目しております。福島の事故後、原子力先進国の日本が、世界のエネルギー政策の行方に大きな影響を与えることとなります。そして、日本のエネルギー政策の要となるのが、核燃サイクルを支えている青森県です。今後の青森県での議論と政策が、世界のエネルギー政策に大きな影響を与えることになります。」

003

 

青森県として、明確に、この国のエネルギーの未来を、ベストミックスを示し、国民と、県民に未来図を示していくべきではないでしょうか。これまで核燃サイクルを推進してきた青森県には、その責任があるのではないでしょうか。

日本のエネルギー基本計画が間もなく決定されます。決定前に、日本のエネルギーの未来を支える青森県として、これまで核燃サイクルを推進してきた知事として、発信すべきではないでしょうか。

 

(1)   知事は、エネルギーのベストミックスを求めておりますが、改めてお伺いいたします。三村知事のベストミックスに、原子力は入っているのでしょうか。

(2)   また、東通原子力発電所や再処理施設など、県内施設が稼働できないでいる現状について、県の見解をお伺いいたします。

(3)   これまで、核燃サイクルを推進し、国のエネルギー政策に協力してきた本県の立場を伝え、さらに、そこから一歩進んで、今後のエネルギー政策の在り方を、青森県として主張すべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。

 

マーティン氏との会談は、ワシントンDCの「コスモスクラブ」という場所で行われました。

コスモスクラブは、1878年に設立された、科学、文学、芸術に傑出した業績のある人による社交クラブであり、メンバーには、3人の大統領、2人の副大統領、32人のノーベル賞受賞者、56人のピュリッツアー賞受賞者、45人の大統領顕彰の受賞者が含まれております。

このコスモスクラブは、マンハッタン計画の最初の話し合いが行われた場所だ、ということを教えられた時、私たちは、一様に驚き、複雑な思いに駆られました。しかし、同時に、原子力の安全、安心、そして、平和利用を改めて日本が、世界に範を示す責任があるとも感じました。人類が同じ過ちを繰り返さないためにも、私たちには、更なる努力が必要だという思いを強くいたしました。

004

 

東日本大震災以降、日本の貿易収支は、赤字が続き、2013年は、約11.5兆円の過去最大の赤字幅となりました。 火力発電のための燃料などの輸入が円安で割高になった反面、円安が追い風となるはずの輸出が製造業の海外移転が進み、円安でも輸出が増えない構造となってきているためと思われます。国家予算の半分は借金によって賄われ、貿易収支は、赤字続きといった状況を、国家として、いつまで続けることができるのでしょうか。すでに、原発停止による燃料費の増加分は、10兆円を超えております。将来世代に負担を残さない、持続可能な取り組みが早急に必要です。

 

 

2. 次に障害福祉サービス事業者への指導についてお伺いいたします。

昨年10月、青森市が、NPO法人、大一朝日・サポートの就労継続支援事業者等の指定取り消し処分を行いました。

一度事業者指定を受けた法人が指定取り消しされるというのは、異例の事態ではないかと思われます。

 

本来、福祉事業は、利用者の立場に立ち、利用者が社会の一員として自立し、共に社会のために貢献できるよう支え合うことが第一の目的です。ところが、過度に政治に関与する事業者や、ビジネス目的だけで参入している事業者がいるのも現実です。

それに対して、行政は、捜査権もなく、一度、事業指定してしまえば、指導の域を超えることができず、不正を見抜くのは厳しい状況です

今回の事案を通して、福祉行政の在り方をどのように変えていくことができるのかが問われているのではないでしょうか。

 

今後の防止策を講じるためにも、詳細な検証と、それに基づいた具体的な対策が必要です。不正があれば、結局、利用者にしわ寄せが行きます。また、利用者のために、誠心誠意尽くしている事業者程、経営が苦しいといった「正直者が馬鹿を見る」そのような社会をつくってはなりません。以上の趣旨で質問いたします。

 

(1)   青森市のNPO法人 大一朝日・サポートが昨年10月に青森市より就労継続支援事業者等の指定取り消し処分を受けましたが、事業者指定から指定取り消しまでの経緯についてお伺いいたします。

