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【R3.11.24】第308回定例会 一部反対討論
県民主役の県政の会 渋谷哲一です。
会派を代表して、一部反対討論を行います。
議案第16号、決算の認定を求めるの件、及び、
議案第18号、令和2年度青森県病院事業会計の決算の認定を求めるの件、以上2議案に反対いたします。
また、議案第14号、15号、17号、及び議案第19号の4議案に賛成いたします。
以下、反対議案に対しての主な理由を説明いたします。
議案第16号、決算の認定を求めるの件では、歳出10款1項5目 教育指導費 青森県立高等学校教育改革推進計画について、計画の改定に向けた議論が不十分であり、改定内容も県民の意見が充分に反映されていないことから、反対いたします。
平成28年の青森県高等学校将来構想検討会議答申をもとに、青森県立高等学校教育改革推進計画が策定されました。この推進計画により、平成30年度~令和4年度までの第1期実施計画5か年計画が策定され、今月12日令和5年度から令和9年度までの第2期実施計画が決定されました。
第1期実施計画では、県内各地区で県立高校の統廃合が急速に進められ、統廃合に対する反対の声が各地で起こりました。この時の論点は、1学級40人、1学年4学級を「標準校」として県立高校再編を進める県教育委員会と、地域に小規模校を残したいとする県内各地の自治体や住民との間に生じた「教育に対する基本的考え方」の違いでした。
標準校が生徒の選択肢を増やし、より充実した教育環境を提供できるとする県教委。
それに対して、そもそも子供たちが自分の通う高校を選択するのであり、小規模校でも特色ある教育を提供することによって、個々の生徒に適した魅力ある教育、多様な教育環境を提供できるとする県内各地の県立高校が立地する地域の考え方は、平行線をたどり続けました。
結局、県教委の「標準校」理論が第1期実施計画では基準とされ、多くの反対意見を残したまま県立高校の統廃合が進められていきました。
このため、第2期実施計画を策定する前に、令和2年、基本方針検証会議が開催されることになり、昨年度の決算に所要の経費が計上されたものです。
残念ながら、検証会議では、根本的な論点である、「1学級40人、1学年4学級いわゆる「標準校」の是非が議論されることもなく、むしろ標準校が前提としての議論がなされていました。これでは、何のための検証会議だったのか、との疑問を持たざるを得ません。
問題の核心に触れることなく、検証会議が進められたため、基本方針は、改定前とほとんど同じ内容となっています。その基本方針のもとに策定された今回の第2期実施計画は、第1期実施計画同様、生徒が減っていくという理由で、県立高校の統廃合と学級減が進められ、またもや、各地からの反対の大合唱に対して、何の対策も打ち出す事無く、何事も無かったかのように、決定されました。
県内各地で開催された、地域懇談会は一体何のために開催されたのか、という声に、未だ県教委からの答えはありません。
人口減少が、特に地方において進んでいく中、私たちは、県立高等学校教育の在り方を根本的に見直していく必要があります。
なぜ、国は、1学級40人を、地方の裁量によって変えることができるとしたのか。
なぜ、全国各地で、生徒の全国募集をする高校が増えているのか。
なぜ、高校の魅力化が、重要視されているのか。
これらは、今後の日本の教育、特に高校での教育の在り方を示しているものと考えます。
生徒一人一人が、自分の将来に向けた多様な学びを希求し、それぞれの個性を伸ばしていく教育が求められています。
15歳のころから「気候のための学校ストライキ」を始めたスウエーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏は、全ての世代と地球上の全ての地域の人々に向けて、地球温暖化に対して「考え、実際に行動すること」を訴えています。
恐らく青森県教育委員会が考える「標準校」の考え方からは、この様な若い人は育たないのではないでしょうか。
教育とは、何か。学びとは何か。
もう一度考えてみる必要があるのではないでしょうか。
本来するべき議論を行っていない今回の検証には賛同できません。もう一度、県民から青森県の教育の在り方、県立高校の将来の在り方について、多くの意見を求め、県民と教育の在り方を共有すべきです。
次に、議案第18号に計上されている、青森県病院事業会計の決算の認定を求めるの件では、令和2年度から実施されました分娩料の値上げに反対するものです。
主に2つの観点から反対いたします。
一点目は、分娩料の値上げは、三村知事が重点施策と位置付けている「出産・子育て支援」に、政策的に反するものである事。
そして、二点目は、新型コロナという未曽有の災害の最中、経済的に苦しんでいる子育て世代をむしろ支援をすべきであるにもかかわらず、分娩料の値上げを断行したことに対して賛同できません。
青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦の中で、人口減少対策のアクションプラン、第2期まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略は最重要施策であり、特に、「出産・子育てしやすい環境づくり」が最重要ポイントとして挙げられています。
子どもを産んで下さい、県は、応援します、と若者たちに訴えていながら、その一方で分娩料の値上げをし、出産の負担増を強いる理解しがたいものとなっています。
しかも、新型コロナ禍、経済的打撃を受けている若者たちへ行うべき取り組みとは、到底思えません。
これでは、青森県は言っていることとやっていることが違う、との誹り(そしり)を受けかねません。断固この値上げに反対いたします。
分娩料の値上げに伴う県病の収入増は予算ベースで約3000万円。
令和2年度のコロナ対策で1500億円を超える対策費を打ち出している青森県が、なぜ、分娩料の値上げにこだわるのでしょうか。
2020年の国勢調査の速報値では、千葉県の流山市が人口増加日本一となり、それを支える政策で注目されているのが子育て支援です。
令和2年度政策パッケージ事業一覧では、政策分野2、出産・子育て支援と健康づくりでは、約79億2千万円の予算を組み、その中でも、安心して子どもを産み育てられる環境づくりには、約49億6千万円が計上され、「経済を回すための基盤づくりの約79億9千万円に次ぐ規模です。
若い夫婦が、安心して子どもを産み育てられる環境を支援していく事こそ、青森県が採用すべき施策ではないでしょうか。
青森県立中央病院の不採算部門に係わるものとして、周産期医療に要するものは、一般会計からの繰り入れにより対応している所であり、令和2年度は、
約2億7千万円が繰り入れされています。
分娩料の値上げではなく、県民誰しもが安心して出産できるよう繰り入れによる対応をすべきだったのではないでしょうか。
問題は、県病の経済的理由による分娩料値上げの決断を、後は、三村知事をはじめとする県の執行部、県議会がどう判断するかです。
そして、その判断基準は、県の基本計画でなくてはならないはずです。
三村知事も幾度となく言及していますが、子育てしやすい青森県を目指し、子育て世代の負担を減らすことこそが、基本計画に沿った政策であり、それに真っ向反する分娩料の値上げには、反対致します。
三村知事には、今からでも、分娩料をもとに戻すよう要望し、一部反対討論を終わります。