(2)   青森市においてNPO法人 大一朝日・サポートが運営する障害福祉サービス事業の指定取り消し処分を行った理由についてお伺いいたします。

(3)   県では、これまで障害福祉サービス事業者の指定取り消しを行った事例はあるのかお伺いいたします。

(4)   NPO法人 大一朝日・サポートの運営する障害福祉サービス事業者が青森市から指定取り消し処分を受けたことについて、県はどのように考えるのかお伺いいたします。

(5)   また、県では、障害福祉サービス事業者への指導をどのように行っているのかお伺いいたします。

(6)   今回のような障害福祉サービス事業者における不正請求等再発防止のために、今後、県は、どのように対応していくのかお伺いいたします。

 

3. 次に、難病対策についてお伺いいたします。

現在も多くの方々が、経済的に重い負担を強いられながら、日々、難病と戦い続け、国の支援を今か今か、と待ち続けております。対策が間に合わず、これまで幾多の方々が亡くなっていったことでしょうか。

日本国憲法、第25条に、全て国民は、健康で、文化的な、最低限度の生活を営む権利を有する、と明確にうたわれております。政治も行政も、弱い立場の方々、苦しんでいる方々の立場にたって、進められていかなくてはならないのではないでしょうか。

 

今般、厚生科学審議会、疾病対策部会の難病対策委員会から、難病対策の改革に向けた取り組みが提示されました。

そこで、

 

(1)   難病対策の充実を図るため、国としてどのような対策を行っているのかお伺いいたします。

(2)   また、国が進める新たな難病対策に基づき、県として、どのように医療体制を構築していくのかお伺いいたします。

 

 

4. 次に世界遺産、白神山地の活用についてお伺いいたします。

昨年8月、県議会民主党会派で、屋久島の縄文杉までの整備と利用状況を調査に行って参りました。屋久島は、白神山地と同時に世界遺産に登録され、20周年を迎えております。環境保護と観光面での活用との両立が課題であります。世界自然遺産に同時期に登録されていながら、屋久島は、遺産登録後、観光客が2倍以上に激増し、環境破壊の問題を抱え、青森県は、観光客が思うように伸びず、どのように活用できるかが課題となっております。

縄文杉までは、登山口から、まず、8kmの緩やかなトロッコ道を上り、その後急峻な4kmの登山道を上る一本道です。往復24 kmを約10時間以上かけて歩きます。このため、縄文杉を訪れる観光客は、必ず島に2泊以上しなければなりません。本来であれば、ガイドが必要ですが、近年、利用率は約40%。現在、約200名いるガイドの質を高めるため、ガイド認定制度を検討中です。

縄文杉の登山者は、この10年で約3倍に増え、登山道の環境破壊への対応と増え続けるし尿処理が深刻な課題となっております。

 

 

 

実際に縄文杉まで歩いてみて驚いたことは、若い女性が圧倒的に多いということです。私たちのように、比較的年配の男性だけのグループは、ほとんどいませんでした。圧倒的な存在感を持つ縄文杉と10時間以上のトレッキングは、訪れた人々にロマンと満足感を与えてくれるものでした。

白神山地にも、独自の物語とロマンが必要です。数多くの女性が訪れたくなるようなストーリーが必要ではないでしょうか。

 

(1)   白神山地を象徴し、ストーリーを持ったコースを作って、集中的に人を呼ぶべきと思いますが、県の考えをお伺いいたします。

 

 

 

5. 次に青森港のクルーズ客船寄港についてお伺いいたします。

ここ数年、青森港に寄港する大型客船の数が増え続けております。県当局と青森市の連携によるおおきな成果ではないでしょうか。

更に、今回、県の調査で、11万tを超える大型客船が入港可能であるという結果が示され、今後の利活用が期待されるところであります。

 

(1)   まずは、青森港へ11万tを超える大型客船が入港可能となりましたが、県の認識をお伺いいたします。

(2)   また、ポートセールスの実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。

(3)   今後、寄港する大型客船を増やすためにはクルーズ客船の乗客ニーズの把握と満足度向上に向けた取り組みが必要不可欠です。どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 

6. 続きまして、国際航路の維持、安定についてです。

本県唯一の国際定期航路である青森―ソウル線は、常に、韓国との政治問題に影響を受け、近年では、日韓関係が悪化しているため、青森から韓国への利用客が激減していると伺っております。

 

(1)   青森―ソウル線の現況についてお伺いいたします。

(2)   また、青森―ソウル線の意義と路線の維持・安定に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。

 

 

7. 次にオーストラリアからの誘客についてお伺いいたします。

(1)まず始めに、自治体国際化協会シドニー事務所に県職員を派遣した経緯及び目的についてお伺いいします。

 

北海道ニセコでは、オーストラリアから多くのスキー客が訪れていると聞いております。口コミの力だとも聞いております。

青森県には、山岳スキーのできる八甲田山があり、強力な武器となるのではないでしょうか。

 

(2)オーストラリア人観光客の本県への入込状況及び今後の誘客の対応についてお伺いいたします。

 

8. 次に在伯青森県人会に対する支援についてお伺いいたします。

 

まず、初めに、在伯青森県人会創立60周年記念事業趣意書を、ご紹介させていただきます。

趣意書を読む

 

 

本年8月24日、ブラジル サンパウロにおいて、在伯青森県人会創立60周年記念式典が挙行され、本県からも参加するとうかがっております。

青森県人会館は、サンパウロの日本人街の近くにあり、近年、3階に宿泊施設が増築され、2段ベッドが2つ置いてある4人部屋が、5部屋あり、現在18人の学生が共同生活を送っておりました。

05

006

日本人街の中心に、日本の食品を販売する店があり、店内を案内されると、その一角に、青森市に本社を置く、「かねさ味噌」の商品が並べられておりました。

塩分2分の1味噌汁や顆粒味噌汁といった商品で、現在の為替で換算しますと、それぞれ約500円と、800円でした。

007

008

青森県は、6次産業化を推進し、付加価値を高めた加工品の販売に力を入れております。サンパウロは、これから、サッカーのワールドカップとオリンピックの開催が決まっており、経済発展も期待されております。青森県人会には、300人近い会員がおり、長い交流の歴史から、青森県で学んだ多くの研修生もおります。文化交流だけではなく、本県産品も積極的に売り込んでいくべきではないでしょうか。

在伯県人会に対する県の支援についてお伺いいたします。

9. 次に災害時における情報力の強化についてお伺いいたします。

私たちは、東日本大震災において、大規模な停電や物資の不足を経験し、いかに私たちの生活が脆弱なものであるかを知ることとなりました。

そして、その中でも、情報が大災害時に、いかに重要であるかも思い知らされました。誰もが家族や友人の安否を心配し、確認しようとしてもなかなか連絡が取れず、不安な気持ちで過ごしていた時のことを思い出します。

 

災害時に、県民の情報力を強化するためにも、県の新たな取り組みが必要です。

(1)   災害等の緊急時における情報の伝達や入手のため、情報通信技術の活用が重要と考えますが、県の取り組みについてお伺いいたします。

(2)   特に、高齢者や障害者が、情報力を高めるための対策が必要と考えますが、県の取り組みをお伺いいたします。

 

10. 次に陸奥湾ホタテガイ養殖残さの対策についてお伺いいたします。

 

養殖ホタテの網に付着した生物を海に不法投棄したとして、廃棄物処理法違反の疑いで多くの漁業者が書類送検されました。

我が国の法律は、同じ残さを、港に戻る前に海に戻すのは、違反にはならないが、陸に一度揚げ、漁港内の海に捨てた場合は、不法投棄として違反となる、不可解なものとなっております。実際、多くの漁業関係者も、戸惑っているところです。

漁業者は、現実問題として、今年も間もなく、残さ問題に直面します。仮置き場設置など、県の具体的な支援を求めております。

ホタテは、青森県の水産業でも、重要な割合を占めており、県としてもこの問題に抜本的対策を講じる必要があるのではないでしょうか。

(1)   問題となっている陸奥湾のホタテガイ養殖残さの現状についてお伺いいたします。

(2)   ホタテガイ養殖残さ対策について、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 

11. 最後に、若者の就職支援についてお伺いいたします。

(1)ジョブカフェあおもりでは、県事業以外にも国の受託事業により、若者の就職支援を行っておりますが、その内容と実績についてお伺いいたします。

(2)国が実施しているニートなどの若者のための就職支援の内容と実績についてお伺いいたします。

以上、壇上からの質問を終わります。

 

【再 質 問】

 

  1. 今回、青森市より指定し取り消し処分を受けた障害福祉サービス事業者については、指定を受けた初年度から不正請求を行っていたことが判明しました。一度不正が行われれば、その後も継続して行われることとなります。福祉事業には、国民の税金と善意が使われております。これを不正に請求することがあってはならないはずです。事業を開始し、福祉に携わった時から、利用者のことを第一に考えていくべきであり、事業者を指定した行政が導いていく責任があるのではないでしょうか。事業指定を受けた、最初が肝心です。指定を受けた初年度に、監査を含めた実地指導を行うべきと考えます。是非、改善をお願いいたします。県の考えをお伺いいたします。

 

 

  1. 慢性疲労症候群の治療については、専門医があまりいないため、患者さんは、県外の専門医を訪ね治療を重ねているため、経済的にも負担が重くなっております。秋田県には、慢性疲労症候群の専門医である三浦医師がおられ、県外に出張して治療してくださる意向だと伺っております。ぜひ、青森県で、コンタクトを取り、ひと月か二月に一回でも、県病に来ていただき、県内の慢性疲労症候群の患者さんを診療してもらえるような体制をぜひ、整備していただきたいと思います。平成24年9月定例会で、発議第4号 慢性疲労症候群患者の支援を求める意見書が満場一致で採択されました。県は、このことを重く受け止め患者さんの医療・福祉の向上に努めていただきたいと思います。出来ることから少しでも前進させてください。患者さんたちの切実な願いです。

 

 

  1. 次に、青森港のクルーズ客船寄港について再質問いたします。青森港は、東北で唯一、大型客船が寄港できるようにきれいに整備された港だと聞いております。しかし、今後、ポートセールスを通じて、各地で港の整備が始まり、競争が激化した時、重要なのは、クルーズ客が青森への寄港に満足したかどうかです。常に、訪れた方々の求めている観光や食、買い物や体験といったニーズを正確に把握し、満足させることによって、次のクルーズ客船がやってくるのではないでしょうか。その為に、今回、クルーズ客を対象とした事業者を対象に、何が不満で、何が良かったのか、お客さんの率直な声を集めるアンケート調査実施を義務付けるべきだと思います。県のクルーズ船誘客モデル事業における実績報告を通して、クルーズ船の乗客のニーズ把握をすべきと考えるが県の考えを伺います。

 

 

  1. 在伯青森県人会の方々は、自分たちのアイデンティティーを日本、そして青森県に感じております。物理的には、地球の裏側でも、寄せる思いは強く、絆を感じております。今後の経済交流のきっかけ作りのためにも、三村知事、ぜひ、今回の60周年記念式典に参加してはいかがでしょうか。そして、リンゴのハッピを着て、トップセールスマンとしてブラジルの方々に、青森リンゴを届けてはいただけないでしょうか。玉城県人会会長を始め、多くの県人会のメンバーがお待ちしております。ぜひ、お考えください。

 

 

  1. 最後に、陸奥湾ホタテガイ養殖残さの対策について再質問いたします。貝殻、  ウロなのホタテガイ残さの有効利用が重要だと考えます。ぜひ、市町村と連携し、少しでも漁業者の負担、市町村の負担を減らしていただきたい。有効利用の取り組みとして具体的な事例はあるのかお伺いいたします。漁業者の負担を少しでも減らすため、県は、一緒にこの問題の解決策を実行してくださるようお願い申し上げ、質問を終わります。